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ソフトバンクとコーエーが開発する「真・三國無双BB」そのポイント

» 2004年09月13日 22時05分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 コーエーとソフトバンクBB、ビー・ビー・サーブの3社は9月13日、「真・三國無双」のオンラインゲーム版「真・三國無双BB(仮称)」の企画開発および販売で提携すると発表した。9月から開発を開始しており、2006年春のサービス開始を目指す。

Photo 左から、コーエーの小松清志社長、ソフトバンク・グループの孫正義社長、コーエーの襟川恵子会長、ビー・ビー・サーブの孫泰蔵社長。襟川会長はソフト流通の頃からソフトバンクとつきあっており、孫正義氏を「孫ちゃん」と呼ぶ

 ビー・ビー・サーブが開発に投資し、コーエーが企画開発を担当する。完成したオンラインゲームはYahoo!BB会員限定で、独占提供される予定だ。

「MMOアクションゲーム」としての挑戦

 真・三國無双BBのポイントは2つある。1つは、業界としては珍しい大規模な「MMOアクションゲーム」(Massively Multiplayer Online)だということだ。

 孫社長は、これはYahoo!BBの独占サービスだから実現できたことだと強調する。「MMORPGでは、ゲーム内で(操作性の)スピードが問われない。しかしアクションゲームでは、クリックに応じて刀を切り下ろすなどの“瞬間的要素”が必要になる。(ユーザーの操作が画面で反映されるまでの)ディレイは、技術的には50ミリ秒以内が要求された」

 仮にナローバンドユーザーが混じっていたり、雑多なISPが混じるようなネットワーク環境では、150ミリ秒ほどのディレイが発生するのが常だと孫氏は話す。Yahoo!BBのネットワークだからこそ、ゲームの醍醐味が損なわれないのだとした。

Photo ゲームの開発は始まったばかりだが、会場では、いくつかイメージショットが披露された。多くのプレイヤーが入り乱れて戦闘を行うという
Photo プレイヤーは、能力タイプなどを選択して自分だけのキャラクターを作成する。その後、三国志の有名武将が率いる軍団の配下になるという流れ。クエストを実行するなどして、出世を図るという

 2つ目のポイントは、ゲームの開発スキームが特徴的なこと。コーエーとビー・ビー・サーブ、ソフトバンクBBの3社が密接に絡む。

 開発の順序をたどると、まずビー・ビー・サーブがコーエーに開発支援を行い、それを受けてコーエー側が企画、開発を行う。金額は明かされなかったが、「一般に(このクラスのゲームの)開発額は10億円前後。これに、インフラ面の整備が必要となる」(コーエーの小松社長)という。なお、ビー・ビー・サーブも完全に任せきりにせず、企画開発に参加する。

 完成したゲームはDVDゲームとして非オンラインでも遊べるが、オンラインゲーム版はYahoo!BBの独占サービスとなる。これにより、ソフトバンク側は「ゲームをやりたいためにYahoo!BBに乗り換えるユーザーが増える」といった効果が期待できる。

 収益は、ビー・ビー・サーブが回収する。これをコーエーに分配するかたち。コーエーの襟川会長は、初年度の売上見込みを「40億円」とした。

ソフトバンクのゲーム戦略に変化?

 ソフトバンクは会員獲得のため、オンラインゲームを充実させて「ゲームをやるならYahoo!BB」という流れを作りたい考え。2003年7月にはオンラインゲームポータル「BB Games」を大々的に立ち上げ、これとYahoo!BBを連動させることで自社会員向けメリットを打ち出している(2003年7月25日の記事参照)

 しかし、現時点でBB Gamesで扱われているタイトルは6本にすぎず、サイトの情報量もオープン当初に比べ随分と少なくなってしまった。BB Gamesでソフトバンク・グループが描いた未来は、いまひとつ実現されなかったようにも見える。

 だが今回、新たなスキームが示された。大作ゲームの開発にスタート時点から携わり、それを会員専用ゲームにしてしまうという手法は、「大きな取り組みがついに結実した」(孫泰蔵氏)とビー・ビー・サーブ側が胸を張るもの。初期投資額が大きいだけにハイリスクだが、その分ハイターンが期待できる。

 孫泰蔵氏は、従来のBB Games自体も、決して事業を縮小したわけではないと話す。

 「年末に向けて新たな戦略を考えており、今はそこに向けた過渡期。期待してほしい」。7月にソフトバンク パブリッシングから譲渡されたオンラインゲームポータル「4Gamer.net」とBB Gamesを連携させつつ、発展的な取り組みを行うとした。

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