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“極楽再生”を目指したカノープスのDivXプレーヤー「MultiR DVD」を試すレビュー(1/3 ページ)

» 2004年05月25日 11時24分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 DivXプレーヤーにカノープスの「MuitiR DVD」が登場した。ネットワーク再生には対応せず、DVD/CDメディアだけのスタンドアロンタイプだが、MPEG4でもスムーズな可変速再生や豊富な添付ソフトなど、なかなか魅力的な製品に仕上がっている。今回は、製品版でその使い勝手を試してみたい。

photo センターにトレイを置き、ツートンカラーと曲面を取り入れたフロントパネルがアクセント。サイズは、一般的なDVDプレーヤーとほぼ同等だ
photo DivXでエンコードされたMPEG-4準拠の動画ファイルや、ファイルとして書き込まれたMPEG1/2ファイルの再生も可能な「MuitiR DVD」。MP3ファイルや静止画ファイルにも対応している。本体の操作ボタンは必要最小限で、DVDビデオや音楽CDの再生用と割り切ったものといえる

 昨年あたりから数多くの製品が登場しているのが、DivXなどのMPEG-4ベースでエンコードされたファイルを再生できる、いわゆる“DivXプレーヤー”だ。DVDメディアを再生できる製品、LAN経由でパソコンの中にあるファイルを再生する製品、そして両方を可能とした製品が、多くのベンダーから登場しており、PCペリフェラルの1ジャンルとして定着しつつある。

 これらの製品で、1つの課題となっていたのが可変速再生だ。MPEG-1/2/4といったフォーマットは動画を構成する全てのフレームを静止画として保存してはいないため、もともと可変速再生は苦手。MPEG-4再生時などは、ほとんど紙芝居のような動きが標準的になっていた。これは多くの製品がデコードチップに米Sigma Designsの「EM85xx」を採用していた関係もあるだろう。

 MultiR DVDは、デコードチップに台湾MediaTekの「MT1389」を採用することでスムーズな可変速再生を実現した。では、その可変速再生はどの程度のものだろうか。

 MultiR DVDでは、“早見”“早戻し”ともに2/4/8/16/32倍速が可能で、ボタンを押してから可変速再生が始まるまでの待ち時間はほぼ皆無。画面の動きも、4倍速までは極めて滑らかだ。8倍速ではさすがに映像の不連続性が目立ち始め、16倍速以上では不連続な映像となる。

 もっとも、この点は民生機のDVD/HDDレコーダーなどでも同様だ。16倍速以上ともなれば、映像の不連続性が目立つのは当たり前。可変速再生がどこまで重要なのかは個人差もあるだろが、普段使っている民生機と比べても、あまり違和感を感じないのは事実だ。また、可変速再生を始めるとき、待ち時間が発生するようなこともない。可変速再生に限れば、DVDプレーヤーやHDDレコーダーとほとんど変わらぬ操作性を実現しているといえる。

photo タイムカウンターも同時表示可能。時分秒”を入力して場面移動するのも早い。画像は、スカパー!/スカパー!110、ケーブルテレビで放送中のディスカバリーチャンネルより、「究極の建造技術」(c)2004 Discovery Communications Inc.

ドルビーACデコード機能も搭載

 MultiR DVDのもう一つの特徴が、ドルビーデコーダを内蔵していることだ。アナログの6ch出力を備え、マルチスピーカーシステムと組み合わせて5.1ch再生が可能になっている。最近はドルビーデコーダー内蔵アンプなどの価格も安くなっているが、低コストにマルチチャンネル再生環境を構築できる。

photo 背面には6チャンネル分の音声出力、ビデオ(コンポジット/S)、コンポーネントビデオ出力、デジタル音声出力(光、同軸)を備える。ACケーブルは直付け(クリックで拡大)
photo 各チャンネル(スピーカー)毎の遅延もスピーカーの位置に合わせて設定可能。2チャンネル音源を擬似マルチチャンネル化するドルビープロロジックIIにも対応している。これ以外にもドルビー5.1チャンネル対応音声のダウンミックスの方法など細かく設定できる

 リモコンは、当然ながら日本語表記。一部の機能についてはマニュアルにしっかり目を通さないと操作がわからないこともあるが、操作性は悪くない。

photo 片手でも収まりの良いリモコン。決定キーと再生キーを兼ねているのはわかりやすく、操作性の向上に一役かっている(クリックで拡大)

操作性は良いが日本語ファイル名には非対応

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