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いずれはTD-CDMAに「アグレッシブな帯域割り当てを」 〜イー・アクセス、千本氏

» 2004年02月05日 20時27分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 広域・高速な移動体通信を実現するとして、注目が集まる「TD-CDMA」。ADSL事業者などが、同技術を用いたサービス展開を狙っている(記事参照)。ただ、複数事業者が参入するとなると、将来的に懸念されているのは「帯域の不足」だろう。イー・アクセスのCEO、千本倖生氏は、いずれは利用できる帯域の拡大を求めたい考えのようだ。

 2月5日、イー・アクセスが開いた記者会見の席上で(別記事参照)、千本氏が自身の考えを述べた。

Photo イー・アクセスの千本氏。「ユーザーはいまや、自宅で何十Mbpsの速度を経験している。問題は、外に出たときだ」

「韓国のように、柔軟な帯域割り当てを」

 現状、国内でTD-CDMA用の帯域として用意されているのは、2010〜2025MHz帯。現状では、ソフトバンクBBなども参入をうかがっており(記事参照)、この帯域を各事業者で分け合う可能性が高い。

 ただし、携帯電話のキャリアを見ると、ITM2000サービス用の帯域として1919.6〜1980MHz帯、および2110〜2170MHz帯と、60MHz幅の帯域を2つも割り当てられている。

 「最初から何百万人もユーザーが加入するわけではないので、15MHzバンドでもサービスを開始できる」(イー・アクセス新規事業企画本部副本部長 兼 技術部長、諸橋知雄氏)とはいえ、仮にTD-CDMAのサービスが携帯電話に置き換わっていくと考えると、現状の15MHz幅では足りなくなる可能性もある。

 千本氏はまず、15MHzの帯域を複数のキャリアで分け合うことになるのは仕方ないだろうと話す。 

 「デレギュレーション(規制緩和)の考えからいっても、複数のオペレーターが、ライセンスをとるということで考えよう」。

 その上で、韓国ではTD-CDMAサービスを振興させるべく、1GHz帯や3GHz帯など、空いている帯域があれば柔軟に開放する姿勢を見せていることに言及する。

 「日本のブロードバンドは、世界一になった。モバイルでも、もっとアグレッシブに新しいサービスを展開しないと、(世界の潮流から)脱落する」と警鐘を鳴らした。

 同氏はまた、総務省がどちらかというと“コンサーバティブ寄り”で、ことに周波数が絡むと態度を硬化させるきらいがあると指摘する。

 「最先端の技術が、受け入れられにくい傾向がある。サービス(のメリット)を全国のユーザーに享受してもらおうと思ったら、15MHzでは絶対にできない。いずれはアグレッシブに、帯域拡大の動きをしてもらいたいと、個人的には思っている」と話した。

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