日本電信電話(NTT)は3月8日、家の中にあるさまざまな情報家電を“利用者の立場”で制御できるホームネットワーク技術「ホームサービスハーモニー」を発表した。この技術は、NTTアクセスソリューション研究所が開発したもの。たとえば音楽を聴いているときに電話が着信したら、自動的にオーディオのボリュームが下がるというように、機器同士のインテリジェントな連携が可能になるという。
ホームサービスハーモニーは、「サービスゲートウェイ」と呼ばれるインテリジェントなゲートウェイを置き、家の中にある情報機器を統括させる技術だ。ゲートウェイは、ネットワークを通じて、各機器の状態や現在利用しているサービスの状況を常に監視しており、新しいイベントが発生したときには、利用者の居場所や嗜好、天気や時刻など多岐に渡る情報からサービスの優先度を推定、各機器に最適なコマンドを送信する。ユーザーの居場所は、RFIDの無線ICタグ(アクティブタグ)を持ち歩くことで特定する仕組みだ。
また、サービスゲートウェイが機器の動作を制御するため、機器側に特別なハードウェアが必要ない点もメリット。現在のところ、UPnP、エコーネット、IEEE1394などのサポートを予定しており、これらのプロトコルに対応した機器は、そのまま利用できるという。
ユニークなのは、ユーザー(居住者)の居場所のみならず、「見る」「聞く」「話す」といった能力をパラメーター化し、リソースとして扱っている点だ。冒頭の例なら、音楽と電話という2つのサービスに対して、「聞く」ユーザーが一人だったため、ゲートウェイは電話を優先してオーディオのボリュームを下げた。また、それぞれの動作は事前に設定しておくことが可能で、たとえば「番号非通知の場合は留守番電話に録音」「電話番号を登録してある人からの電話には出る」といった条件を決めておけば、非通知の電話に音楽鑑賞を邪魔される心配がなくなる。
新しいサービスや機器を購入したときは、該当するプログラムモジュールをダウンロードするだけでサービスゲートウェイに機能を追加できる。このプログラムは、OSGi(Open Services Gateway Initiative) Service Platform仕様に準拠した形で作られているため、メーカーやサービス事業者を問わずに利用可能になる予定だ。
NTTサイバーソリューション研究所では、「ホームネットワークは、複数の利用者が同時に使用するものであり、さまざまな資源(リソース)の競合が発生する。利用者が一人の場合でも、複数のサービスを使っていれば、知らないうちに資源の競合を引き起こし、サービスの品質低下や、場合によってはサービスそのものの提供ができなくなる場合がある」と指摘。「どのサービスが、どのリソースをどれだけ使用して良いかをリアルタイムに把握することで、リソースの競合を未然に防ぐことを可能になる」(同社)とホームサービスハーモニーの有用性を強調した。
NTTでは、1〜2年後の商用化を目指し、この技術を使ったサービスや製品の提供方法を検討している。たとえば「Bフレッツ」ユーザー向けにサービスゲートウェイ機能付きのルータやSTBを貸し出す可能性もあるという。
当面はビジネスモデルを検討しながら、「ホームサービスハーモニー」の適応領域とサポートできるプロトコルを拡大していく方針。また同時に、OSGiなどを通じて同技術の標準化とオープン化を進めるという。
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