小池氏は、コスト/画質/消費電力などあらゆる面で、PTVこそがリビング向け大画面テレビに適していると語る。
「ユーザーの関心も高い消費電力に関してはPTVはプラズマの半分以下。ランプも100ワットなのでトータルでも200ワット以下といった低消費電力。そして主要なパーツは光学エンジンぐらいなので、本体中身はほとんど空気(空間)。もちろん運搬・移動にも楽なのだが、処分する際に産業廃棄物が少ないのも見逃せない。PTVはもっとも環境に優しい大画面テレビ」(小池氏)
また、近年はエレクトロニクス製品からの電磁波の人体への影響などへの関心も高まっている。
「プラズマテレビは蛍光灯と同じ原理で、高電圧による放電で発生した紫外線をセル内の蛍光体に当てて紫外線のエネルギーで蛍光体から可視光(発光現象)を得る方式。当然、電磁波や蛍光体からの紫外線が発生し、そして画面の大きさに比例してリニアに増えていく。もちろんその量は人体に影響の無いレベルなのだろうが、大画面になるほど増えていくのは気持ちのいいものではない。PTVでは画面からの電磁波や紫外線はほとんどゼロ」(小池氏)
直視型のプラズマは高コントラスト(暗所コントラスト比)をセールスポイントにしている。だが小池氏は、一般家庭のリビングでは暗所コントラスト比の高さはあまり意味がないと指摘する。
「スペック上のコントラスト比が違う機種同士で実コントラスト(一般家庭内の明るさでのコントラスト)を調べてみると、周囲が10ルクス以上の環境ではほとんど変わらないという結果が出た。真っ暗なシアタールームなど10ルクス以下では暗所コントラスト比の数値が有効になってくるが、一般的なリビングでは暗くても30ルクス程度で、実コントラストではほとんど差が出ない。実際に液晶テレビは高コントラストをうたうものでも600対1程度だが、店頭など(明るい場所)ではプラズマよりも明るくキレイに見えることが多い」
液晶/プラズマといいた直視型は、大画面化とともに表示デバイス自体を大きくしていかなくてはならない。それに対して、デバイスサイズが1インチ以下しかない投射型のPTVは、ある程度の画面サイズ以上になると直視型より低価格で製造できる。大画面になればなるほど有利な方式なのだ。今回発表されたLIVINGSTATIONも、57V型が56万円で47V型が46万円と、いずれも1インチ1万円以下の低価格で登場した。
50インチ以上でプラズマよりもコスト面で有利といわれるPTVだが、欧米より狭い日本家屋では40インチ前後がリビングにもっとも適したサイズともいわれている。40インチ前後のPTVは不可能なのだろうか。
「現在PTVで使っている0.7インチXGAパネルは50インチ以上の画面サイズを想定しており、実際にフロントプロジェクターでは100インチ前後のホームシアタークラスまで表示できる実力がある。40インチクラスでいいならパネルがもっと小さくて画素も少ないタイプで十分。そうなると、さらにデバイスコストは下がるのでさらに安価なPTV登場の可能性も出てくる。個人的には、PTVで40インチ前後は十分可能だと思っている」(小池氏)
このように“第3の大画面テレビ”としての実力を持つPTVだが、残念ながら国内の家電量販店では、液晶/プラズマ/PTVの3方式を見比べられるように展示してあるところはほとんどない。
「一番分かりやすいのは米国の家電量販店で、液晶/プラズマ/PTVが並べて置いてある。そのような見比べられる環境下で一番売れているのがPTVというまぎれもない事実が、どの方式がリビングテレビに一番向いているかを物語っている」(小池氏)
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