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松下のAVCサーバ、いよいよ製品化へ?2004 International CES

» 2004年01月12日 04時16分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 松下電器産業ブースでは、既に「International CES」や「CEATEC JAPAN」では常連となった“AVCサーバ”が出展されている。例によって参考出展の域は出ないが、これまでと異なるのが、「DIGAをベースにネットワーク機能を付加しており、かなり製品に近づいている」(同社)という点だ。また、米国市場を意識したホームセキュリティ機能を付加している。

photo 松下電器産業ブースのデモ風景

 AVCサーバは、2002年のCEATECで初めて登場した後、1年半に渡って開発が進められてきた。展示されるたびに外観がころころ変わるのもAVCサーバの特徴だが、今回はアルミ製の高級感漂うピュアオーディオライクな筐体を身にまとっている。

photo 外観は高級感が増した。ただし「本当にこのデザインで製品化した場合、価格が跳ね上がってしまうため、あくまでコンセプトと思ってほしい」とのこと。また今回は液晶パネル付きの双方向リモコンは展示されていなかった

 機能を一言で表せば、ネットワーク配信機能を持つハイブリッドレコーダー。ルータ機能は持たないが、DIGAと同じMPEG-2/MPEG-4録画が可能なほか、宅内にある専用クライアントに対してはMPEG-2を配信できる。楽曲ファイルや画像の配信も可能だ。同社によると、配信には、DHWG(Digital Home Networking Group)の技術を用いる方向で検討を進めているという。

 さらに展示会場では、松下電工製のカメラ付きドアフォンなどと連携し、テレビ画面で来客を確認したり、不在時には動画をHDD録画するといったホームセキュリティ機能のデモンストレーションが行われていた。「ドアフォンやカメラはコンセプトだが、米国のライフスタイルに合わせて提案したもの」(松下電器産業マルチメディアシステム開発グループの中安哲行主任技師)。

photo HDDレコーダーの操作画面。かなりすっきりしたインタフェース
photo セキュリティ機能の操作画面。室内の監視カメラとドアフォンの2カ所を録画している
photo テレビ視聴時に来客があったときは、TV画面を邪魔せずにドアフォンの映像を表示してくれる(右側の子画面がドアフォンの映像)

 一方の専用クライアントは、新たにテレビ一体型が追加されていた。単体クライアントと同様、SDメモリーカードスロットを持ち、クライアントだけでスライドショウなども行える。

photo 初登場となるテレビ一体型のクライアント「AVC CLIENT TV」

 東芝の「Advanced Digital Media Server」と違い、松下のAVCサーバーはHD録画のサポートは表明していない。しかし、同じ場所でIEEE 802.11aを使ったHD伝送のデモンストレーションも行われており、将来的にHDTVを録画/配信することが前提となっていることが伺える。

 ただし、その時にボトルネックとなるのが宅内ネットワークだ。100BASE-TXのEthenretでは新規の敷設工事が必須となり、日本の住宅事情には適さないうえ、複数のクライアントに対してHD動画を配信するには帯域も不足する。

電灯線通信は慎重に進める

 そこで松下は、東芝と同様に「Multimedia Over Coax Alliance」(MoCA:モカ)の“Coax LAN”を採用、2005年の製品化を目指して開発を進めているという。さらに先日の基調講演で話題となった電灯線通信を使い、170Mbpsの高速な宅内バックボーンを構築する構えだ。

photo AVCサーバの隣では電灯線通信とCoax LANの展示が行われている

 松下の電灯線通信は2M−30MHzの周波数帯域を使うが、ここにはアマチュア無線に割り当てられている周波数が含まれ、このためノッチングを行う必要がある。しかし、昨年JARL(日本アマチュア無線連盟)立ち会いのもとで行われた実証実験においてはそれが「不十分」と判断され、規制緩和が先送りされた。

 「2004年の春頃に再度、実証実験を行い、1−1年半後の規制緩和を目指したい。前回の失敗を踏まえ、今回は慎重にことを進める」。なお、それに先立ちHome Plug AVの標準化が進められる予定だ。「2004年夏頃にはドラフト仕様が公開される見込みだ。できれば、2005年頃には製品化したい」(同社)。

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