やりやすくやられやすい――新生「FFIV」は手堅いRPG「ファイナルファンタジーIV」レビュー(3/3 ページ)

» 2008年01月15日 00時18分 公開
[仗桐安,ITmedia]
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 本作の戦闘全体に言えることだが、はっきり言って「敵が強いッス!」。前半はホントに油断してて死んだこと数知れず。ちょっとした雑魚だと思って甘く見ていると痛い目に遭う。ボス戦にいたっても、本作でボスの特性や行動が追加されたりしているようで、なかなか戦略的なプレイが要求される。戦略でしのげればまだいいが、戦略で勝つ以前にHPが足りない、防御力が足りない、という基礎的なところでの敗北感を感じることが多くあった。必然的に「レベル上げなきゃ……」と思い至り、付近で雑魚を狩りまくったりしたものだ。さすが初代「FFIV」にイージータイプが出るほどの難易度! 骨太なRPGファンをもうならせるハードな面を持つタイトルだと言っていい。初心者がプレイすれば苦労をするかもしれないが、前述したオートバトルなども駆使して地道にレベルを上げてボスの特徴や弱点を見つければ必ず突破できるので、理不尽ではなく、むしろやりがいのある難しさだと思ってもらっていい。最近のいつのまにかレベルが上がっててすいすい〜っとクリアできてしまうRPGとは一味も二味も違うのである。

雑魚はオートバトルで蹴散らせ〜 あちょ〜
雑魚のくせに厄介な攻撃しやがって〜とキレそうになることもしばしば……
着実に倒してレベルアップしていきまっしょい

新要素もあり、歯応えもあり、DS版「FFIII」から続く秀逸なリメイク作品

 グラフィックなど演出面を強化しつつ基本的には初代「FFIV」に忠実な内容である本作だが、本作で初お目見えの新要素もいくつかある。まずはデカントアビリティ。これは各キャラがバトルコマンドとして選べる能力で、5つまでセットすることができる。中には「オートポーション」(ダメージを受けると通常のコマンドとは別に自動的にポーションを使用する)というデカントアビリティのように自動的に効果が現われるものもある。

 デカントアビリティは仲間がパーティから去った後に残していくデカントアイテムを使うことで覚えさせることができる。注意したいのは一度覚えたデカントアビリティは忘れることができないという点。誰に何を覚えさせるのか、よくよく考えて選択する必要がある。全部で30種類以上あるデカントアビリティは入手条件が特殊なものもあるので、探りながらプレイしてみてほしい。

 新要素と言えばネミングウェイの存在も忘れてはならない。ネミングウェイというキャラはプレイヤーキャラの名前を変えるキャラとして知っているファンもいるかと思うが、本作ではネミングウェイとして登場したキャラが、会うたびにどこかに行ってしまい、別の場所で見つけると○○○○○ウェイという別の名前に変わっているのだ。そのたびにプレイヤーに役立つ要素やオマケ要素を残していってくれる○○○○○ウェイを、全員見つけることができたらきっといいことがあるだろう。

一度いなくなるとまったく別のところに姿を現わす神出鬼没なキャラ。とにかく街の中を探すしかない?
モンスター図鑑も存在する。図鑑のコンプリートを目指すのもいいかもしれない

 さらにニンテンドーDSならではの新要素なのが幻獣ポーチカ(もしくはプレイ中に自分がつけた別の名前)によるワイヤレス対戦だ。本作は1人用のゲームだが、ポーチカのプレイはワイヤレスで2人による対戦が可能。各地にいるでぶチョコボに話しかけるとポーチカメニューが開く。ポーチカメニューでは「おえかき」でポーチカの顔を変えたり(タッチペンで落書きのように顔を変えられる。これが地味に楽しい)、「修行」と題したミニゲームでポーチカを育成したりできる。ここで育てたお互いのポーチカを友人と持ち合って対戦できる、というオマケ要素だ。対戦はポーチカにつけたアビリティに従ってバトルコマンドが自動的に繰り返され、どちらかのHPが0になったら終了するという単純なものだ。ちょっとした息抜きにはいいかもしれない。

でぶチョコボを呼ぶにはギサールの野菜を使う必要がある。街の店で売ってたらしっかり買っておこう
ポーチカの顔を描き変えるだけで楽しかったりする
ミニゲームで修行せよ!

 2006年に「FFIII」がニンテンドーDSで劇的に進化して帰ってきたように「FFIV」も本作で大幅にリニューアルされた感はある。ビジュアル面で言えばニンテンドーDS版「FFIII」と同じベクトルの、ムービーあり、3頭身ポリゴンキャラという進化だが、本作はさらにボイスがついていたり、オマケ要素が追加されていたりして、開発者のサービス精神がうかがえる。ニンテンドーDS版「FFIII」とくらべてロードが短くなったことも大いに評価したい。ロードによるストレスはほぼなくなったと言っていいだろう。

 戦闘画面が、従来の“右側に味方キャラ、左側に敵キャラ”という配置を基本としつつ、ボス戦などここぞというところで奥行きのある画面になる、という演出もユーザーの気持ちを汲んでいるな、と感心した。キャラは3D表現になっているが、やはり2D的な戦闘画面もいいものだ。また、さまざまな点で細かくプレイしやすくなっており、2周目プレイを前提とした要素もあるので、マニア向けなやり込み要素もバッチリだ。心配なのは、戦闘の難易度が高いため心が折れてしまう人もいるかもしれないという点。物語はかなりよくできているので、ぜひ最後までプレイして感動を味わっていただきたい。

 詰まったらレベル上げ! こまめにセーブ! 回復もまめにね! と当たり前のようなアドバイスを残して、皆様のご武運をお祈りし、この記事を終わることにしよう。

「ファイナルファンタジーIV」
対応機種ニンテンドーDS
ジャンルRPG
発売日2007年12月20日
価格(税込)5980円
(C) 1991、2007 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.
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