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動態検知も可能なネットワークカメラ「CS-W01B」を試す

» 2004年02月12日 00時00分 公開
[ITmedia]

 ネットワークカメラも、だいぶ親しみやすい存在になってきた。イーサネット直結タイプのWebカメラを使えば、個人でも家庭内LANに導入することは容易だ。価格も、一時に比べるとだいぶ下がってきた。

 中でも、プラネックスコミュニケーションズが販売する「CS-W01B」は、普及帯の価格を実現した製品。オープンプライスだが、参考価格は2万4800円となっている。もちろん、気になるのはどのような機能を実現しているか。同端末の実力を、確認してみよう。

photo サイズは72(幅)×44(高さ)×135(奥行き)ミリ。インジケータは、ダミーで光らせることもできる
Photo アンテナ部は、360度回転するほか、90度折り曲げ可能

設置での柔軟性は高い

 単にWebカメラが必要なら、PCにUSB接続するタイプの安価な製品も存在する。しかしCS-W01Bは、内蔵CPUにより、単体でのネットワーク接続が可能なカメラ。USB接続のカメラのように、PCの電源がオンでないと使えない、ということがない。このため、ネットワーク経由の監視システムを構築するのに向いている。

 有線/無線に両対応しており、本体後部に10/100BASE-TXのLANポートを備えるほか、IEEE 802.11b準拠の無線LANを内蔵。もちろん、無線LANでは64/128ビットのWEPに対応している。

 カメラが付いた本体部分は、支柱から最大90度傾けた状態で固定することが可能。壁かけや、天井から吊るすといった際にも、自由度の高い設置を実現する。カメラ部のまわりに付いているフォーカスリングを回転させれば、ピント調節が可能だ。

 本体をネットワーク経由で遠隔操作し、カメラの向きを自由に変える……といったことは行えない。もっとも、好みの位置に取り付け、映したい対象物(あるいは場所)に適宜焦点をあわせて利用する定点カメラ、と割り切るなら、特に不満を感じることもないだろう。

photo このように、天井にも取り付けられるほか、壁掛けにも対応する

 初期設定は、ネットワークの同一セグメントのLANにあるPCから、Webブラウザを使って行う。この状態で、プライベートアドレスを直接入力すれば、ひとまずはブラウザからネットワークカメラの映像をリアルタイムに視聴することができる。

 カメラ部には、30万画素の1/3型カラーCMOSセンサを採用。ビデオ解像度は320×240ピクセル(SIF)と、640×480ピクセル(VGA)の2種類から選択できる。SIFの場合は毎秒1/5/7/15/20フレーム、VGAでは毎秒6フレームまでの撮影が可能だ。

Photo 解像度を320×240ピクセルに設定した場合。映っているのは、50センチの距離に置いた「CS-W01B」のパッケージ
Photo 解像度を640×480ピクセルに変更した。パッケージの比較的細かい文字も読み取れるようになった(クリックで拡大)
Photo 設定画面では、明るさやコントラスト、彩度なども調節可能。圧縮レートは、5段階から選ぶことができる

 カメラの映像はブラウザ経由で確認してもいいが、やはりCS-W01Bを使いこなしたいなら、同梱のユーティリティ「CS Series Viewer」をインストールすべきだろう。同ソフトを利用すれば、CS-W01Bをリモート管理することが可能だ。

4台のカメラを管理・切り替え可能

 CS Series Viewerの外見は、下の写真のとおり。ちょっと見ただけでは、MP3プレイヤーのスキンかと見間違うようなデザインだ。

Photo なお、Windows98、MacOS、Linuxでは、CS Series Viewerを使用した設定および機能は利用できない。この点は注意しよう

 このビューワーに、ネットワークカメラのIPアドレスを登録すれば、カメラが映し出す映像を閲覧できるようになる。ビューワーでは“4チャンネル”を用意しているため、各チャンネルにカメラを割り当てれば、最大4台を管理することができる。

 ユーザーはチャンネルを切り替える要領で、1カメの映像から2カメに切り替え、次は3カメの映像を表示させ……といった操作が可能なわけだ。もちろん、4画面同時表示も行える。

 映像はリアルタイムで視聴するほかに、録画して保存することもできる。録画ファイルの保存場所としては、HDD内に500〜1000Mバイト(設定により可変)を確保する。なお、端末はFTPクライアント機能も備えているため、映像をFTPサーバにアップすることも可能だ。

 CS Series Viewerでは録画の開始方法として、3つが用意されている。1つは、手動設定。もう1つが、スケジュール設定。最後が「動態検知」だ。

なかなか敏感な“動態検知”

 この動態検知機能も、CS-W01Bの特徴の1つ。要は、動いているものに反応して録画を開始するということ。設定を組み合わせれば、同時にアラーム(といっても、小さなキリキリ……という音だが)を鳴らし、メールを送信するといったことも行える。

 では、どのような「動く物体」を検知するのだろうか?

Photo 右下にある動態検知ボタン(人型のマーク)を「on」にしたところ。ビューワの表示に“動態検知”の文字が浮かび上がった

 結論からいえば、動くものにはほとんど反応する。デフォルトでは、検知感度が30段階あるうち“低い方から4番目”に設定されていたが、これでも十分な感度を示した。

 具体的には、ボールペンのような細いものが、カメラの前を瞬間的に通り過ぎても、きちんと検知する。画面の片隅に映った、小さな物体が動いても録画した。ガラスごしに、ぼんやりとした人影が動いても、数秒単位で映像ファイルを残した。

 ネットワークカメラを、監視用途で導入したいというユーザーも多いだろう。CS-W01Bをドアなどに向けて“見張り番”として設置しておけば、ドアが開いた場合、まず間違いなくその際の映像を録画する。この点は、好印象だ。

CS-W01Bの用途は広い

 CS-W01Bは、さまざまな用途に使えるネットワークカメラだ。ローカルLANで利用してもいいし、インターネット環境で遠隔地から映像を視聴してもいい。

 個人で導入して、ペットの様子をチェックすることが考えられるほか、中小規模の店舗などで、最大4カ所を監視可能な防犯カメラとして利用することも可能。最近では、この種のライブカメラを導入して、保護者向けに園児のライブ映像を提供する保育園なども登場している(記事参照)。

Photo

 1つ残念な点をあげるとすれば、ダイナミックDNSに対応していないことだろうか。このため、固定IPアドレスを持つユーザーでなければ、インターネット環境で恒常的にネットワークカメラにアクセスできない。ただし同社によれば、時期は未定ながら対応を予定しているとのこと。今後に期待がもてる。

 いずれにせよ、価格も手ごろで、インタフェースも工夫されており、機能面でも一定の水準に達している。パーソナルユースから、中小規模の企業まで、さまざまなシーンでの利用が考えられるだろう。

製品名 CS-W01B
センサ 1/3インチ カラーCMOSセンサ
画素数 30万画素
画像圧縮方式 JPEG(5段階)
フレーム速度 最大20fps(SIF)/6fps(VGA)
ビデオ解像度 320×240/640×480ピクセル
最大ユーザー数 64ユーザー
サイズ 72×44×135ミリ(アンテナ部除く)
重さ 150グラム(アンテナ部除く)

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