“ATで戦場を駆ける感覚”を再現した良作――「装甲騎兵ボトムズ」:「装甲騎兵ボトムズ」レビュー(1/2 ページ)
リアルロボットアニメの傑作「装甲騎兵ボトムズ」。そのTVシリーズをゲーム化した今作は、“ATで戦場を駆ける感覚”を再現した良作に仕上がっている。もちろん、ボトムズの代名詞にしてロボット対戦格闘ゲームのオリジナル・イメージソースというべき「バトリング」も熱い。単なるキャラクターゲームと侮るなかれ!
最低野郎(ボトムズ)が満を持してPS2に登場
2007年11月15日に発売された「装甲騎兵ボトムズ」は、1983年〜84年に放映された同名のTVアニメを原作とした、いわゆるキャラクターゲームだ。リアルロボットアニメの傑作として今なお多くのファンを引きつけてやまない作品だけに、ファンが思わずニヤリとしてしまう要素や演出がちりばめられているのは言うまでもない。
「なんだ。よくある“ファンしか買わないキャラゲー”か」――と思ったあなた。判断を下すのは早すぎる。
確かにグラフィック的なところは、PS2であることを差し引いても、不満に感じるところが多い。操作性についても、同種の他のゲームと比べた場合、引っかかりを覚えるところが幾つかある。だが、今作はファンを納得させるクオリティを保ったまま、アクションゲーム単体としても魅力のあるものに仕上がっているのは事実なのだ。
充実しているファンサービス
まずはキャラクターゲームとしてのファンサービスのところから見ていこう。
すでに述べたとおり、今作にはTVシリーズを知るファンであれば思わずニヤリとしてしまう要素や演出が随所にちりばめられている。フルCGで再現されたTVシリーズのオープニング、ロード画面で入るTVシリーズそのままのタイトルコールやアイキャッチ、後述する「ミッション」のタイトルも、その多くがTVシリーズ各話のものがそのまま使われているのだ。
さらに今作では、「ストーリーミッション」というものを始める前と後に、TVシリーズのセル画を使いながら、物語のあらすじが語られている。語り部はなんと主人公のキリコ本人。彼の視点からボトムズのストーリーが語られるというだけでも、ファンなら絶対に押さえておきたい要素だろう。
しかも今作は、TVシリーズを完全ゲーム化した初の「ボトムズ」ゲームでもある。4クール放映されたTVシリーズと同様、退廃的な近未来都市を舞台にした「シナリオ1 ウド編」、東南アジア的なジャングルや古代遺跡を舞台にした「シナリオ2 クメン編」、宇宙をキーワードとした「シナリオ3 サンサ編」、中東的な砂漠地帯などを舞台にした「シナリオ4 クエント編」という特徴的な“戦場”が用意されているばかりか、クエント編をクリアすると「シナリオEX」として、キリコを主人公とする「野望のルーツ」、「ザ・ラストレッドショルダー」、「ビックバトル」、「赫奕たる異端」、「ペールゼン・ファイルズ」に基づいたミッションも登場。ファンとしては文句の言いようがない構成と言っていいだろう。
無論、ゲーム中に登場したAT、キャラクター、BGM、ムービーなどを鑑賞できる「ギャラリー」も用意されている。ひとつ残念なのは、「ATギャラリー」での鑑賞中にATを動かせないところだ。やはり座らせたところも鑑賞したいというのがファン心理というもの。ATはボトムズの“華”であるだけに、ATギャラリーはもっと無意味なくらい凝って欲しかった……というのは、オールドファンの無いものねだり?
数々のミッションに挑戦するシナリオモード
今度はゲーム性を見ていこう。
1人プレイ用の「シナリオモード」は、マス目で表示されているミッション一覧からプレイするミッションを選び、これをクリアしていくことで、資金やAT、必殺技的な行動を可能にするMD(ミッションディスク)などを入手しつつ、新たなミッションを選択可能な状態にしていく、という形で進んでいく。
ミッションには「ストーリーミッション」と「フリーミッション」があり、そのシナリオのストーリーミッションをすべてクリアすると、新たなシナリオが選択可能になる。つまり、エンディングを見たいだけなら、ストーリーミッションだけを遊び続ければ良いというスタイルになっているのだ。ただ、ミッションの中にはシナリオモード全体のミッション達成率が一定以上でないと選べないものもあるため、あとになればなるほど、ある程度のフリーミッションをクリアしておく必要性に迫られてくる……が、このあたりはそれほど重要な話でもない。本題はミッションの中身、アクションゲームとしての面白さについてだ。
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