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「ディスプレイ革命」は日本主導で乗り切れ――JEITA安藤会長

» 2004年09月22日 19時53分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「年末商戦もデジタル家電は好調」――9月22日、電子情報技術産業協会(JEITA)会長の安藤国威ソニー社長は楽観的な見通しを示した。

安藤会長

 今年上半期の電子産業の国内生産は、前年同期比8.7%増の10兆1700億円と、年間見通しの6.5%増を上回った。景気回復やオリンピック効果で薄型TVやDVDレコーダー販売が好調に推移、周辺の半導体や電子デバイスも2桁成長を記録したのが好調の主因だ。

 下半期は、オリンピックの反動でデジタル家電の販売減速を心配する向きもある。しかし安藤会長は「年末こそTVの商戦期。消費電力やデザイン、サイズなどで差別化した新しい商品展開が期待できる。今年のCEATECではTVをホームエンターテインメントの中心に据えた新しいライフスタイル提案もあり、消費を刺激するだろう」と、下半期以降も薄型TVを中心としたデジタル家電需要が続くとの見通しを示した。

 デジタル家電販売に加え、設備投資も堅調で、業界全体でも中長期的な成長が期待できるとした。

韓国勢とどう戦うか

 デジタル家電分野では、韓国Samsungや韓国LG Electronicsなど韓国勢の活躍が目立つ。しかし安藤会長は「韓国勢はデバイス分野では高収益を上げているが、デジタル家電分野ではそれほどでもない。例えばSamsungのマルチメディア事業の利益率は高くなく、大変な状況だと聞いている」とし、国内メーカーは付加価値を高めて低価格品と差別化することで競争力を維持できるとの考えを示した。

 「薄型TVは日本が開発した大型商品。開花する時になって他国にシェアを奪われるという、DRAMの時と同じ過ちを繰り返してはならない」(安藤会長)。

 薄型TVを安定成長させることができれば、CRTからFPDへ移行する「ディスプレイ革命」を日本主導で乗り切ることができ、2010年まで国内メーカーが世界のデジタル家電市場を引っ張ることができると見る。

 「FPDはCRTと違い、携帯端末向け超小型から100インチ超の大型まで用途によって使い分けられる。有機ELやSEDなど新技術も積極的に開発している国内メーカーが主導権をキープしたい」(安藤会長)。

次世代光ディスク規格争いの行方は?

 また、次世代光ディスク規格がBlu-rayとHD DVDに分裂していることについては、「どちらが標準になるかは、ROMコンテンツを提供するハリウッドの影響力が大きいだろう。Blu-ray陣営のソニーはハリウッドに拠点があり、コンテンツ会社も買ったと聞いているし、HD DVD陣営もハリウッドに近づいていると聞く」とし、当面は競争が続くとの見方を示した。

中国と模倣品対策会議も

 今後は、中国との関係強化を重視。JEITAは9月3日に北京事務所を設立して中国との関係強化を図っている。11月には中国電子商会(CECC)と模倣品問題や知的財産権について、民間団体同士で初めて話し合う予定だという。

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