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もう、すぐそばにある家電ネットワークCEATEC JAPAN 2004(1/2 ページ)

» 2004年10月09日 01時20分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 もともと通信機器系の「COM JAPAN」と家電系の「エレクトロニクスショー」が合併して始まった展示会だけに、「CEATEC JAPAN 2004」はネットワーク家電の普及を目指す各社にとって、その技術力を披露する格好の場となっている。とくに、にわかに身近な存在となってきた「ホームネットワーク」分野では、「International CES」と並んで世界最大&最先端を走る展示会だ。

 ホームネットワークは、主に白物家電を対象とする「制御系」と映像伝送などを含む「AV系」の2つに分かれる。CEATECにおけるAV系のトピックとしてはDLNAの相互接続検証(関連記事1関連記事2を参照)が挙げられるが、白物家電の制御系でも、いくつかの興味深い展示や発表があった。

東芝のIT照明

 東芝が参考出展した「IT照明」と「IT照明スイッチ」はユニークだ。スイッチの黒い部分に手を近づけるとオン・オフが切り替わる仕組みもさることながら、Bluetoothを使ってリモート操作できる。

photo 東芝の「IT照明」。壁に張り付いているが、もちろん天井にも取り付けOK

 Bluetoothというと伝送距離が足りないイメージもあるが、同社が採用したクラス1と呼ばれる仕様は約100メートルをカバーできる。もちろん、エコーネットに対応しており、6月にリリースした新型の“ITホームゲートウェイ”「BTR-2004A」や、Bluetoothアダプタを取り付けたエアコンを含め、FEMINITYシリーズとの連携が可能だ。操作は携帯電話か、デジタルTVで行う。

photo IT照明スイッチ。黒い部分に手をかざすとスイッチが切り替わる
photo デジタルTVを使って家電を操作。この画面は、実は東芝のネットワークサービス「FEMINITYクラブ」が提供するWeb画面。インターネットを介して表示している

 「以前のFEMITYシリーズは、専用のホーム端末しか操作できなかったが、新型ゲートウェイをリリースしたときにASPサービスを機能アップして携帯電話やパソコン、デジタルテレビなどでも対応機器を扱えるようにした」(東芝コンシューマーマーケティング、家電事業部HAクリエーション部の貞舛章子氏)。

 デジタルTVの場合、標準的にBMLブラウザを搭載しており、最近ではHTML対応のフルブラウザが使える機種も多い。これをホームネットワークのユーザーインタフェースに利用するというのは、ごく自然な流れだろう。同社のサービスでは、会員登録時に機器登録を行い、その情報に合わせたインタフェースの画面を作成する仕組みだ。なお、セキュリティ確保のため、パソコンやテレビからのアクセスは、ゲートウェイと同一のセグメントにあるものに限られるほか、携帯電話の場合はIDとパスワードを入力する仕組みだ。

photo 携帯電話から操作中

本気になった三洋電機〜「ELiFES」を展示

 一方、三洋電機は10月4日に発表したホームネットワークシステム「ELiFES」(エリフェス)を大々的に展示している。リビングルームとベッドルーム、キッチンを含む1LDKの本格的なモデルルームを用意し、CETAECをELiFESの“お披露目”会場に仕立て上げた。

photo iVDRのAVサーバコンセプトモデルも置いてあった

 ELiFESは、エコーネットによる白物家電のネットワークに電動カーテンなどの住宅設備をくわえ、さらに各種センサーネットワークとIPベースのWebカメラまでを組み合わせた複合的なホームネットワークを構成する。

 その基盤となっているのが、「PRORIX」(プロリクス)と呼ばれるソフトウェア技術だ。さまざまな機器やシステムをシームレスに接続・制御するためのブリッジとなるもので、「エコーネットやUPnP、IEEE 1394など、各ネットワークで使うプロトコルにトランスレーションをかけ、お互いに通信できるようにする。さらに、サービスやモジュールを追加することで、さまざまな機能を提供できる」(三洋電機、デジタルシステム技術開発センターBUメディアプラットフォーム研究部の武村浩司主任研究員)という。

 操作はタッチパネル式の専用端末「SCRIO」(スクリオ)やデジタルテレビから行う。前述の東芝と同様、WebベースのUIを利用しているため、標準的にブラウザを搭載しているデジタルTVでも同様の操作が可能だ。

photo Windows CE.NET4.2とインテルのPXA255チップを搭載したタッチパネル式の専用端末「SCRIO」。無線LANカードを挿すためのCFスロットや赤外線インタフェースを装備する。重量は約1キロ
photo 「ホームサーバ」。写真を添付したメールをホームサーバに送信すると、サーバが写真を自動的に整理し、SCRIOやデジタルTVなどに表示して楽しめるなんて機能もある

 リビングルームに鎮座したホームサーバは、クライアントの接続管理と接続した機器の制御を担当する。対応機器を追加するときも、独自のPlug&Play機構によって接続機器は自動的に認識され、機器の操作メニューを動的に生成するという。「ネット家電の追加や削除、機種変更などが、面倒な設定なしで実行できる」(同氏)。

 マクロ操作もホームサーバの役割だ。一種のスクリプトといえる“ルール”を規定すれば、ネットワーク内の機器を連携した形で動かすこともできる。たとえば、今回の展示でデモンストレーションしていた“ホームシアターシステムの自動化”。手元のコントローラで“ワンタッチ操作”するだけで、プロジェクターの電源が入り、電動スクリーンが降りてきて、窓のカーテンが閉まるといった具合だ。なお、ルールはユーザー自身が規定できるほか、需要が見込めるものについてはダウンロード提供なども検討しているという。

 もちろん、家の外にいるときも、携帯電話などを使って対応機器を操作できる。三洋電機が構築する「サービスサーバシステム」は、携帯電話やパソコンからのアクセスをセキュアな形で自宅に仲介する。前日発表したWebカメラ「HOVICA」の「ホビカネットサービス」も、このサーバを使って提供されるという。このほか、Webポータル機能やメールサーバといった機能も提供する予定だ。

 各種センサーと連携した防犯機能もある。たとえば、就寝あるいは外出前の照明消し忘れ、窓の閉め忘れのチェック機能はもちろん、センサーやカメラが家電機器と連動し、異常を感知すると、テレビ画面にカメラが撮影した映像を表示してくれる。

 さらに、寝ているだけで呼吸数などの身体情報を蓄積し、日々の健康管理をサポートする「睡眠モニタリングシステム」も開発中。このシステムは、部屋の中にあるほかのネット機器対応家電と連動し、睡眠時の温度や湿度によってエアコンを制御したり、起床時にカーテンを開けたりと、快適な「おやすみ」と「お目覚め」環境を提供するという。

7社のエアコンが一台の携帯電話で動く

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