ITmedia NEWS >

地図や乗換情報は“鮮度”が大事

» 2004年02月12日 23時57分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 以前は新版が出ると必ず購入していたのに、最近とんと買わなくなったソフトに、「乗換案内」「駅すぱあと」といった経路検索ソフトがある。今では、高価なソフトを買わなくても、Webや携帯電話の無料サービスで事足りるし、新しい路線が出来てもアップデートの手間がいらないからだ。オンラインサービスのメリットを手っ取り早く感じることができるのが、この手のアプリケーションだろう。

 実際、同じようなことを考えていた人は多いらしい。インフォシークが昨年末に実施した「第2回ブロードバンド向けコンテンツ/サービスに関する調査」によると、インターネットを介して経路検索サービスを利用している人は全体の6割強、地図検索サービスは実に7割に達するという。一方、アプリケーションソフトを使っている人たちも2割5分(4分の1)ほどいるが、そのうち“ソフトだけ”を利用しているケースは2割に過ぎない(全体から見ると5%)。残りの8割はオンラインサービスを併用しているわけだ。

 この調査結果を受けて、インフォシークは「すでに、地図情報や経路検索は、オンラインサービスが主流になった」と結論付けている。はげしく同感だ。ただ、1つ個人的に注文をつけさせてもらうなら、地図検索は別にして考えて欲しいと思う。なぜなら、私は地図ソフトを未だに購入しているからだ。

 地図ソフトをローカルで利用するメリットは、なんといっても検索や表示にかかる時間の短さ。くわえて、地図の詳しさだろう。番地ごとにしっかり色分けされているし、かなり小さなビルまで確認できる。一方のオンラインサービスは、急いでいるときに地図データの表示が遅かったりすると、精神衛生上かなりよろしくない。また、サービスの多くはダウンロード速度を意識してデータを軽くしているため、地図自体もシンプル。目的地の大雑把な位置しか分からないことも多い。

 調査結果でも、ソフト利用者の評価はまだ高いようだ。「(ソフトは)地図の切り替えの早さや、より詳細な地図が利用できるなどの操作性、信頼性といった点で評価されており、オンラインサービスがこうした点で大きく進歩しない限り、ソフトは引き続き利用され続ける可能性が高い」(インフォシーク)。

 ただ、オンラインサービスが進歩すると、新しい需要も見込めそう。インフォシークが無料サービスの利用者を対象に有料利用について質問したところ、地図情報、経路検索情報ともに「有料では利用したくない」という回答が半数以上を占めたものの、例えば経路検索では“混雑状況や運行状況をリアルタイムに表示するサービス”や“常に最新情報を提供するサービス”といった付加機能に対しては、有料でも利用したいという解答が4分の1以上あったという。

 実際、出先であってもホットスポットのように通信環境に恵まれた場所にいると、もっと細かい地図や付加情報のある経路検索ができたらいいのに、と思うことがある。移動中の通信環境は今しばらくの辛抱が必要だろうが、スポットに腰を落ち着けたときはリッチなオンラインサービスを利用できる。実現したら、地図ソフトも購入する必要はなくなるのだが……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.