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パイオニアが目論む“プラズマ世界シェアNo.1”(1/2 ページ)

» 2004年02月03日 20時37分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 パイオニアとNECは2月3日、プラズマディスプレイパネル(PDP)事業における事業統合を発表した。PDP事業を担うNEC子会社のNECプラズマディスプレイ(NPD)の株式のうち、NECが保有する全ての株式と知的財産権をパイオニアに譲渡する。両社のPDP事業戦略について、同日都内で記者会見が行われた。

mn_pdp1.jpg 左から、NECプラズマディスプレイの徳山賢二社長、NECの金杉明信社長、パイオニアの伊藤周男社長、パイオニア専務の新島昭氏

 フラットパネルディスプレイ(FPD)を使った薄型TVの急速な普及に合わせて、PDP市場も急拡大している。全世界における30インチ以上のFPD市場規模予測では、昨年年3月期では63万7000台だったものが、今年3月期では2倍以上の143万台に達することが見込まれており、さらに翌2005年3月期では308万台、2006年3月期では565万台と、ほぼ前年比倍増ペースの推移が予測されている。

mn_pdp2.jpg 全世界における30インチ以上のFPD市場規模予測

 液晶などに比べて大型化が容易なPDPは、その最大サイズも年々スケールアップ。昨年までの60〜70インチクラスから、今年1月に米ラスベガスで行われた2004 International CESでは、韓国のSamsung SDIの80インチPDPを使った世界最大のプラズマTVが参考出展された。また価格も、30〜40インチクラスでは普及のターニングポイントといわれている“インチ1万円時代”に近づいている。

 急速な拡大を見せるPDP市場だが、近年はSamsung SDIやLG Electronicsなどの韓国勢や台湾メーカーの台頭などアジア企業の攻勢が激しくなっている(2003年10月の記事を参照)

 PDP事業を自社のコア領域として最大の経営戦略に位置付けているパイオニアは、拡大する近年のPDP需要に対応するため、段階的に生産体制の増強を図ってきた。甲府の第1プラントに加えて2001年には静岡に第2プラントを、2003年には本社敷地内に第3プラントを設置。現在は甲府に第4プラントを建設中で、完成する2004年には、第1〜4プラント合計で年間60万枚の生産規模に拡大する予定だ。

 だがパイオニアの伊藤周男社長は「年間60万台でも、世界的規模で拡大するPDP市場には対応できない。5番目のプラントを模索する中で、NECとの協業に至った。NEC側には昨年10月に(事業統合を)申し入れていた。また、両社の技術には親和性があり、統合後の両社技術者による技術力の相乗効果は計り知れない」と、事業統合への経緯とそのメリットについてを語る。

mn_pdp3.jpg パイオニアの伊藤周男社長

 一方NECも、これまではPDP事業を積極的に推進してきた。

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