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ホームシアターを始める人のための「スクリーンの“いろは”」劇場がある暮らし――Theater Style (1/3 ページ)

» 2004年08月06日 21時08分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 プロジェクターを使った大画面ホームシアターで欠かせないのが、映像を投写するスクリーン。その種類や生地素材によって映像の見え方や使い勝手が大きく左右されるのだが、意外と軽視される傾向が強い。販売店に聞くと「プロジェクターやサラウンドシステムを先に決めて、残りの予算でスクリーンを選ぶというユーザーが多い。この傾向は初心者だけでなくベテランユーザーでも見られる」という。

 「昔からホームシアターに取り組んでいる(興味を持っている)ので、スクリーンのことなど知っているよ」というユーザーも多いことだろう。だが、プロジェクター方式が以前の3管式中心から近年は液晶/DLPといったマイクロデバイス方式に変化し、短焦点&光学シフト機構による設置自由度の向上、完全遮光の専用シアタールームでなくリビングで楽しむ“カジュアルシアター派”の急増などで、スクリーンの選び方にも変化が表れている。

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 そんな最新スクリーン事情を含めたスクリーンの基礎知識やその正しい選び方について、国内大手スクリーン専業メーカー・キクチ科学研究所の第一営業部SC営業課係長、山下宏司氏に話を聞いた。

スクリーンサイズの“いろは”

 テレビ同様にスクリーンのアスペクト比は4対3のものと16対9のものがある。ホーム“シアター”というぐらいだから、映画館ライクな画角で楽しめる16対9のワイドスクリーンが向いているのではと素人的にも想像つくし、実際の店頭でも16対9が圧倒的に多い。

 「確かに今はそうだが、3〜4年前まではほとんどが4対3のスクリーンだった。プロジェクター側がワイド対応になっていなかったことが大きな理由。3管式はもちろん、液晶プロジェクターなども以前は4対3のアスペクト比のデバイスを使っており、それに合わせてスクリーンも4対3が主流だった」

 DVDが本格普及し、アスペクト比16対9のデバイスを使ったプロジェクターが増えてきた2年前ぐらいから、スクリーンのワイド化も急速に進んだという。

 「当社の場合、現在はスクリーン出荷の9割が16対9になっている。だが今でも、視聴ソフトがアニメやミュージックビデオなどが中心のユーザーや、データプロジェクターを使うユーザーなどは4対3のスクリーンを求める」(山下氏)

 映画館並みの迫力を求めるならスクリーンサイズは大きければ大きいほどいいが、設置場所の限られた一般家庭では60〜120インチが現実的な画面サイズとなる。気をつけなくてはいけないのが、同じインチサイズでもアスペクト比によって横幅が変わること。例えば100インチの横幅は4対3が203.2センチに対して16対9は221.4センチと20センチ近くも違ってくる。実際の売れ筋でも、4対3が主流の時代は100インチが多かったが、最近は80〜90インチワイドがメインになっているという。

インチ別の横幅の違い

16対9(ハイビジョンサイズ) 4対3(NTSCサイズ)
60インチ 132.8センチ 121.9センチ
70インチ 154.9センチ 142.2センチ
80インチ 177.1センチ 162.6センチ
90インチ 199.2センチ 182.9センチ
100インチ 221.4センチ 203.2センチ
110インチ 243.5センチ 223.5センチ
120インチ 265.6センチ 243.8センチ

 「ワイド化とともに、最近は専用のシアタールームではなく、リビングで気軽にホームシアターを楽しむ“カジュアルシアター派”が増えているため、サッと設置できて見終わったらすぐに収納できる小さ目のサイズが人気になっている。また、プロジェクター低価格化によるユーザー層の拡大と短焦点モデルの普及で、(ホーシアターには手狭な)6畳ぐらいのスペースでホームシアターを楽しむユーザーが小さめのサイズを選ぶケースが増えている」(山下氏)

スクリーン種類(タイプ)の“いろは”

 設置条件に合わせて、スクリーンの種類もさまざまなタイプが用意されている。以前は専用シアタールームに固定設置というケースが主流だったため、壁面に直接設置・固定するパネル型や、天井などに固定して使わないときは巻取って収納できる電動・手動(スプリング)ローラー型が多かった。

photo キクチ科学研究所のスプリングローラータイプSRシリーズ
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