1999年7月19日

飯野氏らが「AKIBAX '99」の会場で

デジタルアートの著作権について対談

 既報の通り,デジタル家電のイベント「AKIBAX '99インターネットショー in 秋葉原」が,現在秋葉原駅前などで開催中だ。今日(7月19日)も蒸し暑い中,会場はたくさんの来場者でいっぱいだった。今日終業式だったのか学生もたくさん見かけたぞ。

 来場者たちは,最新ノートPCや各ブースのキワドイ格好をしたお姉さんたちに釘付けだったぞ。同時に本日16時からイベントステージで開催されたメディア・アーティスト協会 (MMA:Media Artists Association)メンバーらによるパネルディスカッションはたくさんの人を集めていた。

 MMAは,ワープの飯野賢治氏,音楽家の坂本龍一氏,CGアーチストの河口洋一郎氏らが発起人となって設立された団体。インターネットをはじめとするデジタルメディアでの著作権のあり方について,アーティスト自身の意見を集約・発表することを目的としている。

INFORMATION

AKIBAX '99
URL: www.akihabara.or.jp

 今回のパネルディスカッションは,「メディアアートの行方と著作権 〜MAAの今後〜」をテーマに行われた。

 出席者は,司会の松武秀樹氏(ミュージシャン),飯野賢治氏(ゲームクリエイター),原田大三郎氏(CGアーチスト),中尊寺ゆつこさん(イラストレーター)のMMAメンバーに加え,デジタルガレージ会長の伊藤穣一氏といった面々。

 まず松武氏がMMAの団体説明をした後,最近話題の音楽をデジタル圧縮して録音できるMP-3の現状を報告。MP3のデータをインターネットで無断配布するといった違法コピーを防ぐため,電子透かしや暗号化技術が発展していることも来場者にレポートした。

 このMP3に関する違法コピーなどの問題は,ミュージシャンたちがもっと積極的に取り組まなければ駄目,と飯野氏は厳しい意見。

 飯野氏は,「音楽に限らず,もっとデジタルメディアの著作権についてのルールやシステムについて,アーティスト自身が(ハードメーカーや団体に任せるのではなく),どうすれば改善されるか自ら考える時代が来た」と語る。同氏はコピーを防ぐために,ハードメーカーらとともにプロテクトプログラムそのものを開発している。

 逆に原田氏は,インターネットは間違いなく新しいデジタルメディアの発表の場になるとし,「音楽業界ほど,CGは切実な問題となっていないからかもしれないが,まだネットに掲載されたものはフリーだと考える」という。ただし,ネットにアップした瞬間に世界中に公表されるという現状を理解すべき,とも付け加えた。

 やや遅れて会場に駆けつけた中尊寺さんは,「ここ数年インターネットは急速に充実している。それに伴ってルールやマナーも,自然に発展していると信じたい」としながらも,「インターネットはますます影響力も大きくなっているので,ネットについてのマナーを啓蒙する漫画も発表したい」としている。

 最後に松武氏は,「MMAのテーマは”リスペクト”(感謝),デジタルコンテンツのクリエイターとデジタルコンテンツを利用する者(つまりユーザー)が,お互いに理解しあえるよう,今後ユーザーからの意見もどんどん聞いていきたい」としめた。

 デジタルアートの著作権問題は,ますます現実的なものとなっていく。MMAのホームページにアクセスして,われわれユーザーもこの問題について真剣に考えていくことが必要なのではないだろうか。

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