ジュピターテレコム(J-COM)は9月9日、VoD(ビデオ・オン・デマンド)サービスの説明会とデモンストレーションを実施した。同社は、8月にJ-COM東京エリア(練馬)に住む約500人のモニターに対して商用トライアルを開始。VoDサーバのパフォーマンスやサービスのユーザビリティを検証している。
ユーザーのリクエストに応じて映画などのコンテンツを送信するVoDは、デジタルCATVの双方向機能を生かす有望なアプリケーションの1つとして期待されている。とくにJ-COMは、コンテンツディストリビューターとなる新会社ジュピターVODを設立済み。地上放送のデジタル化を機にデジタルCATVのユーザーを拡大し、そのベースの上にPPV(ペイ・パー・ビュー)やVoDを提供する戦略だ。
VoDトライアルでは、練馬区にある放送センターからCATVの64QAM方式を使ってコンテンツを送出している。割り当て帯域は、テレビの2chにあたる2Slot(6MHz幅、30Mbps×2)。同時に接続できるユーザーの数を示す「同時接続率」は10%だ。
10%というと少ないように思えるが、掛水氏によると十分に余裕のある数字だという。「VoDを利用するのはデジタル放送契約者に限られる。実際、米国では5〜6%が平均で、多くても7%ほど。8月に開始したトライアルの状況を見ても、十分に余裕があった」(J-COM事業開発部の掛水保典アシスタントマネージャー)。
コンテンツの解像度はD1。伝送時は約3.6MbpsのMPEG-2 TS(Transport Stream)となる。気になるのは画質だが、「DVD画質とまでは言えないが、CSデジタル放送より綺麗だと思う」。なお、同社ではHD画質のVoDも予定しており、10月からNHK提供の一部コンテンツから適用していく方針だ。
用意した番組は、映画、音楽、スポーツ、TVドラマ、アダルトなど全10ジャンル。3カ月のトライアル期間中に約1500タイトルを揃えるという。視聴料金は1番組あたり200〜500円。また、SVOD(Subscription Video On Demand)の各種パックも設定しており、購入するとそのパックに含まれるコンテンツを1カ月間“見放題”になる。こちらは1カ月で880〜2400円だ。
ユーザーは、リモコンの「番組ナビ」からVoDメニューに入る。画面はジャンル別に整理されており、「上下左右」と「決定」キーで選択。課金処理の後、コンテンツが再生されるという手順だ。
映画などのコンテンツは、課金終了後から48時間の間、何度でも視聴できる(アダルトは10時間)。再生中はリモコン操作により、早送り、巻き戻し、一時停止などのトリックプレイも可能。また、後で続きを見たいといったケースにも対応できるよう、コンテンツごとに停止場所を記憶しておくレジューム機能を用意した。
なお、VoDコンテンツは“コピーネバー”に設定されているため、録画することはできない。デジタル録画機と接続するi.LINK端子からは映像信号が出力されず、またアナログ出力にはマクロビジョンによるコピーガードがかかる仕組みだ。「PPVのときは視聴時間に制約があるため、利便性を考えてコピーワンスとしたが、VoDは時間に縛られることがない。また、コンテンツホルダーの使用許諾を得るためにも(コピーネバーが)必要だった」(同氏)。
J-COMでは、2005年の年初からVoDの本格展開を始め、関東エリアを皮切りに、関西、九州などへもサービスを拡大する方針だ。既にデジタル放送用のSTBは約10万台を導入しており、これがすべて潜在的な顧客になるとしている。「導入済みのSTBもソフトウェアアップデートにより対応可能だ。また、ケーブルモデム内蔵のSTBも順次導入を検討していく」(同氏)。
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