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携帯を25%薄くするディスプレイ技術、Samsungが発表

» 2004年08月25日 18時50分 公開
[IDG Japan]
IDG

 韓国のSamsung Electronicsは8月23日、タッチスクリーンパネルとLCD(液晶ディスプレイ)を一体化する新技術を開発したと発表した。この技術は携帯電話用ディスプレイパネルの薄型化、低コスト化につながるとしている。

 現在、スマートフォンやPDAではLCDの上にタッチスクリーンパネルが取り付けられている。Samsungの新技術は、パネル表面に物が触れたときにパネルに入るさまざまな光の量を光センサが測定し、その光が電気信号に変換されて認識される仕組みになっており、2.32インチのタッチスクリーンパネル一体型LCDを製造できる。

 このタッチスクリーン技術を利用すれば、現在より25%程度薄い携帯電話を作れるようになると、広報担当のチョー・サンイン氏は語る。Samsungはこの技術でコストをどれだけ削減できるかは明らかにしていない。

 「この新技術を採用すれば歩留まりが向上する。LCDの上に別のパネルを重ねるのではないため、ちりや気泡の問題が起きないからだ」と同氏。新技術を用いた量産は2005年後半に開始される見込みだ。

 Samsungは携帯電話の軽量化と小型化の追求で成功を収めており、今回発表の技術は同社のハイエンド機に早期に採用される可能性があると、IDCジャパンのシニアアナリスト、木村融人氏は語る。

 「この新しいスクリーン技術は、携帯電話の小型化と軽量化を進めるSamsungの戦略に合致している。だが、実装は少し先になるかもしれない」(同氏)

 またSamsungは23日、LCDモニタ用の17インチおよび21インチLEDバックライトと46インチの縦型LCDパネルを開発したことも発表した。

 同社によると、新型のLEDバックライトはモニタの輝度や彩度、安定性、コンパクト性を大幅に向上させる。21.3インチのLEDバックライトは同サイズのほかのモデルと比べて厚みが半分程度で、17インチバージョンは輝度が最大500カンデラ/平方メートル(ニット)と平均250ニットのほかのモデルよりも格段に優れている。彩度はほぼ92%で、色の表示が自然な色に極めて近いと同社は説明している。

 先週にはソニーがLEDバックライトを搭載した46型液晶TV「QUALIA 005」を東京で発表している(8月19日の記事参照)。民生用薄型TVへのLEDバックライトの搭載は世界初という。ソニーもSamsungと同様に、LEDバックライトを採用したTVはより本物に近い豊かな色合いの高画質を実現するとしている。

 チョー氏によると、SamsungもLED技術のTVへの応用を検討中だ。

 Samsungはまた、2.6インチVGA(300ピクセル/インチ)のアモルファスシリコンLCDも発表した。このLCDにより、モバイル製品のユーザーはノートPC画面と同等の解像度の恩恵を受けられるという。

 一連の技術は韓国の大邱で8月23日から27日まで開催のInternational Display Research Conference(Asia Display 2004)と第4回International Meeting on Information Display(IMID 2004)で初披露された。

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