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「奥行き20センチ以下」のリアプロも――三菱、超広角光学エンジン開発

» 2004年05月26日 21時49分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 三菱電機は5月26日、薄型のプロジェクションTV(PTV、リアプロ)が実現できる「DLP超広角光学エンジン」を開発したと発表した。新開発の光学エンジンは、奥行きが20センチ以下のPTV製品を作り出すことも可能という。2005年をめどに商品化をはかる予定。

photo 新開発の超広角光学エンジン(上)と、製品化したときの薄型リアプロのモックアップ(下)
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 全世界的に大画面テレビの需要が急伸しているが、表示デバイスを直視する液晶/プラズマ方式は画面サイズ増にともなって価格がリニアに上昇し、特に液晶で40インチ、プラズマで50インチを超えると80万〜100万円以上になるなど価格が大幅に高くなってしまう傾向がある。

 大画面化の価格上昇が少ないのが投射型のプロジェクションTVだが、その構造上から、これまでプラズマ/液晶テレビと競合できるだけの奥行き(薄さ)は確保できていなかった。

 同社が開発した新光学エンジンは、レンズと非球面ミラーを組み合わせることで最大画角を160度(非球面ミラー無しの従来型は80度前後)と大幅に広角化。より斜め方向からの投写が行えるようになり、テレビ台/スタンドなどを含めた設置時でプラズマ/液晶に匹敵する奥行き20センチ以下の薄型サイズ製品が可能になった。

photo 超広角光学エンジンの構造

 同社は2002年12月から、非球面ミラーを用いて奥行きを26センチにした業務用59型リアプロを発売。今回の新光学エンジンは、この59型リアプロ向けDLP光学エンジンを改良したものだ。

photo 奥行きを26センチにした業務用59型リアプロ。薄型を生かして上下2面や6面マルチなどのバリエーションも。空港や駅での案内表示、会議でのプレゼンテーション用などで使われている

 「画角を広げるとひずみ(歪曲)が出てくる。リアプロで使うには歪曲を0.1%以下に収めなければならない。レンズ配置の抜本的な見直しや非球面ミラー形状の再設計によって、歪曲を減らしながらも広角化が行えた」(同社)

 また、今回の光学エンジン試作機では、コントラスト比も3000対1(同社従来製品は2000対1)と薄型にしながらも高コントラストになっている。

 「量産技術を確立し、早期の実用化を目指す。広角化技術によって背面ミラーを廃した低価格・薄型リアプロも可能。フロント投写型プロジェクターなどにも応用できる」(同社)

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