アクションと音ゲーの妙なる調和。リズムに乗って世界の果てを目指せ「PATAPON(パタポン)」レビュー(1/2 ページ)

4つのボタンに対応した4つの音。それを組み合わせて作った歌が戦士たちに与える命令になる。前進、攻撃、防御などのコマンドを音で出しながら、立ちふさがる敵を打ち破っていこう。影絵調のグラフィックが生み出す、独特のシャーマニズム世界も楽しい。

» 2007年12月25日 00時00分 公開
[水野隆志,ITmedia]

太鼓を叩いて敵をやっつける。この発想がすごい

 着眼点が面白い。柔軟な発想が素晴らしい。

 いったい、このゲームの楽しさをどうやって説明すればいいのだろう。紹介などというものは、簡にして要を得たものほどいいと思うが、このゲームではそれが本当に難しい。とりあえず、順を追ってご説明しよう。

画像 かつては栄光の時代もあったパタポン族。だが、今ではもう見る影もないほど落ちぶれている

 「PATAPON(パタポン)」(以下、PATAPON)で、プレーヤーがすることはたった1つ。太鼓を叩くだけだ。音は4種類あって、○ボタンを押すとポン、□ボタンを押すとパタ、△ボタンを押すとチャカ、×ボタンを押すとドンと鳴る。これを組み合わせて歌を作る。○○□○ならばポンポンパタポン。□□□○ならばパタパタパタポン。基本は四拍子なので、1、2、3、4のリズムで□、□、□、○と押せばいい。

 太鼓を叩くことでいったい何をするのか。なんと戦闘をするのである。誰が戦うのか。ここで登場するのがパタポン族だ。辺境も辺境、世界のはしっこに住んでいる部族。はるか昔、遠い遠い先祖の時には結構幅を利かせていたが、今では僻地に押し込められ、滅亡しかかっている。このパタポン族を救うことがゲームの目的であり、その手段が太鼓というわけだ。

太鼓のリズムがパタポン族に大躍進をもたらす

画像

 さて、ここからはゲームの展開に沿って説明を続けていこう。「PATAPON」の面白さを語るには、ゲームの流れをそのまま語るのが一番いい。

 オープニングではパタポン族の栄光に続いて、現在の窮状が描かれる。彼らは弱小も弱小、もう自力ではどうにもならないレベルまでボロボロになっている。こうなってくると、もう神頼みしかない。幸い、かつて先祖が世界にその名を轟かせていた時、部族には守護神がいたという伝承がある。パタポン族は勇士を募り、その神様を探すための旅に出た。だが、それも空しく失敗。探索隊自体が全滅しかかっている有様だ。

 探索隊のリーダーである「はたポン」は最後の悲痛な叫びを放ち……それを聞いたのがプレーヤーというわけ。パタポン族の守護神となって彼らを導いて欲しいという願い。プレーヤーがこれを受け入れると、伝説の太鼓を渡される。○ボタンに対応したポンの太鼓だ。

 プレーヤーが守護神になってくれたことを知った「はたポン」は、それまで彼が守ってきたもう1つの太鼓を捧げてくれる。□ボタンに対応したパタの太鼓。これでタイトルでもあるパタとポンの音が揃ったことになる。


画像 最初に手に入るポンの太鼓。○ボタンに対応していることをグラフィカルに教えてくれる
画像 こちらが次にもらえるパタの太鼓。残る太鼓はゲームを進めていくにつれて入手できる

 2つの太鼓が揃ったことにより、歌を作ることが可能になった。最初に奏でてやらねばならないのが「すすめ!の歌」。パタポンたちにエネルギーを与え、前へ進もうとする気力を与える歌だ。この歌は、□□□○、すなわちパタパタパタポン、だ。

 これを何度か奏でてやると「はたポン」が元気を取り戻し、前へと歩み始める。と、そこで出会うのが何人かの「やりポン」。ともに探索に出て行き倒れになっていた仲間たちだ。神の太鼓の音を聞いたことで活力を取り戻した彼らは、再び「はたポン」のもとに集うわけだが……ここから分かる通り、パタポン族の武器は槍。しかもそれだけ。なるほど、これではキビシかろう。先史時代ならまだしも、街に行けば立派な王宮が建っている時代。そんな世界で武器が槍しかないのでは。パタポン族の窮状、推して知るべし、だ。

「はたポン」と「やりポン」を救ってやれば、ステージ1はクリア。続くステージ2では、本拠地である「パタポリス」に帰還した戦士たちが次なる戦いに備えることになる。ここで、何だ、ポリスなんて名の付いたちゃんとした拠点があるじゃないか、などと思っていけない。パタポリスにあるのは、キャンプファイアーの火、神様への捧げ物をする祭壇、戦士を生み出す生命の樹、アイテムをくれる陽気な御神木、そしてオベリクなどなど。早い話が、とってもシャーマニズムにあふれた村なのだ。文明の息吹は正直あまりない。世界に冠たる栄光を取り戻すのはいいとして、目標はなかなかに遠い。

画像 パタポリスの中心にあるキャンプファイアー。大きな魔獣を倒した時などは戦利品とばかりにそいつの首を備えて宴会となる
画像 生命の樹・マテール。肉、木、石など、必要な素材を用意し、お金を添えて樹の根元に埋めれば、戦士を生み出してくれる
画像 宝物庫であるアルタル。手に入れたアイテムの確認ができる。強い武器を手に入れたら、すかさず戦士たちに装備させて戦力強化だ

 というわけで、パタポリスをベースに、神様とパタポンたちの世界進出計画がスタートする。

 当面の敵となるのがジゴトン族だ。コイツらは巨大な壁を築いてパタポンたちを僻地に閉じこめている元凶。まずはこの憎っくき敵を破らねばならないが、ことはそう簡単ではない。

 パタポンたちが持っているのはまだ槍だけ。これではまがりなりにも文明を持ったジゴトンに勝つのは大変だ。そこでしばらくは辺境での冒険が続くことになる。平原で獲物を狩りながら戦いの仕方を覚え、先祖の偉大なる霊を甦らせて戦士を増やし……そんなこんなでやがてパタポン族は斧と盾を装備した前衛部隊や弓を持った遠距離攻撃部隊などを編成できるようになる。歌のほうも「せめろ!」「まもれ!」などのバリエーションが増えてきて、駆け引きのある戦いができるようになってくる。ここまで来れば、ジゴドンとも戦える。かくして、パタポン族の躍進が始まるのだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」