　日本ビクターは10月13日、開口数（NA）が0.95の超小型単レンズをBlu-ray Disc（BD）ピックアップ用に開発したと発表した。理論的には12センチディスク片面で40Gバイト以上の高密度信号の読み取りが可能になるほか、ポータブルプレーヤーやノートPC用ドライブなどモバイル用途への展開も可能になる。

　NAはレンズの集光能力（分解能）を表す指標。数値が大きいほど能力が高く、小さな光スポットを作成でき、光ディスクの記録密度を高められる。BD規格のレンズはNA＝0.85で、新開発のレンズは面積比で25％小さな光スポットを打つことができる。

　新レンズの大きさは直径2.1ミリ、厚さ1.2ミリ。BD規格のレンズ（直径4.1ミリ、厚さ3ミリ）から体積比で10分の1に小型化した。

　小型化を可能にしたのは、形状精度0.1μメートル以下の超精密成型技術。同技術を活用することでNA0.85レンズの歩留まり向上・コストダウンに貢献できる上、1レンズでDVD/CDにも対応できる互換ピックアップの開発も可能としている。また小型かつ作動距離の大きなBDレンズを開発でき、レンズとディスク間の距離を確保することでモバイル機器用ドライブの実現にもつながる。

　これまでNAを高めるため、近接場光を使ったシステムなどが提案されているが、レンズとディスクの間隔がμメートル以下になってしまうなどの問題が生じる上、複数レンズを組み合わせる必要があり、量産性にも課題があった。新レンズはBDやDVDと同じ遠視野結像での集光作用を用いているため、従来と同様にディスクの交換性も保証できるとしている。

　開発成果は、11日に開幕した光メモリの国際シンポジウム「ISOM2004」（韓国・済州島）で発表する予定。