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バッファローの“かんたんリモートアクセス”がさらに進化

» 2004年09月28日 19時55分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 バッファローは9月28日、ブロードバンドルータ「AirStation」のリモートアクセスモデルに新製品を追加した。VPN接続時のインタフェースをわかりやすく変更し、遠隔操作でパソコンを起動できる「Wake on LAN」をサポート。また、有害サイトへのアクセスを遮断できる「BUFFALOコンテンツフィルタ」機能を国産ルータとして初めて搭載した。

photo WZR-RS-G54HP。4つの有線ポートとIEEE 802.11b/g準拠の無線LANアクセスポイント機能を持つブロードバンドルータ。簡単にVPNを構築できる「リモートアクセスモデル」だ。PPTP接続時の実効スループットは約15Mbpsという
製品名 概要 価格 発売日
WZR-RS-G54HP 単品モデル 2万7000円 10月下旬
WZR-RS-G54HP/P カードセットモデル 2万9500円 10月下旬

 バッファローのリモートアクセスモデルは、同社が提供する「バッファロー・ダイナミックDNSサービス」(年額3780円)を用いて簡単にVPNを構築できるブロードバンドルータだ(関連記事)。ポート変換の設定や固定IPアドレスが不要で、煩雑な設定を行わずに利用できるのが特徴。「VPNは誰でも構築できるものだが、設定が複雑で、辿り着くまでの壁が高い。それをクリアしても、セキュリティという課題が残る」(バッファロー、ブロードバンドソリューションズ事業部、マーケティンググループリーターの石丸正弥氏)。

 今回のアップデートでは、まずVPN接続時にクライアントPCのWebブラウザを立ち上げると出てくる「ネットワークサービスメニュー」をリニューアルした。ブラウザの画面にはAirStationに接続されたネットワーク機器が一覧表示され、クリックするだけで使えるようになる。もちろん、「Remote Desktop」などを利用して自宅のパソコンを遠隔操作すれば、各種ファイルの操作やTVキャプチャーボードと連携した録画予約なども実行できる。

photo 「ネットワークサービスメニュー」。パソコンはもちろん、NAS、Windowsファイル共有、Webカメラなどルータに接続した機器をアイコン表示。機器名をそのまま表示する仕様のため、Webカメラには「リビングルーム」など場所を示す名称を付けておくと便利だ

 しかし、パソコンをリモート操作する場合は電源を常に入れておく必要があり、この点に抵抗を感じるユーザーも多いという。「電気代の心配にくわえ、家族が自分のパソコンを勝手に使うかもしれないといった恐れがある」(石丸氏)。このためWake on LANへの対応を求める声も多かった。

 Wake on LAN機能を搭載したことで、「クライアントPCからワンクリックするだけでPCを起動できるようになった。使用後は、Remote Desktopやスタンバイ機能を使って電源をオフにすればいい」。なお、Wake on LANを利用するには、自宅のパソコンが同機能をサポートしている必要があるが、ここ数年の製品であれば問題はない。

 なお、製品発表会では同社が「WLE-CAM」(仮)という名称のネットワークカメラを開発中であることも明らかにされた。WLE-CAMは、パン・ティルトに対応したマイク内蔵型のカメラで、VGAサイズで最大30fpsの撮像性能を持つ。12月以降に発売する計画だが、価格などの詳細は未定だという。

photo 「WLE-CAM」(仮)の画面。パン・ティルトに対応

新たにコンテンツフィルタも搭載

 もう一つの目玉となる機能が「BUFFALOコンテンツフィルタ」だ。パソコン教育の広がりとともに子ども達がインターネットを利用する機会も増えたが、一方で有害サイトへのアクセスが両親の悩みの種となっている。たとえば、hi-hoが“子どもを持つ家庭”570世帯を対象に実施した調査結果では、85%の親が「悪質な情報に接触する機会が増えること」を懸念しているという。

 有害サイトを遮断する仕組みには、ISPが提供するフィルタリングサービスやパソコンにインストールするファイルタリングソフトがあるが、ルータに同様の機能が採用されたのは国内初。パソコン側にソフトをインストールする必要がないため、プラットフォームに依存せず、また管理者(両親など)は制限なしでインターネットを利用できる。

 「インターネット経由で米CERBERIANの提供するデータベースと連携し、LAN内からのサイトアクセスを監視する。設定は、暴力、アダルトなど53個のカテゴリから、任意のものにチェックをいれていくだけ。履歴をレポートする機能もある」。

 なお、BUFFALOコンテンツフィルタを利用するには、対応ルータにくわえてサービス契約が必要だ。価格は、履歴レポート付きのサービス「BCF-001」が年額4800円(継続時には3800円)、レポートなしの「BCF-002」が年額3000円(継続時には2000円)となっている。

無線LANの出力もアップ

 WZR-RS-G54HPでは、無線LANの電波強度を高め、伝送距離の拡大を図ったのも特徴だ。これは、“HighPowerモデル”と呼ばれる「WZR-HP-G54」で初めて採用されたもので、一般的な無線ルータの出力が30mW程度なのに対し、100mWまで増強した。石丸氏は「一戸建てや広いマンションを1台のアクセスポイントでカバーしたいというニーズに応えた。同時に20Mbps以上の高速通信が可能なエリアを従来の約1.7倍にまで拡大しており、大容量のマルチメディアデータなどの伝送も快適だ」として、デジタル家電による高品質な動画伝送を念頭に置いたものであることを示した。

 このほかのルータとしての基本性能は「WHR2-G54V」を踏襲している。有線部のスループットは実効約94Mbps。ステートフルパケットインスペクション(SPI)対応のパケットフィルタリング機能や不正アクセス防止機能などを備え、本体には「AOSS」専用ボタンも装備。セキュリティ設定と接続手順を簡便化する。また、近隣のアクセスポイントとの干渉を防ぐ「Autoチャンネル設定機能」なども搭載し、無線LANの使い勝手を向上させている。

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