コラム
2004/06/24 12:00 更新


蘇る「新タワー」構想、これがラストチャンスか? (2/2)


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 高層タワーは眺望も良いから、タワー運営会社は放送各局からの収入のほかに観光収入も見込める。実際、現在の東京タワーも、放送局各社からの収入と観光収入の二本立てで経営が成り立っている。

 もし在京放送局の親局がすべて高層の新タワーに移行してしまうと、東京タワーを運営する日本電波塔にとっては放送収入と観光収入の両面で、大打撃になることは間違いない。おそらく死活問題になるだろう。

 日本電波塔は、在京放送局各社とこれまでの地上波放送を支えてきた会社であり、資本関係はもちろん、放送局各社と非常に強い絆(きずな)を持つ。タワー招致に動く各候補地が「新たな高層タワーが必要」というだけで計画を進め、同社の経営をないがしろにするようであれば、そんなプランが実現することはありえないと言っていいだろう。

 むしろ、新タワーの建設に当たっても、日本電波塔を生かしていく形で検討されるべきだ。在京局の親局を運営してきたノウハウの蓄積には相当のものがあることを、軽んじることはできないからだ。

 新タワー構想にとっての、もう一つ検討を要するポイントは、電波の発信元が変わることによって、アンテナの向きを変える必要が出てくるという点である。これは戸建て、集合住宅は言うに及ばず、ケーブルテレビ局などにも関わってくる。

 新タワーの建設地として、どの候補が勝ち残るかにもよるのだが、そのための対策費用に1000億円程度がかかると言われている。NHKや民放キー局各社が、放送局の中では非常に強力な存在であることは間違いないが、デジタル化投資を終え、系列ローカル局対策に頭を痛めている中、それだけの巨額の負担に耐えられるとは考えられない。

 ただ、アンテナ問題について考えるのであれば、逆に、地上波デジタル放送が普及途上にある今こそが、新タワー建設のチャンスであるとも言える。というのも、そもそも現時点で親局から電波を直接受信しているようなところは、VHF波での受信となっているはずだからだ。

 しかし、デジタル放送はUHF波を使うから、いずれにしてもアンテナの取り替えは不可避だ。アナログ放送終了のデッドエンドが2011年7月24日だから、現時点ではアナログからデジタルへの切り替えには7年以上の猶予があることになる。

 新タワーの建設地を早々に決定し、それをアナウンスしておけば、アンテナの問題についても、放送のデジタル化に伴うアンテナの取り替えとセットで、同時に解決してしまうことが可能になる。

 こうした点をカバーしていくことができれば、新タワーの建設にもそれだけの意味合いが出てくるだろう。

 さらに言えば、地上波放送のデジタル化は国策であると言っても、目に見えるわけではない。テレビ放送の新時代をシンボライズするような、象徴的なタワーが建てられること自体にも、相応の意義があると思われる。

西正氏は放送・通信関係のコンサルタント。銀行系シンクタンク・日本総研メディア研究センター所長を経て、潟IフィスNを起業独立。独自の視点から放送・通信業界を鋭く斬りとり、さまざまな媒体で情報発信を行っている。近著に、「どうなる業界再編!放送vs通信vs電力」(日経BP社)、「メディアの黙示録」(角川書店)。

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