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シャープ、5インチTFT搭載の電子辞書。TV出力にも対応

» 2004年09月15日 16時32分 公開
[ITmedia]

 シャープは業界で初めて5インチのカラーTFT液晶を搭載した高機能電子辞書「PW−C8000」を発表した。9月27日発売で、価格はオープン。同社では実売予想価格を「5万円前後」と話している。

大型のTFTカラー液晶搭載で画像も鮮やかな「PW-C8000」

 電子辞書は対前年比20%程度で市場が拡大している隠れたヒット商品。このうち、カラー液晶を搭載した製品をリリースしているのは、現時点でシャープのみで、さまざまな辞書を搭載したタイプの製品のうち、5%程度がカラー液晶製品だという。ただ、その同社がこれまで出していたのはSTNカラー液晶で、TFT液晶を採用するのはこれが初めてになる。

 「(液晶に強い)当社としては、やはりカラー液晶を採用していくことになる。今回の製品発売をきっかけとして、現在のカラー液晶搭載電子辞書の市場をさらに拡大させていきたい」(同社)

 TFT液晶を搭載したことで、百科事典など搭載したコンテンツの画像を鮮やかに表示できるようになった。コンテンツの中には、実際の手順を写真やイラストで説明するスライドショウや“パラパラアニメ”などの機能を持つものもあり、これらも鮮明に表示できる。また、「PW−C8000」はSDカードスロットを持っており、SDカードに保存したJPEG画像や、電子ブック(シャープ独自のXMDFフォーマットに対応)もカラーで楽しめる。

 液晶の解像度は320×240ピクセルで、文字表示は48ドット(6文字×4行)、24ドット(13文字×8行)、16ドット(20文字×13行)、12ドット(26文字×17行)、9ドット(32文字×18行)の5段階から選択できる。

 「電子辞書に電子ブックビューワや電子絵本の機能を持たせることで、電子辞書の使い方を広げていきたい。将来的にはネット新聞など、さまざまな可能性があると考えている」

 「PW−C8000」のもう一つの特徴は、映像出力端子と音声出力端子を持ち、TVに画像を表示できるようになったことだ。携帯性が特徴の電子辞書だが、「実際にはお茶の間に置いてあるケースも多い。スタンドアロンだった電子辞書がTV出力できることで、みんなで見ることができるようになり、新しい使い方ができるようになった」。

シャープの電子辞書の開発の道のり。今回の8000は「知る」「見る」「聞く」「拡がる」がキーワードになっている。今後は脱スタンドアロンをさらに進め、電子辞書の用途をさらに広げていく方針という
PW-C8000とAQUOSをつなぎ、電子辞書の内容をAQUOSに表示させたところ

 また、本体にはステレオスピーカーを採用。音声出力に対応した搭載コンテンツ「TOEICテスト 英単語・熟語マスタリー2000」を利用すれば、クリアな音声でTOEICのリスニング学習もできる。

 コンテンツは「スーパー大辞林」や「ジーニアス英和/和英」などの定番のほか、「ブリタニカ国際大百科事典 Quick Search Version」「血液サラサラ健康事典」「花作り花育てQ&A」などを新たに収録している。合計71コンテンツは業界最多で、「搭載コンテンツを書籍として買うと約24万円、重量にして47.3キロになる」

キーボード部。「ブリタニカ」や「花作り花育てQ&A」を一発で呼び出すボタンも備えている。手前の左右にあるのがステレオスピーカー

 バッテリー持続時間は約20時間(カード非装着、常温25度で1分検索、10分表示を繰り返した時。表示の明るさは初期設定で、表示状態になってから30秒後に表示が暗くなる場合)。これは従来のカラー液晶搭載機種「PW-C6000」の約2倍だ。同社によれば、これは低消費電力のTFT液晶を搭載したことと、大容量のリチウムイオン二次電池を採用したためだという。重量は304グラムで、サイズは開いたとき147.2×111.5×17.1ミリ(最薄部)、閉じたとき147.2×111.5×21.6ミリ。

初期設定の明るい表示の状態。画像だけでなく文字も読みやすかった。消費電力は3.8ワット

 なお、同社では2004年の電子辞書市場を約330万台(金額ベースで560億円)と見ており、今後2-3年はさまざまな辞書を搭載した“丸ごと辞書”タイプ(2004年度は210万台、500億円)を中心に20%のペースで市場が拡大していくと見ている。このうち同社の市場シェアは35%程度(同社推定)だという。

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