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TD-SCDMA(MC)はTD-CDMAの4倍の周波数効率〜イー・アクセスがフィード実験

» 2004年04月21日 21時02分 公開
[RBB Today]
RBB Today

 イー・アクセスは、無線技術「TD-SCDMA(MC)」の説明会を実施した。ここでは、これから開始されるフィード実験の詳細が明らかにされた。

(左)同社の新規事業企画本部長 諸橋知雄氏(右)代表取締役COO 種野晴夫氏。種野氏は「国内ではモバイルブロードバンドサービスはまだ提供されていない。ぜひ実現させたい」とした

 同社では、2004年2月から実験局の申請を開始。当初は2,010MHz〜2,025MHz帯を予定していたが、この帯域では他社が実験を行っており干渉を防ぐための調整が手間取ることが判明。使用する周波数帯を2,000MHz〜2,005MHzに変更したうえで、4月15日に免許が交付された。これを踏まえて、5月15日ごろをめどに同社のビルに(虎ノ門)基地局を設置し実験を開始する。さらに今後は、渋谷と四ッ谷の合計3か所にも基地局を追加し、免許が交付され次第、利用する帯域を15MHzに拡大する。

 実験は免許の有効期限である1年間が予定されており、「この技術がモバイルサービスに適したものなのか検討する」(同社 諸橋知雄氏)ことが中心になる。技術的には、電波特性の評価、スループットの特性評価などを実施。ほか、若干名の一般モニターを募集しユーザの利用動向を探るモニター試験も行う可能性があるとしている。

実験局の配置。この地図を見る限りでは、1つの基地局で半径2km程度をカバーしているようだ
(左)セクターアンテナ(右)オムニアンテナ。実験ではセクターアンテナが使用される

 また同社が用いているTD-SCDMA(MC)方式の標準化だが、米国のT1P1(ANSI)においては、2004年2月に郵便による投票が終了しており、事実上、確定している状態だ。正式には、5月1日から行われる会議で決定し、IMT-2000での標準化作業も進める予定だ。

 さらに、TD-SCDMA(MC)のメリットについても触れられた。現在、TDDを用いたモバイルブロードバンドサービスは、同社のほかソフトバンクBBとマルチメディア総合研究所が参入を表明している。しかしこれら2社は「TD-CDMA」方式の採用を検討しており、イー・アクセスとは異なる。ここでは、これら2つの方式の違いが中心に示された。

 まずセクタースループットについては、アップリンクでTD-CDMAやHSDPAと比べて約4.4倍の5.7Mbps、ダウンリンクでは約2.3倍の5.48Mbpsが見込めるとしている。これについては「スマートアンテナ、マルチキャリア、上りの同期が大きく影響しているのではないか」とTD-SCDMA(MC)の利点がそのままスループットの向上につながっているとした。

 またTD-SCDMA(MC)は、周波数効率が高いことも特徴だ。ここでは1か月に1Gバイトのデータを利用するユーザが1,000万人加入するケースを想定すると、TD-CDMA方式の場合は20MHz、TD-CDMA(HSDPA)は15MHzの帯域が必要なのに対して、TD-SCDMA(MC)は5MHzで済むとしている。このほか、1か月あたり2Gバイトと3Gバイトのシミュレーションも示されているが、いずれもTD-CDMAとTD-SCDMA(MC)の間で4倍の差が見られる。