原点回帰となったアトリエシリーズ最新作は、世の言うところのいわゆるツンデレ系か?:「リーズのアトリエ 〜オルドールの錬金術士〜」レビュー:(3/5 ページ)
変わったところ、変わらなかったところ、それぞれ善し悪しアリ
ストーリーから、切羽詰まった中での進行になるのかと思いきや、実はそうでもなく、意外にマイペースで進めることができる。基本は1作目などと同じく、材料を集めに外へ出て採取→アトリエに帰ってきて調合→宿屋で仕事を請け負い、それに合ったアイテムを売り払いお金を稼ぐ→新しいレシピの書かれた本や調合器具を購入して、さらなる新アイテムを調合……という感じで進む。
とはいえ、アトリエシリーズをプレイし慣れていない人にとっては、最初に何をしたらいいのかで悩むはず。もっとも、それこそがシリーズを通じて共通の自由度の高さであり、逆に言うと取っつきにくさにもなっている。本作も、いきなり投げ出されるような感じで本筋が始まってしまうので、初めての人は戸惑ってしまうだろう。
そんな人に、簡単なアドバイスを記しておきたい。最初は所持金もある程度の余裕があるので、安いレシピと材料を購入しておく。その後に、自宅に戻り手持ちの材料で何度か調合をするとイベントが発生して、物語が進む。あとはこれを繰り返していくと、外へ採取しに行けるようになるし、別の街へも出かけられる。ここを越えれば次から次へとやることが出てくるので、しばらくは悩むこともないだろうし、ヤメ時が見えなくなり病みつきになること間違いなしだ。全然面白くないと思った人は、まずは上記のことを実践してみることを勧めたい。
ここで、それぞれの行動について、もう少し詳しく見ていこう。材料の採取だが、初期3作品では採取地に行き日付を進めることで、自動的に材料が入手できた。後期2作品はこの部分が変更されて、フィールドを歩きながら拾っていく形になっている。本作は、ちょうどその中間を取ったような感じだ。
採取地に着くとフィールド画面が表示され、十字キーなどで画面を上下左右に動かし一定距離移動するたびに、材料が採れる仕組みを採用。ただし、必ず材料が採れるというわけではなく、敵とエンカウントする場合もあり、その時は戦闘開始となる。この採取方法はなかなかユニークなのだが、いちいち画面を上下左右に動かさないと材料が採取できないのは考え物。このせいもあって、サクサク進む感が全然感じられないのが残念。旧作の良いところは、そのまま残して欲しかった。逆に、今回はカゴという概念がなくなったために、材料をいくらでも採取できるのはうれしい改良点だ。
変わらないアイテム調合の面白さ
「リーズのアトリエ」の最大の魅力は、やはりシリーズの伝統、錬金術を使ったアイテム調合にある。
手順としては、まずはお店で「錬金術こうざ」「りょうりの錬金術」といったレシピの本を買う。その後、自分のアトリエにある錬金釜をタッチすると、アイテム調合画面に切り替わる。
たとえば、回復薬「アルテナの水」を作りたいときは、材料の「ほうれんそう」と「じょうりゅう水」を用意して、作りたい個数を決めると、必要な日数が経って完成する。アイテムも結構ユニークだ。
- 「おしおきロープ」:(材料:まほうの草1個、パルメ1個、国宝虫の糸1個)「おしおきするときに使うロープ。なげつけると、モンスターがからまって動きをふうじこめるよ」
- 「げきからシュー」:(材料:小麦粉1個、天然クリーム1個、ホットキューブ1個)「シューの中身をホットキューブに変えたらうまれた、おかし。カライ物好きにはたまらないらしい。HPを少しかいふくさせる」
などなど。この錬金術でお金を儲けるには、「銀の山羊亭」で依頼を受けるのが手っ取り早い。決められたアイテムを期日までに作り、銀の山羊亭に持っていけば謝礼がもらえる。
頼まれたものを作るというのは作業的ではあるが、仕事をテキパキ片づけていくのはなかなか気持ちいいものだ。お金も貯まるし評判も上がる。序盤は銀の山羊亭の仕事を積極的に受けよう。
今回は、従来作で採用されていた「品質」や「劣化」の概念はなくなった。食べ物は、何日経っても腐らないので安心だ。一応、「あかい」「あおい」といった特徴を、中和剤によってアイテムにプラスするテクニックもあるが、こちらもそれほど気にしなくても問題なし。
調合システムがシンプルになり、気楽にアイテムを作れるのが、今回の「リーズのアトリエ」の特徴といえそうだ。
また、ニンテンドーDSならではの新要素として、調合時にときどきミニゲームが発生するようになった。「あれ? なんかヘンかも…?」というリーズの声とともにミニゲームがスタート。ルールは数種類あり、錬金術に使った機材によって変化する。
- 錬金釜:釜の中に現れる赤い点を次々とタッチしていくミニゲーム
- 反射炉:息をマイクに吹きかけてゲージを調整するミニゲーム
- 調理器具:下画面の歯車をタッチして回し、上画面のテーブルの回転速度を維持するミニゲーム
成功すると、できあがるアイテムの数が増えるなどいいことが起こる。
いよいよゲームシステムについて両者とも踏み込んだ意見を書くに及ぶ。篠崎氏も柚木氏も順番を変えながらも、本作のキモといえる「調合」のほか、そのための採取に触れている。紹介の順番に前後はあれど、そのへんのキモはどちらも外していない。このへんは個性と言えるのだが、各人の好みが色濃く反映されている。
篠崎氏はゲーム序盤から順番に紹介し、かつプレーヤー視点に立ってアドバイスも織り込む手法で書かれている。もちろん得意の前シリーズ作との対比も忘れておらず、本作がどう改良されているかに触れている。しかし、改良したことから起きた弊害についても言及しており、筆者の俯瞰した視点は保たれていることが分かる。
柚木氏は「調合」という最大の特徴にまず触れ、このゲームの魅力をまず紹介しようという意図。もちろん序盤からの流れを説明することは忘れていないが、調合をメインにゲームの主な目的をまず紹介している。柚木氏は徹底的にゲーム未プレーヤーに焦点を当てている傾向が強いことがここでも推測できる。
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