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1インチの「iVDR micro」も登場、iVDRコンソーシアム

» 2004年04月12日 23時58分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 iVDRハードディスク・コンソーシアムは4月12日、1型HDDを用いた「iVDR micro」規格と、コンテンツ保護機能を実現する「iVDR-Secure」規格を採択した。同日、アイ・オー・データ機器は製品化第1号となるiVDR-USB2.0アダプタ「USB2-iVDR/20」を発表。都内で行われた「iVDRコンソーシアムセミナー」では、日置敏昭代表が「2004年はiVDR元年」と意気込みを語った。

photo iVDRコンソーシアムの日置敏昭代表

 iVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)は、家電やパソコンを含む幅広い分野で利用することを目指す大容量のリムーバブルメディア規格だ。シリアルATAインタフェースの高速性やマルチチャンネルアクセスといった特性を生かし、カーナビやビデオ録画機、ポータブルAV機器などへの応用が期待されている。

 2002年に設立されたコンソーシアムは、会員企業が4月12日現在で39社となり、「契約中の企業をくわえると40社を超える」。旗振り役の三洋電機をはじめ、日立製作所、パイオニア、シャープといった家電メーカー、クラリオンや富士通テンなどのカーナビベンダー、PC周辺機器メーカーなど幅広い企業が参画している。

「iVDR micro」と「iVDR-Secure」

 今回、暫定的ながら「iVDR micro」の規格が策定されたことで、iVDRのフォームファクタは、2.5型、1.8型、そして1型の3種類となった。このうち2.5型と1.8型は共通の26ピンコネクタを持ち、また1型もアダプタなどを使えば相互に利用できる。家電用途を想定し、挿抜回数1万回、900G以上の耐衝撃性(非動作時)といった厳しい条件が盛り込まれているのは従来と同じだ。

 一方の「iVDR-Secure」は、デジタル放送のコピーワンス番組録画や、ブロードバンド配信に求められる著作権保護機能を盛り込んだ適用範囲の広い規格だ。暗号方式には、公開鍵暗号と共通鍵暗号を組み合わせて採用。ネットワークを介した認証をサポートし、暗号化されたコンテンツとライセンスキーを個別に流通させる、いわゆる“超流通”にも対応できるという。

 iVDR-Secureでは、ディスク記録時にコンテンツを暗号化し、また鍵データやライセンス情報などは「TRM」(Tamper Resistant Module)と呼ばれる独立した領域に別途記録する。たとえば、ブロードバンド配信でよくみられる“×日後に自動消去”といった利用制限が付いたコンテンツ鍵なども、TRMで厳密に管理する仕組みだ。もちろんパソコンで参照したり、改変することは不可能になる。

photo 日立製作所が試作したiVDR-Secure対応セットトップボックスの画面。コンテンツホルダー側の意向により、さまざまなライセンス形態に対応できるようになっている

 「iVDR-Secureにより、デジタルテレビ録画やブロードバンド配信に必要な仕様が承認されたことになる。今後は、オーディオやビデオカメラ、カーナビなども商品化できるよう、なるべく早く仕様を決めていきたい」(日置代表)。

 「iVDR-Secure」シリーズのハードウェア仕様は下記の通り。

  iVDR iVDR mini iVDR micro
サイズ 110×80×12.7ミリ 67×80×10ミリ 50×50×8ミリ
HDD(現在の容量) 2.5型(80Gバイト) 1.8型(20Gバイト) 1型(1Gバイト)
耐衝撃性 900G以上を確保すること(非動作時)
コネクタ仕様 26ピンiVDRオリジナル 26ピンiVDR microオリジナル
コマンド ATA準拠+セキュア拡張
HDD構造 耐ダンパ領域を持つこと
photo iVDR-Secureシリーズのサイズ比較

 もう1つ、今回明らかにされた仕様として、「iVDR I/O」規格がある。iVDR I/Oカードは、iVDRのスロットとコネクタインタフェースを利用し、iVDR搭載機器に拡張ハードウェアを追加するための規格だ。無線LANカードやTVチューナーカードなどが検討されており、会場には試作品として「iVDR TVチューナーカード」も展示されていた。「たとえば、1台のHDDレコーダーで6つのチャンネルを同時録画したいとき。iVDRスロットに6枚のTVチューナーを挿せばいい。ハードウェアの拡張も容易になる」。

photo 「iVDR I/O」対応のチューナーモジュール「iVDR TVチューナーカード」

展示会場にはポータブルプレーヤーやレコーダーが続々

 展示スペースには、昨年と同様、各社が試作したiVDR搭載機器が展示されていた。とくに今回は、モバイル用のポータブルAVプレーヤー、コンテンツ配信用のキオスク端末などが目立った。

photo 昨年も展示されていたシャープのハイビジョンレコーダー試作機。アルプス電気開発のiVDRオートローディング機構を新たに搭載した。2004年末〜2005年の商品化を目指す
photo 42型のプラズマ「Wooo」。専用の別売りチューナーにiVDRスロットを設けた。やはり年末発売を目標にしている
photo アイ・オー・データ機器は「AVEL Link PlayerにiVDRを搭載。発売未定の参考出品
photo 同じくアイ・オーのDVキャプチャーユニット
photo 「Rec-On」用のiVDRユニットも出展。iVDRとiVDR miniに対応している
photo アルプス電気はiVDRユニットのプロトタイプを出展
photo MPEG-4再生可能な三洋電機のポータブルAVプレーヤー。SDスロットも付いている
photo 日立製作所のポータブルAVプレーヤー。QVGA画面でMPEG-4/JPEGなどを再生可能。SDスロットも付いていて、重量は250グラム。製品化を「検討中」だという
photo 同じく日立製作所が参考出展したポータブルAVプレーヤー。こちらは有機ELディスプレイを搭載した高解像度モデルだ。製品化スケジュールは未定
photo 日立製作所のkiosk端末。iVDR miniスロットを下部に2つ搭載している
photo 三洋電機のkiosk端末

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