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これってロビタ?――富士通が考えるサービスロボット(1/2 ページ)

» 2004年09月13日 17時56分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 2002年〜2003年初頭、アトムの誕生日(2003年4月7日)に向けてさまざまなロボットがメディアを賑わした。富士通研究所の2足歩行ロボット「HOAP-1」「同2」「MARON-1」なども、このようなロボットたちの1台だ。

 その富士通研究所が9月13日、業務端末やメカトロ機器を手がける富士通フロンテックと共同で自律型のサービスロボットを開発したと発表した(別記事を参照)。このサービスロボットは来年6月をめどに富士通フロンテックが商品化し、1台200万円という自律型ロボットとしては破格の値段で量産されるという。

photo 富士通研究所が開発した1台200万円の自律型サービスロボット

 富士通の考えるサービスロボットは「オフィスや商業施設などで作業支援ができる“実用的”なロボット」。このコンセプトのもとに開発された今回のサービスロボットは、人と共存して作業を行うためのさまざまな機能・機構が備わっている。

これってロビタ?

 まず外観は、身長130センチで体重は63キロ。幅が64.4センチで奥行き56.6センチというズン胴スタイルに、頭と2本の手がついている。

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 可動部の自由度は、頭部:2、腕部:4、手部:1、移動部:2と以外に少ない。HOAP-1/2では2足歩行を実現しているが、サービスロボットは現時点でもっとも安定した移動手段である車輪走行を採用。ただし車輪の左右独立運動によって、前進/後退だけでなくその場での回転や坂道、段差などにも柔軟に対応するという。移動速度は歩行より少し遅い程度の時速3キロというスピードだ。

photo サービスロボットのスピードは歩行より少し遅い程度。動画はこちらをクリック

 いかにもロボット然としたそのスタイルと歩く(?)姿は、手塚治虫作「火の鳥」の復活編などに出てくるサービスロボット「ロビタ」を連想させる。ズン胴スタイルやハサミのようなアーム、腰から下の円筒形部分ですべるように移動するところなど、ロビタそっくりだ。

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 頭部は左右に回転(±225度パン)、上下に90度(-20〜+70度チルト)可動し、画像計測用カメラを計8個内蔵。このカメラがサービスロボットの目となり、走行中の特徴点抽出とステレオ計測をもとに3次元画像処理を行う。新規開発したこの3次元視覚処理システムと、移動部に装備した近接距離センサー(×2)/超音波センサー(×2)によって、自己位置特定、障害物計測、モノやボタンの認識&位置計測などを正確に行い、自律走行やさまざまな動作が行えるという仕組みだ。

photo ロビタもといサービスロボットの頭部

 3次元視覚処理システムをリアルタイムで行うために専用の3次元画像処理LSIボードとDSPボードを開発。200点の特徴抽出には90ミリ秒、ステレオ計測には41ミリ秒という高速処理を可能とした。

 「新規開発した3次元視覚処理システムのプロセッサは、2.4GHzのPentium 4より3倍以上の処理能力を持ちながら消費電力は5/1以下という省エネ設計」(富士通研究所)

 胸の部分にはタッチパネル式のTFT液晶ディスプレイを搭載。OSにはWindows XP embeded(CPU側)を採用し、グラフィカルなインタフェースで各種設定が行えるようになっている。

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