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最大100画面を継ぎ目なく――三菱、高精細/高臨場感の大型映像表示技術を開発

» 2004年09月30日 22時33分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 三菱電機は9月30日、高精細で高い臨場感を得られる大型映像表示技術を開発したと発表。同社情報技術総合研究所で試作システムのデモンストレーションを行った。

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 今回、新たに開発したのは、最大100画面まの大型表示装置用に複数コンテンツを同時制御できる「スケーラブルコンテンツ表示システム」と、複数のプロジェクターから投影された映像を高精細な1枚の映像として構成するマルチプロジェクション表示向け「高速シームレス調整技術」。

 スケーラブルコンテンツ表示システムは、LCD単画面からオーロラビジョン、マルチ大画面まで同一ソフトで対応可能。従来のマルチモニタでは画面数に応じて生じる性能劣化は、PCクラスタによる分散レンダリング技術で対応し、最大100画面までのマルチ表示が行えるという。

 「複数のビデオ/静止画/テロップなどの解像度・アスペクト比・画像位置などを自由にレイアウトできるほか、表示更新間隔を正確に制御(映像は1フレーム1/30秒、動きのあるコンテンツは同1/60秒)することで場面転換やテロップといった演出をテレビ放送並みに円滑表示できる」(同社)

photo 複数のビデオ/静止画/テロップなどの解像度・アスペクト比・画像位置を自由にレイアウトできる
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 もう1つの大型映像表示技術「高速シームレス調整技術」は、高精細なマルチ大画面システムを低コストに実現するためのもの。

 複数のプロジェクター画面を合成してシームレスで精細な映像を作り出すためには、画面間の位置や明るさの違いを高い精度で調整する必要がある。同社は2003年に、独自の汎用電子カメラで測定する自動位置調整技術を応用した4画面構成のシームレスマルチプロジェクターを開発しているが、画面数が増えた場合の調整が難しい点やシームレス補正対応機能を持つ専用プロジェクターが必要だった。

photo 複数プロジェクター画面を合成するには、画面間の位置や明るさの違いを高精度に調整する必要がある
photo 調整後の映像。シームレスな1枚画面になっている

 今回の新技術は、つなぎ目の自動補正が市販のデジタルカメラ/PCや汎用プロジェクターを使ってできるのが特徴。「ソフトウェア処理によって、専用機を使わずに高精細な大画面を効率的に構成できる。市販のデジカメやPCで調整するのでシステム構築も安価で済む。汎用プロジェクターを使うので保守も容易」(同社)

photo 市販のデジタルカメラやPCを使用し、幾何学補正で「ズレ」を、重ね合わせ補正で「明るさ」をそれぞれ調整する。
photo プロジェクターも汎用品でOK。設置もラフにできるのも本システムの特徴

 今回発表された大型映像表示技術は、2004年度末までに商品化を行う予定。同社の大型表示システム「オーロラビジョン」などへの展開も検討しているという。なお、10月5日から幕張メッセで開幕する「CEATEC JAPAN 2004」で、5.6(幅)×1.5(高さ)メートルの大型スクリーンを用いて新開発の大型映像表示技術プレゼンテーションを行う予定。

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