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こんなテレビが普及すれば、映像の作り方も変化する〜FORIS.TVの映像再現力インタビュー(1/2 ページ)

» 2004年03月18日 12時06分 公開
[相澤裕介,ITmedia]

 今回は、フリーランスとして各種映像をはじめ、Web、マルチメディアコンテンツの制作に携わる近藤勇一(こんどう・ゆういち)氏にお話を伺った。幼少期に観た怪獣映画がきっかけで映像の虜となった近藤氏は、学生時代から自主制作映画を撮影。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のオフシアター部門グランプリに二度ノミネートされるなど、数多くの実績を残している。

 このように豊富な経験を持つ近藤氏に、FORIS.TV「SC23XA1」の映像を実際に鑑賞してもらい、その感想を述べていただいた。評価用の素材としたのは取材時に放送されていたテレビ番組、および氏の最近作であるDVDビデオ『好夏2「ミントプロトコル」』である。FORIS.TV「SC23XA1」の再現力はプロの目にどう映るのか。ここでは取材から得られた意見などを紹介していきたいと思う。

近藤氏のオフィス。撮影した映像の編集にはパソコンが利用されることも多い。編集後の映像は、業務用モニタおよび一般的なテレビで確認される

テレビの画質を測るには、映像の作り方を知る必要がある

 今回の取材では、FORIS.TV「SC23XA1」に対する評価だけでなく、テレビ番組と映画(DVD)における“映像制作の違い”についても伺うことができた。この“映像制作の違い”は、一般的なテレビとFORIS.TV「SC23XA1」を比較する際にも十分参考となるお話だ。まずは、このお話から紹介していくとしよう。

「テレビの画質を評価する前に、映画とテレビ番組における映像の表現方法の違いに着目してみましょう。というのも、テレビ番組と映画では映像表現のための制作ポイントが異なるからです。一般的に映画の映像は光と影を基調に、その間の豊かなグラデーションにより空間の奥行きを表現します。対してテレビ番組の映像制作では、グラデーションよりもコントラスト、そして色彩にポイントがおかれます。すなわち、映画のやわらかな奥行き感表現と異なり、テレビでは前面に押し出される色とカタチで映像を表現するのです。この違いは、一般的なテレビに十分な諧調の再現力がないことが一因になっています」

「たとえば、暗い夜のシーンを微妙なトーンで表現しようとしても、一般のテレビではほとんど“黒”つぶれしてしまい、何が映っているのかわからない。同様に、明るい部分の濃淡も全部“白”とびしがちです。要するに、一般的なテレビでは繊細な階調を再現できないのです。それに関連して、テレビのルミナンスレンジの問題も挙げられます。現在、テレビ放送用の映像を通常の8ビットデータで納品する場合、データを16〜235の間に収めるのが一般的なルールとなっています。デジタルデータである以上、本来は0(黒)〜255(白)までの階調を表現できるのですが、これまでのテレビの再現能力では、明るすぎる部分、暗すぎる部分の表現は問題があるため、わざわざ階調の幅を狭めてやる。つまりテレビ番組は、テレビの能力による制限を付けられた中で制作された映像となっているのです」

画質、音質、デザインのバランスが絶妙

 このような前提をもとに、まずはテレビ番組でFORIS.TV「SC23XA1」の画質を検証していただいた。FORIS.TV「SC23XA1」を、近藤氏のオフィスに設置。明るさ、コントラストなどの調整は特に行わず、初期状態のままテレビ番組を画面に映し出してみた。

日中の取材であったため、オフィスには陽の光がふんだんに差し込む

「明るい場所でも十分に鑑賞することができますね。肌のグラデーションなどもよく再現されていると思います。女優さんの肌のシミまで見えてますしね(笑)。これだけの再現力があれば、柔らかい映像も十分美しく映し出せると思います。CGなどを多用した派手な映像より、むしろ自然な映像のほうが向いているのかもしれません。本体のデザインもよくできていますし、コンパクトなのが魅力的です」

と、おおむね良好な評価をいただいた。また、音質、特に2.7リットルのエンクロージャーを搭載した大口径10cmスピーカーについて話を伺うと、

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2004年12月31日