5月27日から30日まで、東京世田谷区砧のNHK放送技術研究所の一般公開が行われている。
今回、目立つところにいるのは東京、名古屋、大阪の都市圏で始まった地上波デジタルテレビ放送関係だ。これらについては、すでにニュースとしてレポートされているので、こちらは例によって、もっと変なものを拾っていこう。
といいながら、地上波デジタル関係をひとつ。
総務省は、2007年までに、字幕付与可能なすべての放送番組に字幕を付与することを義務化する。したがって、ほとんどの番組に字幕がつけられるようになる。この字幕はアナログ放送のものとは異なり、画像に埋めこまれているのではなく、別データとして送られるものなので、表示するかどうかは視聴者の任意だ。
さて、この字幕データを、放送時だけではなくてあとからも使おうというのが、これだ。DVDに「プロジェクトX」が録画されている。これは普通に録画したもので画像しか入っていない。ここに、あとから〔インターネット経由で)放送時の字幕データを入手できるようにする。すると、その番組の字幕だけを斜め読みすることができる。さらに、どれか字幕をクリックすると、その字幕が表示されてた位置から番組を再生できるようになる。字幕がいつ入ったかという情報はわかるから、これは簡単だ。
これはまだアイディアだけの段階だ。実現するためにはDVDレコーダーと、コンテンツと両方の対応が必要になる。でも、これができると「字幕」の使いみちが大きく広がる。どうせ義務づけられちゃうなら、いろいろ使えるほうがいい。
もう毎年恒例。100円玉サイズ(0.8インチ)のディスクをドライブの形に組み上げて、動画データを読み出して表示していた。容量は20Gバイトになるはず(デモに使っていたドライブは、内周部分しか使えていないために0.6Gバイト程度しかない)。
「毎年毎年、おうかがいしているんですが……実用化はいつですか」
「2年くらいの間にはきっと」
「もう数年来、『来年』と伺っていたのですが」
「(メーカーが)水平磁気から垂直磁気に切り替えるのには、工場のラインを変えなくてはいけない。だからなかなか垂直磁気に踏み切れないんです。そこへ持って来て、素材がよくなったことがあって、水平磁気が延命されてしまった。そのぶん、垂直磁気が少し遠のいてしまったかもしれません。でも、この携帯電話に入るサイズで20Gバイトってのは垂直磁気じゃないと無理ですから」。
7680×4320画素(ハイビジョンの縦横4倍)の超高解像度の映像システムだ。これも、一昨年、昨年とあったものだけど、こちらは毎年どんどんよくなっていくのがわかる。今年は、まずディスプレイが9.8×5.6メートル(対角450インチ)とでかくなった。それを見る部屋はそんなに大きくないので、見るときは後の方の席のほうがいいかもしれない。
そして、デモとしてみる映像が屋久島ロケになったのだ。なんとか持ち運べるくらいにカメラが小さくなったのである。そうはいっても80キロほどあるのだけど。録画はハイビジョンの機材を16台並べることで対応。
このロケ画像を見ていると、ひとつのカットが非常に短い。長いカットでも10秒程度しかない。綺麗な画像を吟味したいと思っているとどんどん切り替わってしまう。なんか理由があるのかと思って聞いてみた。
ピントの問題なのだそうだ。撮影に使ったカメラは、普通のカメラと同じようにカメラのそばにいる人(カメラマン)がピントをあわせる。ところが、カメラについているモニタはそんな高解像度を持っていないから、ほんとにピントがあっているのがどうかはよくわからない。そこで、ピントチェックは中継車においた大きなディスプレイで行うことになる。そこからカメラマンに指示を出すのだ。これではタイムラグが生じてしまい、その結果、あんまり長時間のカットだとピントのズレがでてきてしまう。ということなんだって。
今作っているカメラは、中継車側からピントを合わせられるようになるので、この問題は解決する。また、ズームもできるようになるんだそうだ(そういえば、屋久島画像にはズームがなかった)。来年3月の愛知万博に間に合わせる予定。
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