幾多の戦場を駆け抜け、キミは戦乱の宇宙世紀の生き証人となる「ガンダムバトルクロニクル」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年11月08日 00時00分 公開
[鷲尾トモノリ,ITmedia]
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MSの性能に頼ってちゃダメです

 では、ミッション内でプレイヤーは実際にどんなことをするのか。簡単に言うと、視界やレーダーを頼りに敵を発見し、それを攻撃する、ということになるのだが、このゲーム、携帯ゲーム機用ソフトだからとあなどれない多種多様な操作が用意されていて、まさにMSを操縦しているような感覚が味わえる。

画像 ダッシュ移動のスピードは、機体性能の中でもかなり重要。素早い動きで、戦場を縦横無尽にかけろ!

 まず移動は、通常の走行の他に、前後左右に軽く跳ねるように動くステップ、スラスターを使って高速移動を行うダッシュ、やはりスラスターによるジャンプ、さらに上下への急上昇・急下降などを行うことができる。バトルでの基本は、常にダッシュやジャンプで高速機動を繰り返し、敵の攻撃に当たらないようにすることだが、スラスターを使った移動は、行うことでスラスターゲージが増加し、それがいっぱいになるとスラスターを使えなくなってしまう。スラスターの使用を少しでもやめればゲージはすぐに回復するため、長時間使えなくなるということはないが、ここぞというタイミングで使えなかった場合、手痛いダメージを受けることもあるため、ある程度は気にしながら戦っていく必要があるのだ。

 また、ダッシュ移動は実際の操作のタイミングよりもわずかに遅れて発生する性質があるため、何も考えずに連発していると、障害物などに引っかかったり、自分から攻撃に当たりにいったりといったことにもなりかねない。素早い操作を心がけつつも、冷静かつ先を読んだ判断(ニュータイプのように!)が必要なのだ。

 一方、攻撃の面でもいろいろ考えることは多い。まずは使用できる武器の種類が多いということ。これは使用する機体にもよるのだが、多くのMSには、切り替えが可能な複数の主兵装と1種類の副兵装に加え、格闘攻撃を常備しており、さらに防御用のシールドを持っている機体も多い。当然、これらにはそれぞれ異なる特性や使い所があり、プレイヤーはそれらを把握した上で使いこなしていく必要があるのだ。

 主兵装には、一発の威力は低いが連射が利き、近距離戦で威力を発揮するマシンガンや、威力は大きいが弾速が遅く命中しにくいバズーカ、威力もあって弾速もそこそこあるが、発射間隔が長く弾数も少ないキャノンなど、それぞれ一長一短があり、その組み合わせは機体ごとにさまざま。各武器は、弾を撃ち尽くすとリロードのため一定時間使えなくなるため、複数の主兵装をうまく切り替えながら、絶え間なく攻撃を行っていくのが基本だ。

画像 ボールの副兵装は、なんと仲間のボール部隊を呼ぶ、という変わったもの。質より数で勝負!

 副兵装は、主兵装同様の攻撃用の武器であることもあるが、補助的な効果を持ったものであることも多く、使い方によっては非常に役に立つ。例えば、近くの敵を一定時間行動不能にするドムの拡散ビーム砲や、実弾兵器を無効化するフィールドを張るゴッグのフリージーヤード、ダミーの機体で敵の攻撃をそらすリックディアスのダミーバルーンなどは、いずれもかなり有効な副兵装だ。

 格闘攻撃は、ビームサーベルやヒートホークなどで、やはりそれぞれダメージや間合いに違いがある。シールドは、受けるダメージを減少させる「防御」を行った際に、さらにダメージを肩代わりしてくれる効果を持っている。

画像

 そして、こうした攻防の面で重要になるのが「ロックオン」のシステム。これは、自機に一番近い敵機を自動的にマークし、攻撃が命中しやすくしてくれる機能だが、決して便利なだけではない。なぜなら、ロックオン中は常にその敵の方向を向いてしまうため、別の敵が接近してきた場合などにとっさに対応できなかったり、特定の方向を向いて移動したい場合などにもたついてしまう原因となる可能性もあるからだ。また、MS、戦車、航空機など敵のタイプによっても、それぞれロックオンを切り替える必要があり、慣れないうちは混乱することもあるだろう。

 それらを防ぐには、レーダーを見ながら周囲の敵の動きに気を配り、また、こまめにロックオンを切り替えながら戦うといった工夫が必要になってくる。戦場では気を抜いている暇などないのだ。

これがエースパイロットの力なのだ

 さらに、攻撃において重要なシステムが、「SPゲージ」。時間の経過や敵機の撃破などによって増加していくこのゲージを消費すれば、様々な種類の強力な攻撃を行うことができる。例えば、射撃や格闘の強化版であるチャージ射撃やチャージ格闘。強力な攻撃であることはもちろん、チャージ射撃は、その兵装がリロード中であっても使えるため、リロードが完了するまでの“つなぎ”としても活用することができる。

 超高速ダッシュを行うチャージブーストは、離れた距離から一気に距離を詰めたい場合に有効。そこからはチャージブースト格闘も出せるため、格闘攻撃の強力な機体を使っている場合は、積極的に活用したい機能だ。

画像 強力なSPアタック。ゲージ消費も大きいので、確実に当てていきたい

 SPアタックは、ゲージをまるまる1本分使って行う、まさに必殺技とも言える超強力な攻撃。そのアクションは機体によって異なるため、使用するタイミングや間合いはそれぞれで考えていく必要はあるが、うまくヒットさせれば、敵エースの機体であっても一撃で沈められる可能性もある。また、使用中は自機が無敵状態にもなるため、いざというときの切り札として、常にこれが使える状態にしておきたい。

 さらに、SPアタック同様に強力なのが、ゲージ2本分を消費する「ハイパーモード」。これを使うと、一定時間自機が無敵になり、さらに怒濤の連続攻撃が可能となる。敵の大軍に囲まれてしまった場合などは、これを使って切り抜けていきたい。

色は変えられないけど“オレ専用”

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 このゲームの楽しさは、戦うことだけではない。自分の気に入った機体をチューンナップして、自分だけの超高性能なカスタム機……いわば「オレ専用機」を作る楽しみも備えている。ミッションに参加すると、その時使っていた機体に対し「チューンポイント」が加えられるので、それを消費し、機体の各種性能や武器の能力をアップさせていくのだ。

 なお、各機体には個性があるため、チューンナップするにも能力ごとの上限がある。重装甲タイプのMSはHPや防御力を上昇させやすいし、高機動タイプのMSなら、機動性やスラスラター能力をより上昇させやすい。これは武器にも言えることで、さすがにマシンガンの1発の威力をバズーカ並にしたりすることはできないのだ。

 ただし、チューンナップには「オーバースペック」という手段があり、通常の3倍(いい響きの言葉だ)のポイントをつぎ込むことで、上限を越えて能力を伸ばすことも可能。各機体には、つぎ込めるチューンポイントの総量が決まっているため、その分、他の能力が割を食うことにはなるが、これによって、本来のイメージとはかけ離れた性能の機体を作り上げることができるというわけ。機敏に動き回るビグザムや、やたら頑丈なメタスなんていうのを作って楽しむのも、また一興だろう。もちろん、自機が強力になれば、その分、ミッションでの戦いもより楽になるはず。キャラクターを成長させると同時に、強力な機体を作り上げて、難関ミッションに挑戦していこう。

ガンダム世界に飛び込む楽しさ

 このゲームをプレイして感じたことは、やっぱり“ガンダムゲームは楽しい!”ということだ。いくつもの原作で世界観をしっかり支えられているガンダムの世界は、その世界観そのものが、なにより大きな魅力だ。そして、そのガンダム世界の楽しさをゲームで感じるには、自分が名もない兵士となって、これまでに描かれてきた物語の片隅に入り込んでいけるような、この「ガンダムバトルクロニクル」のようなゲームがもってこいではないだろうか。

 特に、複数の作品の時代を、ひとつの流れとして楽しむことができる本作は、長いことガンダムファンをしてきた人間にとっては、なかなかに魅力的なものがある。1プレイはサクッと短くできて、それでいて全体としてはボリュームもあるし、各ミッションの好成績クリアやMS集めなどのやり込み要素も充分。人によっては操作系が煩雑に感じることもあるだろうが、ゲームの内容自体は携帯ゲーム機らしい、気楽に楽しめるタイプなので、慣れてしまえばそれほど気にならなくなるはず。「最近、“ガンダム分”の補給が足りてない気がする」という人なら、充分プレイする価値のある1本ではないだろうか。

ガンダムバトルクロニクル
ジャンル 3Dアクション
対応機種 PSP
発売日 発売中
価格(税込) 5040円
CERO A区分(全年齢対象)
プレイ人数 1〜4人(通信協力・対戦が可能)
(C)創通・サンライズ


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