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恵比寿に大人のネット空間誕生

» 2004年06月18日 16時07分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]

 エムスリーは6月18日、東京・恵比寿にネット投資家向けのインターネットカフェ「PrimeDESK」をオープンした。ビジネスマンの利用も見込み、充実したPC環境やゆとりのある空間を提供することで、平均的なネットカフェとの差別化を図る。

 PrimeDESKは会員制。初めて利用する際には入会金2000円が必要になる。利用者の目的に合わせて3種類のブースを用意。利用料は1時間当たり1000−1400円程度となる。平日8時半から16時半にかけて利用できる割安のトレーダーズパック(6000−1万円)もある。

 平均的なネットカフェの利用料が1時間当たり400−450円であることを考えると、この料金設定は高め。しかし、エムスリーの木村裕亮社長は、こうしたネットカフェの多くはマンガ喫茶から転じたもので、株取引やビジネスで利用するにはPCなどの環境が十分に整っていないと指摘する。

photo 最高級のエグゼクティブ・ルーム。扉を閉めてプライバシーを守ることができる

 PrimeDESKでは、46ブースに80台のPCを設置。大半のブースで2台のPCを利用できる。これは株価のチェックとネット証券への売買注文にそれぞれ1台のPCを割り当てるネット投資家のニーズに対応したものだという。このほか光回線を導入し、ビジネス利用を見据えて「Office 2003」をインストールした。さらには全国紙や経済専門誌、株式取引の専門書などをそろえ、価格に見合ったサービスとする考えだ。

 セキュリティ面は、携帯電話向けのシステム開発を手掛ける同社のシステム部が監督。ブースの利用客が変わるたびにPCを再起動してcookieやパスワードの履歴を削除するなど、ID盗難に備えた対策も万全だとする。

 1号店となる恵比寿での反応を見て、順調に行くようなら、年内に5店舗ほどを主要都市・ターミナルに展開していく方針だ。

ネットユーザーがいいとこ取りするのは当然

 ネットでの株取引が盛んになる中、投資家向けのネットカフェは昨年暮れごろから登場し始めた。2003年10月にはリテラ・クレア証券、今年4月にはトレイダーズ証券がそれぞれネットカフェを開設している。

 ただし、両社はどちらも証券会社。ユーザーがカフェで利用できる口座は自社口座のみに制限している。

 野村証券、シティバンクと渡り歩いてきたエムスリーの木村氏は、こうした方針はユーザーを無視したもので「釈然としない」という。PrimeDESKにはこうした制限はなく、好きな証券会社の口座を利用できる。

 ゲストとして出席した松井証券の松井道夫社長は「自社のサービスだけを使わせる時代は終わった」と主張。ネット投資家は複数の証券会社を使い分け、いいとこ取りして当然と話し、先の両社はネットビジネスのコンセプトに背いていると批判する。

photo 松井道夫氏(松井証券社長)

 さらに松井氏は、「オンライン売買が増え、システムの増強が課題になっている。負荷の分散を図るため、株式の夜間取引はやらざるを得ない」と語る。

 仕事帰りにちょっと株取引でも――。ビジネスマンを狙ったPrimeDESKは、成功するのではないかと松井氏は話している。

 PrimeDESKの店舗は、東京都渋谷区広尾1-3-18の広尾オフィスビル9階にある。営業時間は平日が8時から23時30分、土日祝日が10時から23時(年中無休)。

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