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北京でロボット展覧会

» 2004年06月15日 23時54分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 日本ではあまり知られていないが、中華人民共和国(中国)は国家戦略としてロボット技術の開発に力を注いでいる。その一環として、中国と海外の最新ロボット技術を展示する「2004 中国国際ロボット展覧会」を11月に北京で開催する計画だ。6月15日に都内で行われた記者発表会では、中国の「国家“十五”863計画ロボット技術プロジェクト」の主任で、ロボット専門誌の編集長でもある劉進長氏が来日し、日本企業の参加を呼びかけた。

photo 「国家“十五”863計画ロボット技術プロジェクト」の劉進長主任

 国家“十五”863計画とは、中国が1986年から進めているハイテク技術の研究発展計画(86年3月に開始されたため、こう呼ばれる)。目的は、生物、宇宙、情報、レーザー、オートメーション、エネルギー、新素材、海洋技術の8分野でハイテク産業の発展に向けた条件を整備すること。先頃成功した“中国初の有人宇宙飛行”もこの計画の一環だ。

 「ロボットは中国国内でもホットな話題だ。もちろん工業用ロボットも需要は高いが、“特殊ロボット”も急速に発展すると考えている」(劉氏)。特殊ロボットとは、産業用を除くロボット全般のこと。中でも「身の回りにいるロボットが主になる」(劉氏)。

 そこで、ヒューマノイドやコミュニケーションロボットの分野で先行する日本からも、多くの企業や研究者を展示会に呼びたい考えだ。「ヒューマノイドの分野は、日本が最も進んでいる。日本とともに、中国の技術も進んでいければ嬉しい」。事実、用意するブース(300)のうち、日本からの出展が3分の1を占めることが目標だという。

photo 記者発表会の後に行われた座談会の様子。左から劉氏、ファナックロボット研究所の榊原伸介所長、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長、ハルキゲニアプロジェクト・リーダーの山中俊治氏

 展覧会に「企画協力」の立場で参画する千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長は、「展示会を通じて日中の技術者が交流を深め、一般家庭に進出するようなロボットの研究を進めたい。とくにパートナーロボットは人々の生活レベルにまで入っていくもの。人口10億を抱える中国市場で認められないと数が出ない(普及しない)だろう」として、将来のロボット産業における中国市場の重要性を説いた。

 「現在、日本のロボット研究はある種の閉塞感に覆われている。それは、ロボットの技術を研究していても、なかなか製品として市場に出ないこと。中国との協力関係は、この状況を打破できるものだと考えている」(古田氏)。

photo 特別講演としてハルキゲニアプロジェクト・リーダーの山中俊治氏も登場。展示会については「別の文化的背景を持つ人々と一緒にやれるのは楽しみ」とコメント

 「2004 中国国際ロボット展覧会」の会期は、2004年11月11日から14日まで。会場は北京市朝陽区にある「全国農業展覧館1号館」だ。主催は、中国科学院自動化研究所(いわゆる中国科学アカデミー)と中国国際企業合作公司。海外後援として、日本ロボット工業会とNPOの東京都日中友好協会が名を連ねている。

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