コラム
2004/08/23 11:19 更新

小寺信良:
PCの技術で完璧な「専用機」を作る (1/3)

PCは何でもできる魔法の箱。だが、それが弱点であることにも人々は気づき始めている。今後はニッチなニーズを満たすための「専用機化」がPCの目指す一つの方向になるだろう。BeOSを利用して最新の「編集専用機」を作ったメーカーの話から、その理由を探ってみたい。

 PCは、ソフトウェアさえあれば、何でもできる魔法の箱だ。しかし1台でなんでもできるように頑張っていくと、なんでもできるようだが踏み込んだことはなんにもできないという、珍妙なものができあがってしまう。

 初めて買うPCは、あれもこれもと考えて多機能なものを選びがちだ。だが目的がはっきりしているのならば、それ以外の機能は不要だと感じるようになる。先週のコラムでは、出張時の原稿書きにA4のノートPCを買おうか迷っている話を書いたが、いまどきワープロじゃあるまいし、原稿書き専用のノートPCという市場は存在しない。

 なにもかもそぎ落としてしまうと、メーカーのダイレクト販売サイトで売っているような、ビジネス向けBTOモデルの一番安いヤツみたいになってしまう。だがそれは単にすべてが標準以下になるだけで、そういうものともまた微妙に方向性が違う。

 PCで何ができるのか、どこが限度なのか、人々はその範囲に気づき始めている。自分が何をするのか分からないから、とりあえず「全部入りのオールインワン」を買うという時代は終わり、これからはニッチなニーズを満たすためのカスタマイズ、さらにその先には専用機化の道があるのではないかと思っている。今回はその専用機化の道を極端に歩んでいる、あるメーカーのチャレンジをレポートしてみたい。

ビデオ編集の専用機

 エディロールは、電子楽器メーカー「ローランド」の映像・DTMのブランドだ。そもそも楽器はある意味専用機だが、DTVやDTMとなると、汎用PCにボードを入れて云々というのが一般的である。だがエディロールでは、得意の専用機制作とPC技術のノウハウを生かして、ビデオ編集専用のマシンを作っている。

 「DV-7DL PRO」は、8月5日に発売になったばかりの、最新モデルだ。とはいってもエディロールのこのシリーズは、既に5年前から綿々と続いている、長寿ラインナップである。

jn_p1030366.jpg

8月5日に発売された「DV-7DL PRO」

 普通、ビデオ編集システムは、はたから見ればすべて専用機に見える。Avidカノープスなどからは、拡張ボードとソフトウェアを組み込んだターンキーシステムが販売されているが、ベースはWindowsやMacといったマシンであり、別のソフトウェアをインストールすれば、それなりの汎用性は持つ。

 過去にはAmigaに拡張インターフェースを入れて編集機に仕上げたAmilinkというものもあったが、これもソフトを起動しなければ普通のAmigaだ。まあ普通のAmigaってのがあるのかと言われれば、ソコは反論できないのだが。

 だがエディロールのDV-7DLが決定的に違うのは、PCライクなルックスはしているが、汎用性がまったくないところだ。OSはBeOSを採用しており、ソフトウェアは専用の編集ソフトだけしかない。電源を入れれば10秒とかからずに編集ソフトが起動し、マシンの終了も編集ソフトウェアが終了すれば終わり。OS画面に降りるという瞬間が、まったくないのである。というか、OS画面のGUIすらない。

 BeOSの開発元であったBe社は既になく、その資産は2001年にPalm社に売却されたが、その後PalmもPalmSourceとpalmOneに分裂するなどの紆余曲折を経て、結局BeOSの開発状況などもよくわからなくなっている。いくつかのユーザーグループから情報を拾ってみると、現在はBeOSそのものと、その後継のZetaに分かれてそれぞれ存続しているようだ。

 BeOSを採用した経緯を、Roland EDのVIDEO開発担当 取締役の室井 誠氏はこう語る。

      | 1 2 3 | 次のページ

[小寺信良,ITmedia]

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


Special

おすすめPC情報テキスト

モバイルショップ

ノートモデルが続々と新発売
Core i7搭載ハイエンドノートから激安ネットブックまで!

新型Core i5/i3搭載PC発売開始!
HD再生も可能なグラフィックス・コアを備えた最新モデル!

キャリアアップ

ピックアップ

news009.jpg 価格比較:高級コンパクトデジカメ09年秋冬モデル、価格を比較
年末商戦向けに展開されている、各社高級コンパクトデジカメの価格を比較した。注目されるのはあえて高画素化の道を選択しなかったモデルだ。

index.jpg ビデオカメラ特集
デジタルビデオカメラは既に“フルHDは当たり前”となってきた。最新機種のレビューでフルHDに次ぐ、新たな選択肢を探してみよう。

news021.jpg 価格比較:「1万チョイまで」で幸せになるカナル型イヤフォン16選
ポータブルオーディオの最も簡単かつ効果的なチューニングはイヤフォンの変更。最近ではバリエーションも充実しており、ちょっと財布のひもを緩めればシアワセになれる。今回は人気のカナル型を集めてみた。

news022.jpg 価格比較:夏の水辺はコレで撮る――今夏の防水デジカメ徹底チェック(後編)
今年は防水デジカメの当たり年。今シーズンに登場した防水デジカメの仕様と価格を比較する。

news065.jpg 価格比較:高級コンパクトデジカメ、価格を比較
最近ではハイビジョン動画や個人認識、さらには超高速連写など、デジタルであることを前面に押し出した製品も増えているが、“撮ることの楽しさ”を前面に押し出した高級コンパクトデジカメもいちジャンルを築いている。各社製品の価格を比較した。

news097.jpg 価格比較:充実のエントリーデジタル一眼、価格を比較
最新のエントリー向けデジタル一眼は撮像素子も10メガを越えたほか、ライブビューやHD動画機能なども備えており、その充実ぶりは目を見張る。お買い得感の高いダブルズームキットで価格を比較した。

news102.jpg 価格比較:ハイアマ向けミドルクラス一眼、価格を比較
撮像素子はAPS-Cサイズながら、各種装備やスペックを充実させた中級デジタル一眼レフの価格を比較した。エントリー向けに比べやや高価にはなるが、いわゆる写真愛好家を対象とした製品だけに、充実した製品がそろっている。

news063.jpg 価格比較:あこがれを手に入れる、フルサイズ一眼の価格を比較
これまでフルサイズ機といえば、プロ向けの高価な製品しか存在していなかったが、今では少し背伸びをすれば狙える。とはいえまだまだ高価。最新価格のチェックは欠かさずにいたい。

news038.jpg 価格比較:エコポイント活用、ハイエンド機も充実の50V型以上テレビ価格一覧
50V型以上ともなると、各社のハイエンドモデルと録画機能付きテレビのオンパレード。プラズマテレビも選択肢が増え、画質・機能ともに充実した製品が並ぶ。

news098.jpg 価格比較:エコポイント活用、満足度の高い46V/47V型テレビ価格一覧
“価格比較”3回目は、46V型と47V型に注目。液晶テレビではプレミアムモデルの比率が高まり、プラズマテレビも選択肢が増えてくる。画質や機能は欲ばりたいが、出費はなるべく抑えたい――そんな人にぴったりのサイズだ。

news111.jpg 価格比較:エコポイント活用、売れ筋40V/42V型テレビ価格一覧
売れ筋の40V型、42V型の薄型テレビからエコポイント対象製品を取り上げ、実売価格を比較する。エコポイントは2万3000点。

news073.jpg 価格比較:エコポイント活用、最新37V型テレビの価格一覧
前回の40V型/42V型に続き、今回は1まわり小さい37V型を取り上げる。最新注目機種の中から、エコポイント対象製品をピックアップ。

news104.jpg 価格比較:エコポイント活用、録画対応モデルも充実の32V型テレビ価格一覧
リビングルームのメインテレビとして、また書斎や寝室におくパーソナルテレビとしても注目される32V型液晶テレビ。ここ1年ほどで倍速駆動や録画機能を備えた製品が増えているのも特徴だ。今回は各社のエコポイント対応製品16機種をリストアップ。

news092.jpg 価格比較:エコポイント活用、個室にちょうどいい26V型以下の液晶テレビを比較
パーソナルサイズと位置づけられる26V型以下だが、最近は上位モデルの機能を一部取り込む形で個性的な製品が増えている。個室やベッドルームなど、シチュエーションに合わせて検討したい。