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“m2m-x”対応のネット家電が勢揃いIPv6ビジネスサミット 2004

» 2004年02月17日 04時11分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 2月16日に行われた「IPv6ビジネスサミット 2004」。併催の展示会で、最もスペースを取っていたのは、NTTコミュニケーションズが同日開始した「ネット家電接続サービス実験」だ。

 今回の実験は、IPv6とNTTコミュニケーションズが開発した「m2m-x」(エム・ツー・エム・エックス:開発コード)プロトコルによるネット家電サービスの実用性と安全性を検証し、商用サービスに結びつけることが目的。デモ機はいずれもプロトタイプだが、m2m-xとIPv6を組み合わせたときのメリットとなる“リアルタイム性&簡単な設定”を活かしたアプリケーションが目立つ。

photo Playstation 2によるビジュアルコミュニケーション

 ソニーブロードバンドソリューションは、Playstation 2を使ったビジュアルコミュニケーションソフトを展示した。USBカメラとTVを接続すれば、PS2がTV電話端末になる。

 このソフトも、タカラの「IP糸テレフォン」と同様、煩雑な設定は不要だ。IPv6ネットワークに接続していれば、通話先のSIPアドレスを登録するだけ。あとはメニュー画面から相手の顔写真を選択すれば発信となる。一方、電話がかかってくると、コントローラのバイブレーション機能が着信を知らせる。

 また、双方向のリアルタイム通信を利用して、TV電話と同時に簡単なゲームを楽しめる点もユニークだ。デモンストレーションでは、「三目ならべ」をプレイしていた。

photo 「三目ならべ」もできる

 一方、三洋電機はHDDレコーダーをTV電話端末にした。理由は「常にTVに繋がっているため」(同社)。このほかVoIPアダプタと固定電話機も用意しており、TV電話と音声だけの通話を使い分けることができる。

photo 三洋電機の「IPv6対応ハードディスクレコーダー」。ビデオ配信などの機能は持たない

 ただし、このHDDレコーダーは、m2m-xプロトコルに対応しているわけではない。同社の場合、m2m-x対応の「セキュリティホームゲートウェイ」を介してインターネットに接続する仕組みで、HDDレコーダーやVoIPゲートウェイなどの宅内機器はUPnPを使ってゲートウェイと連携している。

photo 三洋電機の「セキュリティホームゲートウェイ」。m2m-xとIPv6をサポート

 東芝は、「TransCUBE」のケースを流用したホームサーバを出展した。IPv6やm2m-xのみならず、エコーネットVer.3.0をサポート。Bluetoothアダプタの機能も併せ持ち、エコーネット対応の「FEMINITY」シリーズと連携する。三洋電機と同様、家の外はIPv6、中はエコーネットと切り分けた形だ。

photo 東芝のエコーネット対応ホームサーバ
photo システム図。携帯電話を使い、外から家電を操作することも可能だ

 また今回は、システムにネットワークカメラや窓センサー、電子錠など従来のFEMINITYシリーズにはなかった部分が含まれているのも特徴。家電操作とホームセキュリティの複合サービスとなっている。

 東芝によると、電子錠のようなセキュリティアプリケーションを提供できるようになった背景には、IPv6とm2m-xによる情報伝達の速さが大きく影響しているという。「機器間の接続性とリアルタイム性が向上し、防犯装置や火災センサーなど時間をロスできないアプリケーションにも適用できるようになった。利用者から見ても、またサービス提供者から見ても、ホームセキュリティに応用しやすいネットワークといえる」(同社)。

photo 電子錠。実験では、センサーや電子錠が異常を検知したとき、センターサーバが警備会社に通報し、警備員が駆けつけるサービスも提供する

 エミット・ホームシステム」をIPv6とm2m-xに対応させた松下電工も同意見のようだ。エミット・ホームシステムは、照明のほか、ガスや火災センサーなどを一括管理するホームセキュリティシステム。それだけに、通知時間の短縮は重要だが、「テストでは、携帯電話への異常通知などの際に“体感できるレベル”の速度向上が見られた」としている。

photo 松下電工は「エミット・ホームシステム」をIPv6とm2m-xに対応させた
photo 松下電工のエミットゲートウェイ。「HX」(Home eXchange)の筐体を使っているが、中身は新規に開発したもの

 一方、ビジネスユースのアプリケーションを提案しているのが、リコーとパイオニアだ。リコーは、会社のパソコンに保存されている文書を携帯電話から呼び出し、コンビニなどのコピアで印刷する「モバイルプリント」をデモ。パイオニアはTV会議システム「Cyber Conference System EV」のm2m-x&IPv6対応版を展示した。

photo PCに専用クライアントをインストールしておくと、PCがWebサーバとなり、携帯電話からPCのディレクトリが見える。ここで文書を選択し、プリントを指示すると専用のiアプリが起動。赤外線通信でコピアに文書情報を送信する。情報を受けとったコピアは会社のPCにアクセスし、ダウンロードした文書をプリントアウトするという手順だ。通信の前には必ずm2m-xサーバの認証を行い、データの送受信はIPSecによるVPNでセキュリティを確保
photo パイオニアはTV会議システム「Cyber Conference System EV」を展示した。社外との会議には、機密性を高め、かつファイアウォールを透過できるm2m-xとIPv6の組み合わせが適しているという
photo NTTコミュニケーションズは先日発表した「CoDenプラズマTVセット」も展示していた

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