2月16日に行われた「IPv6ビジネスサミット 2004」。併催の展示会で、最もスペースを取っていたのは、NTTコミュニケーションズが同日開始した「ネット家電接続サービス実験」だ。
今回の実験は、IPv6とNTTコミュニケーションズが開発した「m2m-x」(エム・ツー・エム・エックス:開発コード)プロトコルによるネット家電サービスの実用性と安全性を検証し、商用サービスに結びつけることが目的。デモ機はいずれもプロトタイプだが、m2m-xとIPv6を組み合わせたときのメリットとなる“リアルタイム性&簡単な設定”を活かしたアプリケーションが目立つ。
ソニーブロードバンドソリューションは、Playstation 2を使ったビジュアルコミュニケーションソフトを展示した。USBカメラとTVを接続すれば、PS2がTV電話端末になる。
このソフトも、タカラの「IP糸テレフォン」と同様、煩雑な設定は不要だ。IPv6ネットワークに接続していれば、通話先のSIPアドレスを登録するだけ。あとはメニュー画面から相手の顔写真を選択すれば発信となる。一方、電話がかかってくると、コントローラのバイブレーション機能が着信を知らせる。
また、双方向のリアルタイム通信を利用して、TV電話と同時に簡単なゲームを楽しめる点もユニークだ。デモンストレーションでは、「三目ならべ」をプレイしていた。
一方、三洋電機はHDDレコーダーをTV電話端末にした。理由は「常にTVに繋がっているため」(同社)。このほかVoIPアダプタと固定電話機も用意しており、TV電話と音声だけの通話を使い分けることができる。
ただし、このHDDレコーダーは、m2m-xプロトコルに対応しているわけではない。同社の場合、m2m-x対応の「セキュリティホームゲートウェイ」を介してインターネットに接続する仕組みで、HDDレコーダーやVoIPゲートウェイなどの宅内機器はUPnPを使ってゲートウェイと連携している。
東芝は、「TransCUBE」のケースを流用したホームサーバを出展した。IPv6やm2m-xのみならず、エコーネットVer.3.0をサポート。Bluetoothアダプタの機能も併せ持ち、エコーネット対応の「FEMINITY」シリーズと連携する。三洋電機と同様、家の外はIPv6、中はエコーネットと切り分けた形だ。
また今回は、システムにネットワークカメラや窓センサー、電子錠など従来のFEMINITYシリーズにはなかった部分が含まれているのも特徴。家電操作とホームセキュリティの複合サービスとなっている。
東芝によると、電子錠のようなセキュリティアプリケーションを提供できるようになった背景には、IPv6とm2m-xによる情報伝達の速さが大きく影響しているという。「機器間の接続性とリアルタイム性が向上し、防犯装置や火災センサーなど時間をロスできないアプリケーションにも適用できるようになった。利用者から見ても、またサービス提供者から見ても、ホームセキュリティに応用しやすいネットワークといえる」(同社)。
エミット・ホームシステム」をIPv6とm2m-xに対応させた松下電工も同意見のようだ。エミット・ホームシステムは、照明のほか、ガスや火災センサーなどを一括管理するホームセキュリティシステム。それだけに、通知時間の短縮は重要だが、「テストでは、携帯電話への異常通知などの際に“体感できるレベル”の速度向上が見られた」としている。
一方、ビジネスユースのアプリケーションを提案しているのが、リコーとパイオニアだ。リコーは、会社のパソコンに保存されている文書を携帯電話から呼び出し、コンビニなどのコピアで印刷する「モバイルプリント」をデモ。パイオニアはTV会議システム「Cyber Conference System EV」のm2m-x&IPv6対応版を展示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR