1999年2月10日
コンピュータエンタテインメントソフトウェア協会(CESA)と日本音声製作者連盟は2月10日,声優の出演料などゲームソフトの音声制作に関し,ある一定の基準において合意したことを明らかにした。 そもそも今回の件は,洋画の吹き替えやTVアニメなどと比較して声優のゲームへの出演料が高いという問題からスタートしている。CESAの声優出演料問題小委員会,委員長を勤める横山俊朗氏は,「ここ数年ゲームに関する声優の出演料は高騰を続けており,CESAとしては3年前から声優のギャランティを下げるよう動いていた」と話す。 アニメなどでは日本音声制作者連盟などの基,厳格なギャランティの制定があったが,ゲームではそれが適用されていなかったという。 その理由として横山氏は,ゲームメーカー側がそうした価格設定があることを知らずに,直接声優が所属するプロダクションに出演依頼していたこと,特定の人気声優の指名が多いことなどを挙げている。また,洋画の吹き替えなどと異なり,ゲームは声優を束縛する時間が長いことなども問題としている。 この辺はゲームがまだ「若い」メディアだということに起因していることは間違いない。ましてやゲームに音声が組み込まれるようになったのは,PCエンジンやFM-TOWNSがCD-ROMを搭載してからのことだ。 価格引き下げを訴えるCESA側と,束縛時間など苛酷な仕事内容を理由にアニメなどと同額にするわけにはいかないとする出演者の組合などの間で,一時期この問題は白紙状態になったこともあったようだ。 しかし,1年前,俳優の出演協定や番組の再放送使用料管理などを行う団体である日本音声製作者連盟(この日の発表会には塚田理事長らが出席)が間に入ることで,今回の同意に至ったという。
出演料に関しては,声優のアニメなどのギャランティをベースにゲーム独自の価格設定をしたもの。これにより,ゲームメーカーはソフト制作面においての一部コストダウンが図れることになる。一方の移植料に関しては,異なるプラットフォームにゲームを移植したときにオリジナル版出演時の数十パーセントを出演者側に支払うというもので,声優側の意見が反映されたものだろう。 ほかにもプロモーション関連における出演者へのギャランティ問題などで,合意がされたもようだ。 ただ,細かいことに関しては,まだこれから新たに「前例」を創っていかなければなるまい。そのためには,ゲームメーカー側,出演者側の相互理解をさらに深める必要がありそうだ。 [原 毅彦,ITmedia] |
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