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巨体がうなるぞ、ドアとるぞ。その名は「援竜」っぽいかもしれない(1/3 ページ)

» 2004年03月26日 02時38分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

 テムザックの大型レスキューロボット「T-52 援竜(えんりゅう)」の完全な形での発表会が、25日、東京三鷹の独立行政法人消防研究所でおこなわれた。

photo 「T-52 援竜」

 

 「完全な形での」とわざわざつけたのは、今年のお正月に、福岡の出初め式で一度おめみえしているからだ。でも、このときには人間が乗り込んでの操作だった。今回は違う。マスタースレーブ方式での遠隔操作による実演だ*1。これが本来のT-52の姿である。

 

 マスタースレーブというのは、操縦者(マスター)が身体を動かした通りにロボット(スレーブ)が動くというスタイルだ。「ROBO-ONE」のマジンガア剛王丸の方式っていったほうが、ここではわかりやすいかもしれない。

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 まずデータシートをあげておこう。

  • T-52 援竜本体
  • 全高3.45m、全幅2.4m(腕を開くと約10m)、全長約3.5m。総重量5t。
  • 腕は2本で、片腕7自由度、手は1自由度(開いたり閉じたり)。
  • 駆動方式は油圧。動力は水冷3気筒のディーゼルエンジンを使用。このエンジンで発電も行い、腕などの電気はそれでまかなっている。
  • 走行はクローラ(キャタピラ)、最高時速3km。
  • カメラは68万画素のCCDカメラが9台(頭に1台、左右腕の先にそれぞれ1台、ボディの前後各1、左右各2)。星明かりでも写せる暗部カメラが1。
  • デザインは、ロボガレージの高橋智隆氏による。
  • 操作部は、約120kg。トラックの荷台につんで、移動することができる。本体と操作部の間はSS無線、PHSなどで接続(実際には何でもよいそうだ)。
photo

T-52、行きます

 デモンストレーションは、瓦礫の山に塞がれている乗用車の中の人間を助け出すというシナリオで行われた。このときT-52がすることは、人間が助けにいけるための道をひらくことだ。実際の救助は人間が行う。

 まず、現場の近くまではクローラで移動する。瓦礫や不整地の上を巨大なものを運ぶ方法としては、いまのところいちばん現実的な解であろう。テムザックの高本陽一社長によれば、将来多足型を研究することは考えているが、この用途には二足歩行は考えていない。人間でさえ“よつんばい”じゃなきゃ進めないようなところであり、二足歩行が向かない現場なのだとのこと。

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 カメラは頭にもついているのだけど、これは遠景をみるものらしい。現場の様子を見に行くのは腕の先(手首のあたり)についたカメラだ。これがいちばん自由に向きを変えられるから、腕できょろきょろする感じになる。

 

photo これは左上の先のカメラ

 この腕は、片方で500kgのものを持ち上げられるそうで、木材も鉄柱もひょいっとつまんでどかしてしまう。

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*1わたしなんかは、乗り込むよりマスタースレーブのほうがうれしいんだけど、取材中に周りで聞いた範囲では、乗り込む方がうれしいという人の方が多かった。ふつうは鉄鋼無敵科學大魔號よりパトレイバーの方がいいか、そうか。

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