いつしか気分はフィギュアスケート界のヒロインに――「くるプリ」第2弾が早くも登場「くるくる◇プリンセス 〜夢のホワイトカルテット〜」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年12月26日 00時00分 公開
[小泉公仁,ITmedia]
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演技時のグラフィックや操作性も向上

画像 演技が始まる直前の、主人公の緊張した面持ちをカメラが追ったり、ライバル選手の得点や現在の順位が表示されたりと、テレビ中継を思わせる演出がうまい

 大会での演技については、グラフィック、操作性とも大きく向上している。3Dで描かれた主人公のモデリングが精緻になり、動きもよりなめらかになったと感じる。演技が始まる前、リンクの中央まで滑走する主人公の表情をカメラが追うなど、演出面も強化された。技から技へのつながりも自然になり、実際の演技を見ている感覚にかなり近づいた。

 操作方法も、前作でよかった部分はそのまま残しつつ、さらにブラッシュアップされた印象だ。トゥループは「○」、ルッツは「W」というように、ジャンプの種類によって描く図形が変わり、回転数に応じて描く回数が増えるのは前作と同じだが、さらに今回は大会前の練習でジャンプに磨きをかけることが可能になった。これは、大会に出場するまでの間に「スケート場」へ行き、「技のしゅうとく」で新しい技を身につけたり、すでに習得した技のレベルを上げられるというもの。

 例えば、トリプルトゥループを繰り返し練習してレベルを上げると、タッチペンでなぞる「○」の幅が太くなり、図形を描くのが楽になる。つまり、大会前にしっかり練習しておくほど、本番での成功率も高まるというわけだ。努力がきちんと報われるという意味で、この仕組みはやり甲斐がある。

画像 初めは3回転ジャンプを持っていなかった「まゆり」も、練習を積み重ねることでさまざまな種類の3回転や、4回転も飛べる選手に成長する。また、同じ技でもレベルを上げるほど操作が楽になる。
画像 前作でのトリプルアクセルは「Ω」の図形だったが、今回は螺旋のような図形に変更され、入力がやや難しくなった

 スピンやステップなどの操作方法も若干変わったが、最も大きく変化したのはスパイラルだ。前作で、スパイラルだけはプレイヤーが何も操作する必要がなく、黙って見ているだけで「イナバウアー」などを繰り出せたが、今作では左右に揺れるデフォルメキャラを中央に留まらせるよう、タッチペンか十字ボタンでバランスを取らなければならない。これがなかなか難儀で、ジャンプやスピンなどよりもスパイラルの方がむしろ難しくなったと感じる。

画像 スピンでは、画面上に「上:はやく」や「下:おそく」といったマークが表示されるので、指示通りの速さでその部分をくるくるとなぞり、時間内にゲージをいっぱいにすれば「大成功」となる
画像 今回から、スパイラルにも操作を要するようになった。タイマーがゼロになる瞬間に、デフォルメキャラが中央にいるよう調整するのだが、これが思いのほか難しい……

 そして、前作同様にオリジナルの演技構成を組めることが何よりの魅力。ショートプログラムの場合、まず8つの空欄に「ジャンプ」や「スピン」などのパネルを配置して、演技の大まかな流れを作る。続いて、例えば「ジャンプ」なら技の種類と回転数を決めるなど、自分の持ち技から演技の詳細を詰めていく。フリースケーティングのコンビネーションジャンプでは、一度だけ3連続(例えば、3回転−3回転−2回転など)を演技に組み込めるなど、本格的な作りに感嘆させられる。

 また、演技で使用できる衣装、アクセサリー、楽曲も大増量。特に、楽曲が増えたことが個人的にうれしい。前作で採用されていたショパンの「幻想即興曲」(先述のグランプリファイナルで浅田選手がフリーで使った曲)などに加え、グリークの「朝(ペールギュント)」、ロッシーニの「セビリアの理髪師」、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」などが新たに収録されている。楽曲のレパートリーが増えたことでイメージがますます膨らみ、それぞれに合った衣装や演技内容を思い描くのが楽しいのだ。気がつけば、フィギュアスケーターかはたまたコーチかと思うほど気分が乗ってきて、いつまでも本番に移れない……。

画像 衣装やアクセサリーには、相変わらず実際の競技で絶対に使えないようなものも存在するが、それが許されるのもゲームだからこそ。
画像 今作でも自分でオリジナルの演技を構成できる。大技を繰り出して高得点を狙うか、リスクの低い技で無難にまとめるか、選手やコーチさながらの気分に浸れる

「フィギュアスケートらしさ」が存分に味わえる

 演技を終えると、場面はコーチと主人公が採点を待つ「キスアンドクライ」に変わり、技術点や構成点、順位が表示される。このゲームのルールや採点方式は実際の競技と異なるが、ショート、フリーとも“それらしい”点数が出てくるので、興に入ることができる。

 このゲームの良いところは、フィギュアスケーターの気分を手軽に味わえることにある。本番前に張りつめた緊張感を覚えたり、「ひとつのミスもなく完璧な演技をしたい」と思うのは、「フィギュアスケートらしさ」がうまく再現されていて、プレイヤーをその気にさせるからだろう。前作で不満に思われた部分にきちんと手を入れて、より遊びやすくした点も評価できる。欲を言えば、低年齢層がメインターゲットとはいえ、シナリオや台詞にまだ少し凡庸さを感じるので、もうちょっと深みを出してほしいところ。

 「くるくる◇プリンセス 〜夢のホワイトカルテット〜」……。改めて口に出してもやっぱり恥ずかしい。このタイトルなのか、ビジュアルが影響しているのか、どうもこのソフトは色物&子どもオンリーと思われやすく、それで損をしているような気がしてならないが、実際に遊んでみるとイメージががらっと変わる。前作と比べても、完成度ははるかに上だ。仮にリアリティや競技性をもう少し高めて、据置型ゲーム機で大人向けのバージョンを作ったなら、どんなソフトに仕上がるだろう。そんな展開も期待してみたくなる。

くるくる◇プリンセス 〜夢のホワイトカルテット〜
対応機種 ニンテンドーDS
発売日 発売中
ジャンル くるくるタッチフィギュアアクション
価格(税込) 5040円
プレイ人数 1〜2人

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ニンテンドーDS | 浅田真央 | スパイク


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