1999年1月29日

白泉社が同社漫画をドラマCD化

今後もメディアミックスに注力

 白泉社は1月29日,同社が発行している少女漫画誌「花とゆめ」の創刊25周年を記念し,4月から「白泉社ドラマCDコレクションシリーズ」(HCD)を製作すると発表した。

 HCDは,「伯爵カインシリーズ カフカ」(由貴香織里作)など「花とゆめ」で人気の漫画作品を,白泉社とアニメイトフィルムが組んでサウンド入り音声ドラマCD化するもの(詳細は後述)。

 都内のホテルで行われた発表会において,白泉社取締役,甘利博正氏は,「ドラマCDは各社からリリースされているが,男性のファンは映像など直接的な表現を好み買い渋る傾向がある。しかし,女性は音で漫画の世界を自分の中で育てる傾向がある」と,今回のプロジェクトに期待を寄せる。

 次いで挨拶に立った同社編集管理部担当役員(ニューメディア担当)角南攻氏は,「あくまでドラマCDはスタート。今後白泉社は,さまざまなメディアミックスに本格的に取り組んでいく」とした。角南氏は,「またドラマCDは,漫画を原作とした第1次ブーム,ゲームやアニメを素材とした第2次ブームがあったが,最近やや沈静化している。われわれが第3次ブームを起こす」と,同社の意気込みを語った。

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白泉社
URL: www.hakusensha.co.jp

「花とゆめ」編集長の矢倉孝裕氏も,「今までのドラマCDは”やっつけ”作業によるものもあったように思う。HCDは単なるドラマCDではなく,SEや効果音1つにもこだわったものとしたい」と話す。

「白泉社ドラマCDコレクションシリーズ」は,60分程度のドラマと主題歌など音楽を収録。4月21日から全国のCDショップ,アニメショップなどで発売される。HCD化される作品は,前述の「カフカ」のほか,「ニューヨーク・ニューヨーク」(羅川真里茂),「闇の末裔」(松下容子),「翼を持つ者」(高屋奈月),「世界でいちばん大嫌い」(日高万里)など。価格は2,800円。発表会に同席した「カフカ」の作者,由貴香織里さんは「自分の作品が音で表現されるのが楽しみ」としている。

 また,同CDに出演予定の声優・子安武人氏は,「アニメのように絵に助けられることがないので,ドラマCDはやりがいがある。自分らしさも出していきたい」と話した。この子安氏のほか,発表会の司会は,人気声優ユニットのChiffonsが務めたことから分かるように,「このドラマCDをきっかけに新たな声優の開拓も考えている」(角南氏)と,声の面も含めかなり広範囲なメディアミックスプロジェクトであることをうかがわせた。

 その尖兵となるドラマCDは,「一部の人間だけでなく,原作者や編集者などが製作に関わって,ファンのニーズに応えるものとしたい」(矢倉氏)というから,発売を楽しみにしたい。

[ITmedia]

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