もっとオンラインゲームは多彩なジャンルがあっていいはず――「アトランティカ」開発者インタビュー(1/2 ページ)

10月28日よりオープンβテストが始まる「アトランティカ」の開発者・NDOORSのキム・テゴン氏とネクソンジャパンの運用チーム・森山浩文氏とアン・スヒョン氏に話をうかがった。

» 2008年10月24日 16時49分 公開
[加藤亘,ITmedia]

日本人にはなじみ深いシステム

 先日、クローズドβテストも終了し、10月28日よりオープンβテストが開始される「アトランティカ」は、エンカウント制と時間制限付きのターン制戦闘システムが特徴のMMORPGである。プレイヤーは7種類の武器の中から選び戦い、傭兵を8人まで連れて冒険することになる。各自、これらの武器と傭兵の組み合わせが戦略の要となるわけだ。このプレイヤーは主人公と、ともに旅をする傭兵たちを操作しながら、アトランティス大陸を求めて世界各地を旅することになる。

 目的地までクリックひとつで導いてくれる「自動移動」システムのほか、「無限リーグ」と呼ばれる対人戦や国家戦、経験値の格差を抑制しコミュニケーションを促す「スタミナ」システムなどが特徴だ。



左からアン・スヒョン氏、キム・テゴン氏、森山浩文氏

 オープンβテスト開始目前となった10月某日、ネクソンジャパンにおいて「アトランティス」の開発に携わるNDOORS Corporation 開発本部理事 キム・テゴン氏と、ネクソンジャパン運営部の森山浩文氏、同じくアン・スヒョン氏にお話をうかがう機会を得た。

―― まもなく日本でのオープンβテスト開始が近づいた「アトランティカ」について、まずは製作するに至った経緯を教えてください。

キム・テゴン氏(以下、キム/敬称略) NDOORSでは「君主オンライン」の開発・サービスを行ってきました。「君主オンライン」はユーザーから投票を行い、その中から君主を選ぶ政治的要素と、市場でアイテムを取引したり生産をしていく資本主義の要素が取り入れられていました。これらのいいところを生かしつつ、足りないところを改善し、新しいゲームを作ろうという主旨で「アトランティカ」の開発が始まったんです。基本的には、ターン方式で自分だけでなく、自分のほか8人の傭兵を操作するというシステムになっているのが大きな特徴です。

 既存のオンラインゲームがアクション性を重視したものが多かった中、ゲームはアクション性だけでなく、もっと面白いものであるはずと考えました。また、ユーザーの中には、もっと戦略性が楽しめるものを望んでいる人もいると考えていました。

―― 日本でのサービス運用先がネクソンジャパンになった経緯は?

キム 基本的に「アトランティカ」がMMORPGとしては独創的なシステムになったこともあり、兼ねてからユーザーにどうアピールしていくべきかを最重要視していました。つまりは、従来どおりのジャンルであればどこでサービスしてもよかったんです。しかし、ゲームのスタイルが従来のものとは全然異なるので、宣伝を含めてマーケティングをどうするのかを考慮しました。韓国においてもネクソンと仕事をしたことがあるので、ある程度の信頼はありましたし、やはりなんといっても、日本での実績とマーケティング力を鑑みて、「アトランティカ」を任せられると判断しました。

森山浩文氏(以下、森山/敬称略) 非常にうれしいですね。

―― ではなぜ、エンカウント制の時間制限付きのターン制戦闘システムでなくてはならなかったのでしょうか?

キム 映画にはいろんなジャンルがありますよね? その分、文化を楽しむ人はさまざまな好みがあるものです。しかしながら、オンラインゲームは今まで多様性がなかったと思っています。むしろ、既存のトレンドに従っていく傾向にありました。そこで、同じようなどこかで見たものではなく、ほかとは異なるジャンルを、違ったアプローチで作ってみようと思ったのです。韓国と北米でサービスを開始しているのですが、その反応を見てもこの判断は成功だったと確信しています。

―― 韓国と北米の状況はどうですか?

キム 韓国ではNHNがサービスをしており、具体的数字を公開することはできないのですが、この2〜3年でサービスを開始した数々の新規のオンラインゲームの中で、ユーザー数を純粋に伸ばしているのは「アトランティカ」が唯一ではないでしょうか。北米ではまだオープンβテストを開始したばかりですが、ゆるやかではありますが増加傾向です。やはりゲームの独創性が評価されているのでしょう。コンシューマーゲームのような懐かしさと、最近のオンラインゲームユーザーには新鮮さを与えられたのではないかと思います。

―― 日本でのクローズドβテストの状況はどうでしょうか?

森山 1万名を募集してクローズドβテストを行ったのですが、ありがたいことに規定枠以上のご応募をいただき、特に大きな問題もなく無事に終えることができました。ユーザーからの感想としては、目的地にオートでいける「自動移動」システムが好評で、パーティーを組まないと遊べないゲームに辟易していた方にも高評価をいただいております。また、ほかのゲームと比べてクローズドβテストの継続率も高いものでした。

―― クローズドβテストでは、不具合の報告などは受けていますか?

森山 マップの一部で強制的にログアウトをすると、次回入れなくなるという不具合が確認されていますが、現在修正中です。多少、要求スペックが高いという意見もありましたが、ゲームに入ってグラフィックのレベルを調整してもらうことで緩和されると思います。

キム ゲームの規模が大きく、ダンジョンもモンスターも多く、そもそものデータが多いゲームなんです。そのため、システム上で要求するスペックが高いのは理解しています。日本のゲーム環境やノートPCが多いことも認識しているので、軽く遊べるような低スペックバージョンを現在準備しています。「アトランティカ」がどういうゲームかを知ることができる、簡単にプレイできるバージョンになりますので、近いうちに公開できると思います。

―― 特にターン制は日本ではなじみのあるシステムですが、どんな意見が多かったのでしょうか?

森山 連続してクリックするだけの戦闘とは異なり、布陣を考えたり、傭兵の構成を組み替えたりと戦略的な楽しさがある点が好評でした。ネガティブな意見としては、今後の課金形態についてどうなるのかといったところでしょうか。料金形態は基本料金無料のアイテム課金を考えていますが、詳しいことについては今後発表していきたいと思っております。

―― 対人戦「無限リーグ」については、どういった意図があったのでしょうか?

キム 開発当初から「無限リーグ」は企画されていたのですが、韓国では認知されているe-sportsとして利用できることを意図して作られました。傭兵の数や構成によってはある程度のレベル差をひっくり返せる戦略性の高さが特徴です。今も引き続き改善しているのですが、今後はサーバーごとではなく全サーバー対抗で戦えるようにしたり、国家別での対戦も企画しています。

―― PvPの反応はどうでしたか?

;森山 個人的には日本のユーザーはPvPがあまり好きではないと思っていたのですが、こと「アトランティカ」にいたっては無限リーグというPvPを違和感なく楽しんでくれたようです。

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