英国の自動車関連の調査・プロモーション機関であるRAC Foundationから、自動車の運転に危険な曲リストと安全な曲リストが発表された。イギリスで、運転するのに危険な曲なら、ぜったい「ハイウェイ・スター」か「スピード・キング」だな、という予測は見事に外れる。レッド・ツェッペリンやクイーンですらない。
トップに挙げられているのは、クラシックもクラシック、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」。映画「地獄の黙示録」で、ヘリからの攻撃場面で使われた、確かに“危険な曲”ではある。第5位もクラシックで、こちらはヴェルディの「レクイエム」。死者の魂の安息を祈る曲だ。
残る3曲はいずれもポピュラーミュージックで、第2位はプロディジーの1996年のヒット、「Firestarter」。3位と4位には、7月30日、フジロックに出演するBasement Jaxxの「Red Alert」と、フェイスレスの1995年の「Insomnia」がそれぞれランクインしている。
クラシックが危険な曲に入っているのには、ちゃんと理由がある。「一般的に、60BPM(Beats per Minute)を超えるテンポの楽曲を聴くと、心拍数と血圧が上がる。ダンス音楽では特に顕著だ」と、RAC Foundationの顧問心理学者であるコンラッド・キング氏は説明する。「クラシック音楽は速いテンポではないが、音数の多さ、クレッシェンド、ディミニュエンドの反復により、同様の結果がもたらされる」と述べている。
ミュージックプレーヤーの中には、ID3タグのBPMをサポートしているものがある。その一つがiTunes。仮にすべての楽曲にBPMの情報を入れていれば、運転時には60BPM未満の楽曲のみをiPodに転送し、再生するなんてことも可能だ。そうすれば、「アップビートのときには赤信号を無視する傾向が増え、事故率は2倍になる」(RAC Foundation)という危険も回避できる。
また、カナダの科学者による調査で、騒音レベルが53デシベルと95デシベルでは、決断を迫られる判断に要する時間が20%増えるという報告が行われている。
RAC Foundationの調査は1998年に開始されたという、長い定点観測の歴史を持つ。2002年にも同様の調査の結果が公表されており、そのときのクラシックでは、危険楽曲にムソルグスキーの「禿げ山の一夜」が、安全楽曲にはバッハのチェロ協奏曲第1番が挙げられていた。
2002年版危険楽曲のポピュラーのほうは、当時のヒット曲が中心で、今回のチャートには残っていない。。カイリー・ミノーグ「In Your Eyes」は2002年2月発売のヒットナンバー。So Solid Crewはイギリスの大人数ダンスグループ。「21 Seconds」は2001年のヒット曲。モーターヘッドの「Ace of Spades」は、1980年のアルバムタイトル曲だ。
ちなみに、2002年版では、ジョージ・ハリソンの名作「ヒア・カムズ・ザ・サン」が「安全」とされている。
・危険な曲:2004年
作曲家/演奏者 | 楽曲 |
---|---|
Wagner | The Ride of the Valkyries |
Prodigy | Firestarter |
Basement Jaxx | Red Alert |
Faithless | Insomnia |
Verdi | Dies Irae (Requiem) |
・危険な曲:2002年
作曲家/演奏者 | 楽曲 |
---|---|
Wagner | The Ride of the Valkyries |
Mussourgsky | Night on a Bare Mountain |
Verdi | Dies Irae (Requiem) |
Motorhead | The Ace of Spades |
Kylie Minogue | In Your Eyes |
So Solid Crew | 21 Seconds |
・安全な曲:2004年
作曲家/演奏者 | 楽曲 |
---|---|
Gary Jules | Mad World |
Lemar | Another Day |
The Sugababes | Too Lost in You |
Blue | Breathe Easy |
Norah Jones | Come Away with Me |
・安全な曲:2002年
作曲家/演奏者 | 楽曲 |
---|---|
The Beatles | Here Comes The Sun |
Dido | Thank You |
Bach | Cello Suite No.1 |
Will Young | Evergreen |
Robbie Williams | Angels |
Allegri | Miserere |
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