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ヤフオクでの肖像権侵害を撲滅――ヤフーと音事協が共同で対処

» 2004年06月14日 17時31分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 Yahoo! Japanは日本音楽事業者協会(音事協)と共同で、Yahoo!オークションにおける肖像権侵害の撲滅を目指しての取り組みを開始する。

photo ヤフー法務部長 別所直哉氏(右)と音事協 常任理事 尾木徹氏

 Yahoo!オークション(ヤフオク)には常時630万件の出品があり、タレントグッズの数は約5万件。その中には写真集・ネット掲載物の無断複製やイベント・コンサートなどでの無断撮影物など、肖像権侵害に相当する品物が含まれているという。

 同社はヤフオクにおいて権利侵害となる品物の出品自体を禁止しており、それは出品者向けのガイドラインにも明記されている。独自の監視や一般利用者からの情報提供などを通じて、品物の取り締まりを行っているほか、7月からは郵送による出品者確認も行われる。

 しかし、同社サイドからの確認だけでは肖像権侵害の品物かの判断が難しいケースもあり、権利者側からの連絡で肖像権侵害物であることが明らかになるケースもあったという。そのため、音事協との連携によって詳細な基準と対処法を取り決めることとなった。

 具体的な侵害例として示されたのは、前述の無断複製物や無断撮影物のほか、プライベートな写真の配布、現像ラボからの流出物、プロモーション用プロフィール、記者会見で撮影した映像など。共同での取り組みは特に期間を設けずに行われる予定で、「特に終わりは設けず、肖像権侵害がなくなるまで継続したい」(同社 法務部長 別所直哉氏)。

 同社は今年1月からコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と同様の取り組みを開始しており、問題のある出品自体の減少、出品後の速やかな削除などの効果を生んでいるという。

 今回は音事協との合意だが、同社では既に620あまりの権利者団体と協議の場を持っており、「できるだけ多くの団体、権利者と話ができる仕組みの構築を進めたい」(別所氏)としている。こうした肖像権侵害の撲滅・防止の為には利用者への啓蒙も欠かせないため、「特設ページでの告知なども検討している」(同氏)という。

 音事協は2001年から肖像権侵害に対する啓蒙キャンペーンを開始しており、新聞雑誌や電車内などでのPRを行っている。「今後のテーマはインターネット上での肖像権侵害対策。今回の取り組みはキャンペーンの第四弾に当たるもので、特に期限を設けてという話ではない」(常任理事 尾木徹氏)と、ヤフー同様、継続した取り組みを進めていく姿勢だ。また、肖像権の侵害行為そのものに関しては、「立法化が一つのゴールにはなるだろう」(同氏)と、将来的には肖像権の立法化を目指していくという方針を明らかにした。

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