1本が10本分にもなる――サイバーステップが考える海外展開の重要性:CEDEC 2008
オンラインゲームを自社開発するサイバーステップを代表して、代表取締役社長の佐藤類氏が講演を実施。自社開発を行う意味や、海外展開のメリットなどが語られた。
ゲーム開発者向けカンファレンス「CESAデベロッパーズカンファレンス 2008」の最終日には、サイバーステップ 代表取締役社長の佐藤類氏による講演「新開発オンラインゲーム(2タイトル)の国内サービス立ち上げ及び海外展開(韓国、中国、台湾、米国)についての具体的活動の紹介と研究開発中の新しいオンラインエンターテイメント(遠隔操作ロボット)のデモ」が行われた。
サイバーステップの特徴としては、オンライン3D対戦格闘「ゲットアンプド」や、オンラインロボアクションRPG「ロボ聖紀C21」といったタイトルを自社で開発し、10を超える海外の国および地域で、現地の会社と協力してサービスを提供していることが挙げられる。講演でまず、この点に触れた佐藤氏は、自社でタイトル開発を行っている理由を次のように話す。
「役員会とかで新規タイトルの話をすると“それは売れるの?”という話になってしまう。僕は売れるかどうかではなく、作りたいか作りたくないかが大事だと考えている。作ってからできあがったものを見てもらって、買ってくれるところと一緒に組んでやればいい」。
海外でタイトルを展開するようになったのは、2002年のゲットアンプドからだったと佐藤氏は振り返る。ゲットアンプドは当初、3680円のシェアウェア、380円の月額課金という2つの方法で販売していたが、ユーザーのほとんどが月額課金を選択したため、月の売上は5万円程度、大赤字でのスタートになったのだという。
何から手をつければいいのか分からなかった時に、たまたま韓国のゲームメーカーと知り合う機会を得たと佐藤氏。「ゲットアンプドを見てもらったところ、韓国で一緒にやろうという話になりました。その後、ゲットアンプドを開発し直して、2002年12月に韓国で正式サービスが始まり、現在では12の国と地域で展開するに至っています。まぐれ当たりといえば、完全にまぐれ当たりですね(笑)」。
アイテム課金に変更したのは韓国側からの要望で、当時は仕組みを理解していなかったと佐藤氏。ただし、仕組みを理解した今では、さまざまなメリットを感じていると話す。「家庭用ゲームのパッケージ販売とは異なり、地域にあった価格設定を行える柔軟性がありますよね。例えば中国なら日本の4分の1くらいの価格といったように、そこにいる人たちの所得を考えた値付けができる。それとゲーム内での売れ筋、楽しまれ方を見て、新規アイテムの売り出し、追加開発が行えるんです」。
話題は“海外展開がなぜ必要か?”に移る。佐藤氏曰く、「単純な話で、国内人口の約1億3000万人に対して、世界人口は60〜70億人だからです。日本でどれだけ頑張っても1億4000万人になることはないですけど、海外であれば上限は60〜70億人になる。全員というのは無理でしょうけど、10億人ぐらいなら現実にあってもおかしくはない。ゲームを楽しみたいという人は世界中にいて、少なくとも日本の人口よりは多いはずなんです。日本のエンターテインメントはレベルが高い。日本にいると実感がわかないかもしれませんが、それはトップクラス同士で競っているからよく分からないだけで、世界的に見ればダントツなんですよ」とのこと。
続けて、「サイバーステップは創業して9年が経ちますけど、今年の年末に新規タイトルを2本出して、ようやく自社開発タイトルが4本になります。2年に1本出している計算になりますけど、ロボ聖紀C21が黒字化したのは昨年末ぐらいからで、僕らはこの8年間、ゲットアンプドだけで生きてきたんです。作ったのは1本でも、それを海外展開することで1本が10本分にもなる。東南アジアの国でも、ある程度規模のある会社なら20、30万ドルは払ってくれます。3カ国で展開すれば100万ドルにもなるんです」とも語ってくれた。
最後に佐藤氏は「好き勝手にゲームを作るのは難しい」と前置きしたうえで、「作ったら評価してくれる人、お金を出してくれる人というのは国内に限定されません。売れれば何とかなるくらいの気持ちでゲームを作ると、本当によいものができるのではないでしょうか。日本のクリエイターはせっかく才能やセンスがあるのですから、日本や北米、欧州以外にもエンターテイメントを届けてほしいと思います。一番は会社を作ってしまうことです。(サイバーステップの)競合になって、僕が“何であんなこと話したんだろう”と後悔するぐらいのゲームが出てくることを願っています」と話すなど、日本や北米、欧州だけでない、本当の世界に目を向けることの大切さを説いた。
関連記事
- 「コズミックブレイク!」レビュー:空いた時間に1バトル! お手軽MMOバトルシューティング登場
30機vs30機のハイスピードのロボットバトルが楽しめる「コズミックブレイク!」は、MMOバトルシューティングという珍しいジャンルのゲームだ。オンラインゲーム初心者や忙しい人でも奥深いバトルが楽しめる本作の魅力をお伝えしよう。 - CEDEC 2008基調講演:未来のために攻撃へ転ずるべき――「ゲームというビジネス、ビジネスというゲーム」
2日目の基調講演に登場したのは、カプコンの稲船敬二氏。サッカーを例に、グローバルな視点と攻めの姿勢こそがこれから求められることだと、クリエイターと経営者にモノ申す。求められるのは経営と向き合うこと? - CEDEC 2008基調講演:CEDECは「新しいこと」と「次にくること」を提示する――「CEDECの10年、これからの10年」
9月9日、日本最大級のゲーム開発者カンファレンス「CESA DEVELOPERS CONFERENCE 2008」が始まった。先陣を切るのは、CESA副会長兼技術委員会委員長を務める、コーエー代表取締役社長の松原健二氏。CEDECのこれまでを紐とき、これからを指し示す。 - CEDEC 2008:絞ることで得た成功――「『龍が如く』を生み出すタイトルプロデュースの未来」
CEDEC最終日となる9月11日、セガの名越稔洋氏が自らプロデュースした「龍が如く」シリーズを例に、無闇に世界を標準にするのではなく、絞り込み捨て去ることも選択肢としてはあると語る。 - CEDEC 2008:「テイルズ オブ ヴェスペリア」ヒットの理由を聞いてきた
Xbox 360本体を品切れにさせたタイトル「テイルズ オブ ヴェスペリア」。その開発スタッフを代表して、プロデューサーの郷田努氏、制作プロデューサーの樋口義人氏、ローカライズプロデューサーの三好秀一郎氏の3名が、CEDEC 2008でセッションを行った。 - CEDEC 2008:「99のなみだ」はどうして生まれたのか?
「自分や自分に似た人に向けた製品を作りたい」――。ニンテンドーDS用ソフト「99のなみだ」の起源は思いがけないものだった。 - CEDEC 2008:「スペースインベーダー」「パックマン」を振り返りつつ次世代を考える
「すべてはここからはじまった 〜スペースインベーダーとパックマンから学ぶ事、そして次世代へ〜」と題したパネルディスカッションには、西角友宏氏、岩谷徹氏、高橋利幸氏といった豪華メンバーが登場した。その中身をお伝えしていく。 - CEDEC 2008特別インタビュー:手を抜いているところはない――CEDECで公になるMGS4のデザインワークフロー
CEDECでの講演を間近に控えたKONAMIの根岸豊氏にインタビューする機会を得た。根岸氏は、小島プロダクションで歴代の「METAL GEAR SOLID」シリーズのデザインを手がけてきた人物。今年のCEDECでは「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」のデザインについてワークフローを紹介するという。デザイナーの立場から見た「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」とは? - CEDEC 2008特別インタビュー:「日本はもうゲーム先進国ではない」――岡本吉起氏が語る“世界に通用するゲームプロデュース”
日本最大級のゲーム開発者カンファレンス「CEDEC 2008」で講演を行うゲームリパブリック社長の岡本吉起氏に、講演内容として「いま、必要とされるゲームプロデュース」を選んだ理由や、ゲームリパブリック立ち上げから5年間が経っての今を振り返ってもらった。 - CEDEC2008の基調講演に宮本茂氏と稲船敬二氏決定
- 「CEDEC AWARDS」のノミネートが発表に――本日より投票受付開始
- CEDEC2008の開催日が決定
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「プロ野球チップス」で誤字 伊藤大海投手を「176m」と記載してカルビー謝罪
-
「ママ友襲来10分前」→さぁ、どうする……? 大爆笑の“あるある”再現が400万再生突破「腹ちぎれました」「バナナ食べんでもええやん」
-
富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
「大型魚の餌に!!」 熱帯魚店の“思わず目を疑うPOP”に恐怖 「サメでも飼うの?」
-
2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに手をスリスリされた瞬間…… 愛と幸せあふれる空間に笑顔になる「これぞ天使だ」
-
漂う違法感 東京に戻る息子へ持たせた“大量のブツ”に「九州人あるある」「帰省からの帰りいつもこれ」の声
-
異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」