ようこそ洋ゲーの世界へ! 洋ゲーマニアの熱き語らい――カプコンブース:東京ゲームショウ2007
カプコンと言えば「グランド・セフト・オート」シリーズや「ゴッド・オブ・ウォー」など質の高い海外ゲームのローカライズにも意欲的なメーカー。というわけで特設ステージで開かれたのは、生粋の洋ゲーマニアのトークイベント。洋ゲーが好きで好きでたまらない人たちによる濃い話が展開した。
カプコンブースの特設ステージでは、22日15時15分から“洋ゲー解放区”と題したトークイベントが開催された。冒頭、「グランド・セフト・オート」シリーズおよび「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズのプロデューサーである大原晋作氏が登場した。
開口一番、「みなさん、洋ゲーやってますかー!?」と客席に問いを投げかける大原氏。ちらほらと「やってまーす!」という反応があるのを確認し「おお、よかったです。やってない人もこれをきっかけにやってほしいです」とコメントした。まずは「ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲のプロモーション映像が上映された。
映像の終了を受けて「プレイステーション 2最高峰のグラフィックと呼ばれているクオリティの高いゲームです」と大原氏。「本作のテーマはギリシャ神話で、前作の続きにあたります。今回は主人公クレイトスがかなり巨大なキャラ(ギリシャ神話に登場するタイタン族)と戦います。敵が大きいだけでなく、ゲーム内容もスケールが大きくなってます」とアピールした。
さらに「CSアタック(CSとはコンテキスト・センシティブの略。状況に対応するという意味)で簡単にド派手なアクションを楽しめます。画面上のアイコンに従ってボタンを押すだけで、おー!俺すげーかっこいいなー!という多彩なアクションを繰り出せるんです。新しい敵が出るたびに、今度はどんなCSアタックができるんだろう、という楽しみがあります」とアクションの魅力を語った。
ここで、株式会社グラスホッパー・マニュファクチュア代表取締役、「キラー7」のディレクターとしてもおなじみの須田剛一氏と洋ゲー冒険家のマスク・ド・UH氏がステージに登場した。
3年ぶりにカプコンブースに帰ってきました、と須田氏。「今回は別のブースで『ノーモアヒーローズ』出してます。これ終わったら遊びに行ってください」と、のっけから自らの作品の告知だ。マスク・ド・UH氏は「今日はスペシャルバージョンのマスクで来ました。昨日布に穴を開けたんですよ」と東京ゲームショウ用にマスクを新調したことを明かしてくれた。
続いてスクリーンに映し出されたのは「ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲」の開発者であるトニー氏のビデオメッセージだ。
「どんな時にアイデアが浮かびますか」という質問に「いいアイデアは夜中に浮かぶね。意外な瞬間に浮かぶんだ。変な番組を見ているときとか。ダメな番組であればあるほど、クレイジーなアイデアが浮かんだりするんだ」とトニー氏。最近面白かったゲームは
「地球防衛軍3」だ、とのこと。「20ドル(約2300円)とは思えない。ホントに面白いゲームだよ」と絶賛した。「ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲」の注目してほしい点を聞かれ「やっぱり全部かな。ゲームを通してすべてを楽しんでほしい。通常のシーンとボス戦の区別をなくして1本のゲームにしたかったんだ。ゲームを始めたら、その世界にひたってほしいね」と答えた。
「いいアイデアは夜中に浮かぶ」というトニー氏に対して、須田氏は「僕の場合はトイレに入ってる時にアイデアが出ます。出すものを出したときにアイデアも出るんですよ」と発言し、笑いを取っていた。
「ホントにやり出したらやめられないんですよ。仮に死んでも直前のチェックポイントから始められますから、やられてもコンチクショウと思ってまたやってしまいます。続きが気になってしまうんですよ」と大原氏が語ると、須田氏とマスク氏は、うんうんと激しくうなずきつつも「けっこう疲れますよ」と声を揃えて言っていた。
ここからは洋ゲーマニアたちによるフリートーク。
大原氏に「何でそんなに洋ゲーが好きなんですか?」と聞かれた須田氏は「ファミコンの頃に『スーパーマリオブラザーズ』の発売日にサン電子の『スーパーアラビアン』を買ったんです。知らず知らずにちょっと変わったものを選ぶようになっていましたね。洋ゲーってことだと『アウターワールド』が原点かな」と答えた。
またマスク氏は同じ質問に対して「モータルコンバットです」と断言。「今回紹介している『ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲』は、去年のE3で、うぉすげーまた出るんだーと思って、発売後速攻でクリアしました。謎解きでちょっと詰まったんですけども」と海外版でバッチリクリア済みであることを語った。
それに対して須田氏は「もちろんクリアしましたよ!……体験版を(笑)」と応酬。「日本版をやりつつ海外版もやってローカライズの違いを確かめるっていうのが、いいと思いますよ」と発言するとマスク氏から「それ、かなりディープですよ。本体2台いるじゃないですか(笑)」と突っ込まれるなど、息もピッタリな2人だった。
洋ゲー冒険家という肩書き通りに自他ともに認める洋ゲーマニアであるマスク氏は「最近は『バイオショック』がオススメ。ホントにショック受けました。このゲームはすごい。話は宮崎駿のアニメみたいなんですよ。60年代の感じで、女の子を守っているロボットとか出てきて話はファンタジーで」と語りだすと3人は大いに盛り上がる。世界はアールデコ調、フリッツラングのメトロポリスとかロケッティアとかみたいな、という発言が飛び出し、マニアックトークに花が咲いた。
さらにトークは弾み、大原氏から須田氏に「洋ゲーのイメージを覆す面白いゲームが入ってきてますが、これは脅威ですか?それともいいライバルとして迎えてますか?」という突っ込んだ質問が。これに須田氏は「どっちもありますけど、脅威は感じますね。『ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲』っていうのは「デビルメイクライ」と同じテイストのゲームなんですよ。昔は洋ゲーといえばレスポンスが悪かったんですが、最近は繊細なチューニングができるようになってきてますね」と勢いある洋ゲーを評価。
その弁を受けて大原氏は「『デビルメイクライ』は好きだけどハゲオヤジ(「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズの主人公クライトス)はイヤだ、という人はぜひ騙されたと思ってやってほしいですよ」と推す。それに加勢するように須田氏が「キャラがなじめないと思ったら、『デビルメイクライ』のイケメン主人公は彼氏みたいな感覚で、クライトスはお父さんを操ってる感じでプレイすれば、没入感が高まるんじゃないでしょうか(笑)」とオモシロ発言で切り返した。
その後は「グランド・セフト・オート・バイスシティ・ストーリーズ」について3人が思い思いに語った。「GTAは大好き。いつかGTAとマリオを足して2で割ったゲームを作りたいです(笑)」と言う須田氏に「それレーティングはどうなるんですか(笑)」というマスク氏の突っ込みが入る。大原氏は「80年代が舞台で80'sの曲がかかる。僕らの世代はヒットですよね」とコメント。マスク氏は「因縁深いタイトルですね。日本に来るまでの時間がかかってますが、発売されるということが大事だと思います」と述べた。
最後に3人から締めの一言。マスク氏は「洋ゲーは牛肉。和牛もいいけど輸入牛もいいです。赤みの旨さがありますよ」と洋ゲーを肉に例えた。須田氏は「僕もいいことを言おう」と前フリしつつも「別ブースに『ノーモアヒーローズ』(須田氏が手がけたWii用タイトル)があります。これは洋ゲーを日本流にアレンジしたものです。今6時間待ちくらいなんですけども。ウソです(笑)。60分くらいでできますんで。やってみてください」とちゃっかり自分の作品の宣伝をした。
大原氏が「『ノーモアヒーローズ』を作った須田さんが影響を受けた洋ゲーのひとつが『ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲』なんですよ。騙されたと思って、ちょっと自分のゲームじゃないな、と思ってもとにかくやってほしい。前作『ゴッド・オブ・ウォー』のベスト版が出ているので、そちらからでもいいんでやってみてください」とコメントし、ディープな洋ゲートークを締めくくった。
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