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ラップトップだけを対象にする時代は終わった〜Wi-Fi AllianceWIRELESS JAPAN 2004

» 2004年07月22日 06時36分 公開
[ITmedia]

 Wi-Fi Allianceは、7月21日に東京ビッグサイトで開幕した「WIRELESS JAPAN 2004」の会場で認定プログラムの最新ロードマップを公表した。同団体のマネージングディレクターを務めるフランク・ハンズリク氏によると、9月には無線LANのセキュリティを高める「WPA2」、そしてコンシューマー・エレクトロニクス製品向けの「マルチメディア相互接続性認定」(正式な名称は未定)を開始するという。

photo Wi-Fi Alliance、マネージングディレクターのフランク・ハンズリク氏

 WPA2は、6月23日にIEEE(米国電気電子学会)がIEEE 802.11iを正式勧告したことを受けて開始されるもの。IEEE 802.11iを完全にサポートし、米国政府の標準暗号化方式としても認定された強固な暗号化方式「AES(Advanced Encription Standard:高度暗号化規格)」を含む(関連記事)。「AESを使用するWPA2は、高い安全性と拡張性を提供するものだ。消費者は、秋からWPAとWPA2に対応した製品を選択できるようになる」(同氏)。

 また、2003年9月に始まったWPA(Wi-Fi Protected Acces)の認定プログラムでは、Wi-Fi認定製品に対してWPAのサポートが義務づけられたこともあり、既に500以上の認定製品は超えたという。しかしWPAは、もともとWEPの脆弱性に対応するため急遽設けられたという背景があり、位置づけとしてはIEEE 802.11iのサブセットに過ぎない。このため無線LANベンダーはもちろん、顧客となる企業でもフォローアップの意味を含めてWPA2に対する期待が高まっている。

 一方の「マルチメディア相互接続性認定」は、CE(コンシューマー・エレクトロニクス)製品向けの認定プログラムだ。音声や動画のストリーミング配信など、データの連続性を求めるアプリケーションのパケットを優先して伝送するQoSの機能を持つ。

 「現在出荷されているノートPCの半数がWi-Fiを内蔵している。これは素晴らしいことだが、ラップトップだけを対象とする時代は終わった。CE製品に対する(ワイヤレス接続の)需要は高く、2007年度には現在の5倍にあたる1億5000万ドルの市場規模が見込まれている」(同氏)。認定プログラムの開始により、クリスマスシーズンには最初の認定製品が市場に出てくることになるという。

 ただし、マルチメディア相互接続性認定では、IEEEのIEEE 802.11eをすべてカバーするわけではない。802.11eの正式勧告は2005年第1四半期になる見通しのため、当初はWME(Wireless Media Extensions)のみをカバーする計画だ。

 ハンズリク氏は、IEEE 802.11eの正式勧告を待たずに認定プログラムを開始する理由について、「CE製品の無線接続に対する(メーカーの)関心は高く、(802.11eの正式勧告を)待ちたくないという意見が多いため」と説明している。また同時に「IEEE 802.11eが正式に勧告されたあと、フォローアッププログラムを実施すると思う」としており、セキュリティのWPA/WPA2と同様、CE製品向けの認定プログラムでも将来的に複数の仕様が併存する可能性を示唆した。

 このほか、フレームバースティングなどチップメーカー独自の“拡張機能”を含む形で相互接続性を保証する新しい認定プログラムや、日本を含む世界6地域でWi-Fi認定試験機関を増やしたことなどを明らかにしたハンズリク氏。とくに試験機関の増加は「需要に見合うもの」としてWi-Fiの重要性を訴えた。

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