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誰にでも使える高性能レコーダー、松下「DMR-E500H」レビュー(2/3 ページ)

» 2004年09月29日 16時02分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 メニュー構成など、基本操作に関わる部分は、2004年春モデルの「DMR-E85H/E95H」(レビューの前編後編はこちら)からほとんど変化なし。基本的には、ネットワーク設定やMPEG4録画など、「DMR-E500H」の新機能に関する部分が追加されているだけだ。目的別に分かれたメニュー構成はわかりやすく、操作性は悪くない。

 “変わらない”という点で一つ気になったのは、やはり番組ごとに再生停止位置を憶えていないところ。たとえば、番組Aを途中まで見て、ほかの番組を再生せずに再び番組Aを再生すると続きから再生してくれるのだが、番組Aを途中まで見て、番組Bを見てから再び番組Aに戻ると最初から再生されてしまう。家族で使っている場合はよくあることであり、改良してほしい部分だ。

 編集機能にも、とくに変化はない。部分カットや分割機能は備えているため、CMカットや、DVDメディアに収まらない部分を切り分けることは可能。テレビ録画した番組の編集機能としては十分だろう。

 リモコンのジョグダイヤル/シャトルリングは、編集作業時にも当然有効で、可変速再生が容易なシャトルリングで大まかな位置をつかみ、クリック感のあるジョグダイヤルでコマ送り(クリック感1つで1フレームとわかりやすい)して細かく位置を設定できる。なかなか便利だ。

 「G-Guide」の表示は3局4時間ずつ。新聞のテレビ欄のような一覧表示が可能だ。ただし、スポーツ番組延長対応は果たしておらず、登場時期と製品の位置付けを考えると疑問が残る。約1カ月遅れで投入される「DMR-E220H/E330H」には盛り込まれているだけに残念な部分だ。

高速化とともに“静音モード”を備えたダビング機能

 今秋のDIGA新モデルでは、「DMR-E250V」を除いて共通のスペックとなったDVD-R最大8倍速、DVD-RAM最大5倍速書き込みドライブ。DVD-Rの最大8倍速は既にパイオニアが採用(三菱の楽レコもドライブは8倍速だが、実書き込み速度は6倍速)しているが、DVD-RAMの5倍速書き込みは初となる。

 今年4月からデジタル放送が全面的にコピーワンスに移行し、コピーワンス番組を記録できるDVD-RAMやDVD-RWの需要は高まりつつある。新ドライブの搭載により、DVD-RAMをほぼ一杯に高速ダビングしても約12分で済む点は大きな魅力だろう。今回は、Panasonicブランドの2〜5速倍書き込み対応DVD-RAMメディアで検証してみたが、メディア一杯に書き込んでも実測11分58秒とほぼカタログスペック通りの結果が出た。

 おもしろいのは、高速ダビング時に「最高速モード」「静音モード」の2つが選べるようになったことだ。実際に確認してみたところ、8倍速対応のDVD-Rメディアを利用した場合、「最高速モード」では最大8倍速、「静音モード」では4倍速の書き込みを行うようだ。静かにダヒングしたいという用途以外に、8倍速メディアだが書き込み品質が不安なので、あえて4倍速でダビングしたい、といった使い方もできるだろう。

photo ダビングの操作性は従来モデルと変わっていない。一覧から複数まとめて選択し、後で順番を入れ替えることも可能だ
photo 高速ダビングの場合、ダビング開始直前に「最高速モード」「静音モード」の選択ができる。

 DVD-Rの書き込み速度は最大8倍速だが、実測ではメディアほぼ一杯の書き込みで10分以上を要し、カタログに書かれた「最大64倍速ダビング」(EP8時間モードでの録画番組ダビング時)には達しない。これは、DVDドライブがWOPC(Walking OPC)を採用した同社の「LF-M721」をベースにしているからだろう。WOPCでは、一定のブロックごとに書き込みを中断し、直前の書き込み品質を確認してレーザーパワーの調整を行う。このため信頼性は向上するものの、所要時間も長くなるという傾向がある。つまり、実質的にDVD-Rは最高48倍速ダビングなのだ。

メディア 書き込みモード 書き込み時間 ファイナライズ時間
太陽誘電 最高速 0:10:43 0:01:50
太陽誘電 静音 0:15:00 0:01:47
SmartBuy 最高速 0:11:55 0:01:48
SmartBuy 静音 0:14:56 0:01:50

 書き込み品質の検証は、多くのDVDレコーダーで推奨メディアとなっている「That's」ブランド(太陽誘電製)の8倍速対応DVD-Rと、比較的入手が楽な激安の8倍速DVD-Rメディア「SmartBuy」ブランド(台湾Prodisc製)を用いた。計測用ドライブにはNutec「DDW082」を用いている。あくまでお手軽な計測環境なので業務用機材での計測結果との比較は避けていただきたいが、今回は「最高速モード」「静音モード」の両方でダビングを行ってみた。

 That'sブランドのメディアでは「最高速モード」「静音モード」で大きな差は見られなず、どちらでも優秀な書き込み品質といえる。外周部でエラーレートが高まるような傾向もなく、DVDドライブの書き込み性能は悪くないといえるだろう。

photo That'sブランドの8倍速対応DVD-Rメディア。「最高速モード」(最大8倍速書き込み)ではPIFが対象気になるが、PIエラーは最大でも22と優秀(クリックで拡大)
photo 「静音モード」(4倍速書き込み)はわずかにPIエラーが高めだがこちらはPIFが少ない。どちらの書き込みモードでも十分に優秀な品質だ

 SmartBuyブランドメディアでは、「最高速モード」で外周部のエラーレートが非常に高くなっており、少々不安の残る結果になった。ただし、DMR-E500H自身では問題なく再生可能で、筆者宅の複数のDVDドライブでも問題なく最外周部の読み出しまで行えた。対して、「静音モード」では全体にエラーレートが低く、こちらは書き込み品質としてはほぼ不安のない結果。やはり静音モードはメディア側の品質が気になる場合に強制的に4倍速で書き込む機能としても使えそうだ。

photo こちらは激安DVD-Rメディア定番ブランドの1つであるSmartBuyブランド。「最高速モード」は少々不安の残るエラーレート
photo 「静音モード」のエラーレートは十分許容範囲だ

ゴーストリダクションで変化する画質

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