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“ドッグイヤー”の世界で楽しむ「一生に1度か2度」のショー

» 2004年06月08日 23時59分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 本日6月8日の午後、金星が太陽面を横切るという天体ショーが百数十年ぶりに日本で観測された。

 金星が月に隠されるいわゆる“金星食”は、日本でも昨年5月に観測されるなど比較的ひんぱん(とはいっても昨年の金星食は国内では1989年以来13年ぶり、次回の国内観測チャンスは2012年8月……)に見られる現象だが、「金星の太陽面通過」は世界的には1882年以来122年ぶり、日本国内での観測は明治7年(1874年)以来というから実に130年ぶりという貴重な天体ショーなのだ。

 昼間に観ることができる天体ショーでは、月と太陽が重なる“日食”が有名。小学校では「スライドガラスにロウソクでススをつけて観る」と教わるのだが、筆者が小学生だった時は真っ黒に感光した銀塩ネガフィルム(これは白黒フィルムでないとダメ。カラーネガでは目を痛める)を重ねて太陽を観察していた。

 流行り病のように天体少年になっていた小学校高学年の頃は、食が進む連続的な様子を多重露光で1枚の写真に収めたりしたものだ(この流行り病は小学校卒業と同時に消滅した)

 金星の軌道面と地球の軌道面が交わるチャンスは、6月上旬と12月上旬の2回。日本で前回観測できた1874年は冬のショー(12月9日)だったが、今回は6月――つまり、日本では梅雨の時期に当たってしまった。

 案の定、東京地方は午前中こそ時より青空が見えていたものの、午後はどんよりとした厚い雲が空一面を覆ってしまい、百数十年ぶりの天体ショーを楽しむことはできなかった――。「肉眼では」の但し書きが必要だが。

 前置きが長くなったが、今回の“世紀の大イベント”はライブ!ユニバースのプロジェクト「LIVE! VENUS(ライブ・ビーナス)2004」でその一部始終がインターネット中継された。ライブ!ユニバースは昨年5月に起こった水星の太陽面通過もインターネット中継を行っている。

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 105年後→8年後→122年後→8年後と、金星の太陽面通過は一定の周期で起こることが分かっている。8年後の2012年が我々が生きているうちの最後チャンスで、それを逃すと次(105年後の2117年)はない。

 変化が激しいITの世界は“ドッグイヤー”といわれる。8年後の次回は、どんなIT技術でこの稀代の天体ショーを楽しませてくれるだろうか。

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