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終わったわけではなかった――Netscape新版リリースへ

» 2004年04月17日 09時26分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Netscapeブラウザは死んだわけではなかったようだ。業界観測筋は昨年、同ブラウザはもう終わりと決めつけていたが、米America Online(AOL)は来月にも、Netscapeインターネットソフトパッケージの新版をリリースする計画だ。

 これはAOLが1998年に42億ドルで買収したNetscapeのブランドを復興しようとする試みの一環。AOLはさらに、新製品「Netscape Desktop Navigator」のテストも進めている。1月には、Netscapeブランドで低価格インターネット接続サービスも立ち上げた(1月9日の記事参照)。

 Netsapeの新版は、2003年半ばにリリースされたバージョン7.1をリプレースするものとなる。恐らくはバージョン7.2として、早ければ来月登場し、Mozillaインターネットアプリケーションスイートの次期バージョンであるMozilla 1.7が基盤になると事情通は伝えている。

 AOLにコメントを求めたが、4月16日午後までに返答はなかった。

 現行のNetscape 7.1はMozilla 1.4ベース。Mozilla 1.4は昨年6月にリリースされている。Mozilla 1.7は、最初のβ版が先月リリースされた。このMozilla統合製品には、ブラウザ、電子メール、ニュースグループクライアント、チャットクライアント、Webページエディタが含まれ、タブブラウザ、ポップアップ遮断などの機能を備える。

 AOLが昨年、Netscapeソフト開発者をレイオフし、Mozillaブラウザ技術開発から手を引いたとき、アナリストらは、Netscapeブラウザはもう終わりだと語っていた。

 開発作業はMozillaオープンソースプロジェクトに引き継がれた。同プロジェクトはもともと、Netscape Communicationsによって1998年初頭に立ち上げられ、AOLがNetscapeを買収した後もそのまま存続した。昨年、Mozillaを支持する人々が、Mozilla製品の開発、サポート、プロモーションのため、AOLからの200万ドルの保証を主体に財団を創設している。

 インターネットソフトパッケージの改訂準備のほかにも、AOLは密かに、Netscape Desktop Navigatorという新製品のβテストを開始している。これは、コースターのようなユーザーインタフェースを採用、ユーザーの郵便番号(ZIPコード)を基に、地域に即したWebコンテンツへのアクセスを可能にするもの。β版はhttp://navigator-stage.netscape.com/からダウンロードできる。

 “コースター”の真ん中に、インターネット検索バーのほか、ニュースヘッドラインと天気情報へのタブが置かれ、縁の部分に、映画・テレビ・地図・ショッピングなど各種情報をWebから引き出すためのボタンが配置されている。情報はまず“コースター”の下部に折り重なる形で表示され、クリックするとユーザーが使っているブラウザ(IEも可)が立ち上がる。

 The Envisioneering Groupのアナリスト、リチャード・ドハーティ氏によると、インターネットソフトパッケージ新版とNetscape Desktop Navigatorは、バンドル提供される可能性が高い。同氏は、Netscapeブラウザの新版リリース準備が進められているという話を、元AOL社員から耳にしたという。

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