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後転キックやらバトルロイヤルやら〜ROBO-ONE第5回大会決勝その1第5回ROBO-ONE詳細レポート(4)(1/5 ページ)

» 2004年02月16日 19時44分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

 ROBO-ONE第5回大会もいよいよ決勝トーナメントを迎えた。前日の予選を通過した上位32体のロボットが1対1で闘うのだ。

 ROBO-ONEは、出場するロボットの技術向上に合わせて、毎回ルールを改定してくるのだけど、今回は非常に大きな変更がある。「攻撃ダウン」の規定だ。

 ROBO-ONEでは、足の裏以外の部分がリングについたら「ダウン」だ。カウントが開始され10カウントで起き上がれなければノックアウト、それ以前に起き上がれても1ラウンドに3ダウンすれば、やはりノックアウトということになっている。この原則は変わらない。

 ただし、今回からは「攻撃に伴って足の裏以外の部分がリングについたとしても10カウント以内に起き上がれればそれはダウンとみなさない」ということになった。つまり、相手の足にタックルしたり、手を着いてハイキックしたりという技が使えるようになったのだ。

 試合の流れの中で、それがダウンなのか攻撃ダウンなのかわかりにくいこともあるだろうが(例えば、いきなり前のめりに倒れて相手を巻き込んだ場合、それは攻撃?)、それはレフリーの判断に任されることとなっている。試合のスタイルが変わる可能性のある変更だ。

 また、リング周りの壁がなくなって床にはクッションが敷かれた。壁がなくなったのは前回からだけど、クッションは今回からだ。これによって、相手をリングから落とすことに対する心理的壁が少し減った。ロボットを作るもの同士として、相手を堅い床に落とすのは抵抗がある。でも、クッションがあればそうでもない(かもしれない*1)。ロボットの安定性が良くなっている今、相手を押しだす、寄り切るというのは、戦略の一つになりえる。なお、リングアウトは、ダウン1回に相当する。

 では、トーナメントを見ていこう。今までは16体でのトーナメントだったのが、32体になったので大変だ。そこで、1回戦と2回戦についてはデモンストレーションなし、試合も3分間1ラウンド制とすることになった。ノックアウトされたらそれで負け。3回戦以降は、今まで通り、1分のデモンストレーションのあと、2分間3ラウンドを闘うもので、勝敗は審査による。

 なお、この日は、「プラレス3四郎」の作者の漫画家の神矢みのる氏が特別解説者として臨席。その筋の人は大喜びだ(*2)。

1回戦

  • Metallic Fighter(森永) vs ハマカゼ(しんむら) (左が赤コーナー以下同じ)

 積極的に動くハマカゼをじっと見つめて攻撃の機会をうかがうMetallic Fighter。ところがハマカゼは自分で転んでしまう。しかも起き上がる能力がない。Metallic Fighterは何もせずに勝利。

  • ちょんまげの啓三(三沢研究所 堀江支店)vs Storm Waves(Chang-Hoon, Jeon)

 おかもちに入って登場したちょんまげの啓三に対するは韓国から来たStorm Waves。両者ダウンを奪う熱戦となったが、啓三が先に3ダウンを喫し敗れる。

  • マイケル(井上裕二) vs Cosmo-Robo 02(宇田川雅弘)

 Cosmo-Robo 02が相手を押しながら、自分もバランスを崩して倒れてしまう。審判は「ダブルダウン」の扱い。ところが、マイケルは起き上がるのだがCosmo-Robo 02は起き上がれず、ノックアウト。

  • HAYABUSA(長谷川翔平) vs 2325-RX(九州大学ヒューマノイドプロジェクト)
動画はこちら(0.4Mバイト)

 足の速い2325-RXが積極的につめより、横向きに相手に接する。そして「ラジオ体操第1の『体を横に曲げる運動』」のような形で、遠いほうの手でのパンチ。倒れるHAYABUSA。しかも起き上がろうとするときに自らリングアウト(2ダウン目と見なされた)。試合再開後、同じパンチがまた炸裂。HAYABUSAは試合をさせてもらえなかった。


*1 後で述べるように、今回さらに心理的抵抗を少なくするイベントがあったのだ。
*2 「プラレス3四郎」(原作:牛次郎、漫画:神矢みのる)は、1983年から少年チャンピオンで連載された。身長30センチ程度のプラモデルロボットのプロレス、つまり「プラレス」に挑む主人公素形3四郎と愛機「柔王丸」の戦いを描いた作品。アニメも放映された。ここで電子ブックのおためし版が読めるようだ(って、Macintosh版がないじゃないか)。なお、神矢さんは、現在「プラレス3四郎」の続編にあたる「プラレスラーVAN」(原作:牛次郎)を少年チャンピオンREDで連載しているのだそうだ(読んだことがないので伝聞)。

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