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名刺サイズに“FMラジオ&エアチェック”の魅力――「MuVo Slim」レビュー(2/2 ページ)

» 2004年05月25日 01時20分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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意外な伏兵――“連続長時間”で“FMエアチェック”も可能な「録音機能」

 ボイス録音機能は容量いっぱいまで行えるタイプで、今回のレビューで使用した256Mバイト版では、なんと16時間以上の長時間録音が可能になる。内蔵バッテリーの連続駆動時間もちょうど17時間前後なので、電池/メディア交換をせずにメモリー一杯までの連続録音ができるのだ。例えば、1日8時間睡眠の人なら朝起きて夜寝るまで丸1日分の自分の会話をすべて録音できる(そんな使い方をする人はいないだろうが……)。ちなみにレビュー機で試したところ、17時間34分の連続録音が行えた。

 録音ファイルはモノラル音声のWAV形式(IMA ADPCM、4ビット/8MHz)で記録される。音質はICレコーダーに比べると劣るものの、発話者など音源が近い小規模なスペースでの録音や、ちょっとしたボイスメモとしては十分使えるレベル。ただ、できることなら内蔵マイクだけではなく外部マイク端子も欲しかった。

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 注目したいのはFMラジオ機能だ。

 筆者は電車やクルマでFMラジオを聴くのが好きで、通勤電車用として手のひらサイズのFMラジオを何度も買い換えて愛用してきた。それだけに、MuVo SlimはMP3プレーヤーとしてよりも「FMラジオ機能を薄型ボディに搭載した」点に興味があった。

 FMの選局は手動でのセッティングのほか、受信可能な局を自動的にサーチするオートプリセット機能も搭載。自動選局したプリセット情報はメモリーに保存もできる。チューナー内蔵ポータブル機でよくあるヘッドフォンケーブルをアンテナ代わりにする方式だが、受信感度は意外と良好で、室内や電車の中でも主要キー局はクリアな音質で聴けるなど、その実力は専用携帯ラジオ並みだ。

photo チューナーはオートプリセット機能も搭載

 そしてMuVo Slimでユニークなのは、録音機能がこのFMラジオにも使える点。薄型MP3プレーヤーが、“ポータブルFMエアチェック機”にもなるのだ。録音ファイルはステレオ音声のWAV形式(IMA ADPCM、4ビット/16MHz)で記録されるので、音質もそこそこいい。そのかわり、最大記録時間は256Mバイト版で約4時間とボイス録音の約1/4になる。

同梱ヘッドフォンがチープなのは“アリ”

 同梱のヘッドフォンは悪名高い(?)MuVoシリーズのそれで、インナーイヤー部分が大きく日本人には向かないタイプ。音質も中高音はいいが低音が弱めの“ドンシャリ型”だ。これは、筆者が愛用しているソニーの“耳栓型”「MDR-EX71SL」(5000円、実売4000円前後)に変更したら、とても聴きやすくなった。

 これまでは「もう少し質の高いヘッドフォンを同梱して欲しい」など述べていたが、“耳”という自分の肉体へ直に装着するヘッドフォンは、好みも人それぞれ。携帯音楽プレーヤーを常用しているユーザーなら、自分好みのヘッドフォンを持っているケースが多いだろう。それなら製品付属のものは極力コストダウンしてもいいのでは、と最近感じるようになった。つまり、MuVoシリーズのチープな同梱ヘッドフォンは、これで“アリ”なのだ。

 なお、同梱ヘッドフォンでも自前のソニー製でも、FMラジオの受信感度はまったく変わらなかった。

photo MuVo Slimのパッケージには、プレーヤー本体(専用バッテリー内蔵)とキャリングケースのほか、ヘッドフォン、USBケーブル、バンドルソフト(Creative MediaSource)が同梱

 本体への充電はUSB接続時のバスパワーにて行われる。製品パッケージにはバッテリー充電器やACアダプタが含まれていないので、PC起動時でないと充電できないのは不便だ。もっとも、電源供給型(セルフパワー方式)のUSBハブなどを使えば、PCなしでも充電できるほか、5月発売予定の別売りチャージャー(Creative MuVo Slim用USBバッテリーチャージャー、2079円)を使うと、家庭のコンセントから充電可能になる。

MP3再生専用機にはない“FMラジオ&エアチェック”の魅力

 筆者が最近愛用している携帯音楽プレーヤーは4GバイトHDD搭載のMuVo2なのだが、使っているうちに「自分には4Gバイトも必要ないな」と思うようになった。筆者の携帯音楽プレーヤーでの音楽の聴き方は「最近購入もしくはレンタルしたCD数枚分を繰り返し聴く」という“一点集中型”スタイルで、ミュージックサーバ的なスペックは必ずしも必要ないと分かったのだ。

 “常に持ち歩く”携帯音楽プレーヤーで筆者が望むのは、やはり薄型軽量なボディ。そして楽曲数(容量)よりも“付加機能”だ。自分好みの音楽をミュージックサーバからいつでも選局できる便利さよりも、FMラジオから流れてくる第三者が選んだ楽曲の新鮮な驚きに魅力を感じる。

 出かける前の家の中や出先の会社/学校などで、受信状況のいい場所にMuVo Slimを置いてFM番組を録音。電車など移動中は録音したクリアな音質のものを聴くというスタイルが可能なのも、エアチェック機能を持つMuVo Slimならではの使い方だ。

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